労働問題171 実質無期又は契約更新に合理的期待があると評価されないために最低限すべきことを教えて下さい。
実質無期・合理的期待と評価されないために最低限すべきことは、①契約を自動更新にせず毎回契約期間満了前に契約書を作成・押印させること、②更新を期待させる言動を慎むこと、の2点です。これができていない会社が、雇止めトラブルに巻き込まれるケースが多いです。
1. 実質無期と評価されないために——契約書の確実な締結
実質無期と評価されないための最も重要な対策は、契約の更新を自動更新にせず、契約期間満了前に必ず新しい契約書を作成し、署名・押印させることです。
「更新するかどうかを都度きちんと判断した上で、改めて契約を締結している」という事実が、自動更新・実質無期の評価を防ぐ最大の要素となります。
実務上の失敗例として、「更新のたびに口頭で『よろしく』と言うだけで契約書を作り直していない」「労働条件通知書すら渡していない」というケースが後を絶ちません。この状態では実質無期と評価されやすくなります。
2. 契約書への押印を拒否された場合の対応
更新後の同条件の契約書に押印してもらえない場合は、契約更新を拒絶したものとして扱い、契約期間満了で有期労働契約を終了させることが重要です。
「押印してくれないまま働き続けてもらって、後から問題になる」という事態を避けるには、押印前に就業を開始させないという毅然とした対応が必要です。
⚠ 更新後に契約書を求めるのは手遅れ
「更新が終わってから契約書に署名押印を求めたところ、労働条件に不満を述べて署名押印してくれないまま働き続けられて困っている」という相談が非常に多いです。契約書は必ず更新前(契約期間満了前)に作成・押印させることが鉄則です。
3. 合理的期待と評価されないために——言動の管理
合理的期待があると評価されないためには、契約更新を期待させることを言ったり、長期間にわたり更新を繰り返したりしないことが重要です。
具体的には、①「頑張れば継続できる」「ずっと働いてもらいたい」などの発言を慎む、②契約書に「更新する場合がある」ではなく「更新しない場合がある」「業務の状況等によっては更新しないことがある」と明記する、③更新回数・期間の上限を設定することを検討する(ただし後から一方的に宣言しても効果が限定的な場合がある)、といった対策が有効です。
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弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
最終更新日 2026/04/10