労働問題859 普通解雇をする際、労働者に対して弁明の機会を与えた方がよいのですか。

この記事の結論
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弁明の機会は社会通念上の相当性の考慮要素の一つ

普通解雇の有効性は、解雇に客観的に合理的な理由があるか、解雇が社会通念上相当であるかという観点から判断されます。労働者に弁明の機会を与えたかどうかは、社会通念上相当といえるかを判断する際の考慮要素の一つです。

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能力不足解雇では手続過程の相当性が特に問題になる

能力不足を理由とする普通解雇では、どのような能力が不足し改善を促したか、本人の言い分はどうだったかといった、解雇に至る手続過程の相当性が問題になり得ます。

 858の記事で解説した解雇予告手当という手続的な要件に加え、実は解雇の有効性そのものにも、手続的な配慮が影響を及ぼす場合があります。本稿では、弁明の機会の重要性について解説します。

 会社側専門の弁護士の立場から、普通解雇における弁明の機会の必要性を解説します。

01普通解雇の有効性の判断基準

 普通解雇の有効性は、解雇に客観的に合理的な理由があるか、解雇が社会通念上相当であるかという観点から判断されます(労働契約法16条)。この2つの要件のうち、後者の「社会通念上の相当性」の判断において、手続的な配慮の有無が問われることになります。

02弁明の機会と社会通念上の相当性

 労働者に弁明の機会を与えたかどうかは、解雇が社会通念上相当といえるかを判断する際の考慮要素の一つとされています。791の記事で解説した懲戒処分における手続の相当性(弁明機会の付与)と同様の考え方が、普通解雇の場面にも及ぶということです。一方的に解雇を通告するのではなく、労働者に事情を説明する機会を与えることが、解雇の有効性を高める方向に働きます。

03能力不足解雇における手続の重要性

 例えば、能力不足を理由とする普通解雇をする場合には、当該労働者のどのような能力が不足しており、その改善を促したのか、本人の言い分(弁明)はどのようなものだったのかといった解雇に至る手続過程の相当性が問題になり得ます。752の記事で解説した能力不足解雇の検討方法とも関わりますが、単に「能力が足りない」という会社側の一方的な評価だけでなく、改善指導の実施記録や、労働者本人からの言い分の聴取記録が、解雇の有効性を裏付ける重要な証拠になります。

04会社側が押さえておくべき視点

 したがって、普通解雇をする際、労働者に弁明の機会を与えた方が望ましいと考えます。会社側としては、解雇を決定する前に、労働者本人と面談の機会を設け、解雇理由となる事実関係について説明し、労働者の言い分を聴取する場を設けることをお勧めします。

 この面談の際には、日時・場所・出席者・説明内容・労働者からの発言内容を記録化しておくことが重要です。後の労働審判や訴訟において、「弁明の機会を与えた」という事実を客観的に立証できるようにしておくことが、解雇の有効性を高めるうえで大きな意味を持ちます。

05よくある質問(FAQ)

Q. 普通解雇には、必ず弁明の機会を与えなければなりませんか。

法律上の明確な義務ではありませんが、社会通念上相当といえるかの考慮要素になるため、与えた方が望ましいと考えられます。

Q. 能力不足解雇で、特に重要な手続は何ですか。

どのような能力が不足していたか、改善を促したか、本人の言い分はどうだったかという手続過程が問題になります。改善指導の記録と弁明の聴取が重要です。

Q. 弁明の機会を与えたことを、どのように証拠化すればよいですか。

面談の日時・場所・出席者・説明内容・労働者の発言内容を記録化しておくことをお勧めします。後の紛争で客観的に立証できるようにしておくことが重要です。

経営上のポイント 普通解雇の有効性は、客観的合理的理由と社会通念上の相当性から判断され、弁明の機会を与えたかどうかは社会通念上の相当性の考慮要素の一つです。能力不足を理由とする普通解雇では、どのような能力が不足し改善を促したか、本人の言い分はどうだったかという手続過程の相当性が特に問題になります。会社側としては、解雇の決定前に労働者との面談の機会を設け、事実関係の説明と言い分の聴取を行い、その内容を記録化しておくことが、解雇の有効性を高めるうえで重要です。普通解雇の実施は、会社側・使用者側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。普通解雇の実施でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月13日

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