労働問題171 有期契約社員が「実質無期」「更新期待あり」と評価されないために、会社は何をすべきですか。
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実質無期と評価されないための最重要対策は、契約期間満了前に必ず新しい契約書を作成・署名押印させること 「更新するかどうかを都度きちんと判断した上で、改めて契約を締結している」という事実が、実質無期の評価を防ぐ最大の要素となります。 |
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合理的期待を避けるには、継続雇用を期待させる発言を慎み契約書に「更新しない場合がある」旨を明記する 既に長年更新を繰り返してきた事実は残るため、対策はできる限り早い段階で講じることが重要です。 |
目次
実質無期・更新期待ありと評価されないための対策とは、有期契約社員の雇止めが労働契約法19条により制限されることを防ぐために、契約更新の手続を適切に行い、更新を期待させる言動を管理する会社側の実務対応をいいます。有期契約社員の雇止めトラブルの多くは、「実質無期」または「更新への合理的期待あり」と評価されることによって生じます。これらの評価を受けないためには、日常の雇用管理において最低限の対策を講じておくことが不可欠です。
本ページでは、実質無期・更新期待ありと評価されないための具体的な対策について、会社側専門の弁護士が解説します。
01実質無期と評価されないための最重要対策
結論:実質無期と評価されないための最も重要な対策は、契約の更新を自動更新にせず、契約期間満了前に必ず新しい契約書を作成し、署名・押印させることです。「更新するかどうかを都度きちんと判断した上で、改めて契約を締結している」という事実が、自動更新・実質無期の評価を防ぐ最大の要素となります。
実務上の失敗例として、「更新のたびに口頭で『よろしく』と言うだけで契約書を作り直していない」「労働条件通知書すら渡していない」というケースが後を絶ちません。この状態では実質無期と評価されやすくなります。
02契約書への押印を拒否された場合の対応
結論:更新後の契約書に押印してもらえない場合は、契約更新を拒絶したものとして扱い、押印前に就業を開始させないという毅然とした対応を取ることが重要です。「更新が終わってから契約書に署名押印を求めたところ、労働条件に不満を述べて署名押印してくれないまま働き続けられて困っている」という相談は非常に多いです。
「押印してくれないまま働き続けてもらって、後から問題になる」という事態を避けるには、押印前に就業を開始させないという毅然とした対応が必要です。契約書は必ず更新前(契約期間満了前)に作成・押印させることが鉄則です。
03合理的期待と評価されないための言動管理
結論:合理的期待があると評価されないためには、契約更新を期待させる発言を慎み、契約書に「更新しない場合がある」旨を明記し、長期間にわたる更新の繰り返しを避けることが重要です。長期間にわたり更新を繰り返したりしないことも重要です。
具体的には、「頑張れば継続できる」「ずっと働いてもらいたい」などの発言を慎むこと・契約書に「更新する場合がある」ではなく「更新しない場合がある」「業務の状況等によっては更新しないことがある」と明記すること・更新回数・期間の上限を設定することを検討すること(ただし後から一方的に宣言しても効果が限定的な場合があります)、といった対策が有効です。
04有期契約の雇用管理体制の見直しを早期に行ってください
結論:有期契約社員を多く雇用している場合は、契約書の作成状況・言動管理・雇止めへの準備状況について、早期に弁護士に確認してもらうことが望ましいです。現在の雇用管理体制が適切かどうかを弁護士に確認してもらうことをお勧めします。
特に、契約書を毎回きちんと作成しているか・更新を期待させる発言をしていないか・雇止めを想定した準備ができているか、という点を確認してください。有期契約の雇用管理体制の整備・契約書の設計・雇止めリスクの事前評価については、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。会社側専門の弁護士として、会社側の立場から実務的なアドバイスを提供しています。
雇用管理の比較|適切な対応/NGな対応
| ○ 適切な対応 | ✕ NGな対応(実質無期・合理的期待のリスク) |
|---|---|
| 契約期間満了前に毎回契約書を作成・署名押印させる | 更新のたびに口頭で済ませ契約書を作り直さない |
| 押印前に就業を開始させない | 押印がないまま働き続けさせてしまう |
| 「更新しない場合がある」旨を契約書に明記する | 「頑張れば継続できる」等の発言をする |
| 雇用管理体制を弁護士に確認してもらう | 現状の運用に問題がないと思い込む |
05よくある質問(FAQ)
Q. 既に長年更新を繰り返している社員がいます。今から契約書を作成すれば問題ありませんか。
今から適切な契約書を作成することは重要ですが、既に長年更新を繰り返してきた事実は残ります。今後の雇止めリスクを低減するためには、今後は毎回きちんと契約書を作成・押印させること・更新を期待させる発言を慎むこと・雇止めの方針がある場合は早めに書面で予告することが必要です。現時点での法的リスクの評価については弁護士に相談することをお勧めします。
Q. 「更新しない場合がある」という文言を契約書に入れれば、雇止めは確実にできますか。
「更新しない場合がある」という文言を入れることは、更新への合理的期待を否定する要素となりますが、それだけで雇止めが確実にできるとは言えません。長年更新を繰り返してきた実態・会社側の発言・業務内容の恒常性などの事情と総合的に判断されます。雇止めを予定している場合は、個別の事情を弁護士に相談した上で対応方針を決定することをお勧めします。
Q. 有期契約から無期契約に変わる「無期転換ルール」とはどのようなものですか。
労働契約法18条により、同一の使用者との間で有期労働契約が反復更新され、通算契約期間が5年を超えた場合、労働者が申込みをすれば無期労働契約に転換されます(無期転換ルール)。これは労契法19条の雇止め制限とは別の問題であり、5年を超える前に雇止めが問題なくできるかどうかは個別の事情によります。詳細については弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。有期契約の雇用管理・雇止めリスクの低減でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
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最終更新日:2026年7月10日