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降格が人事権濫用と判断されるのはどのような場合ですか?

 降格は、差別や不利益取扱い禁止の規制に該当する場合を除き、労働者との労働契約を根拠とする人事権の行使として行うことができます。そのため、一定の役職を解く降格は、労働契約を根拠として行うことができ、就業規則等の根拠規定は必要ありません。
 もっとも、労働契約上、労働者の役職や職位を限定する合意がある場合は、その役職や職位を引き下げることについて労働契約で予定されていないことになるため……

定額残業代の最近の裁判例を教えてください。

[toc]  1.X社事件 東京高裁平成28年1月27日判決  36協定の延長限度額に関する基準において上限とされる月45時間を大幅に超える業務手当を残業代の支払として認めました(上告棄却・不受理)。 2.アクティリンク事件 東京地裁平成24年8月28日判決  周知されている賃金規定上「時間外労働割増賃金で月30時間相当分として支給する」と定められている「営業手当」について、「固定残業代の……

みなし労働時間制の種類と近時の主な裁判例を教えてください。

 実際の労働時間に関わらず、一定の時間労働したものとしてみなして労働時間を計算する制度として、事業場外労働のみなし労働時間制、専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制があります。
 継続審議中の労働基準法改正法案では、企画業務型裁量労働制の対象業務に「課題解決提案営業」と「裁量的にPDCAを回す業務」を追加すること、特定高度専門業務、成果型労働制の創設が検討されています。続きを見る

就業規則に配転に関する規定を設ければ、自由に配転できますか?

 配転について、就業規則等に「業務の都合により出張、配置転換、転勤を命ずることができる。」というような包括的な根拠規定が置かれていることが多いですが、このような規定が無い場合でも、労働契約の締結の経緯や内容、人事異動の実情などから配転命令権が認められることがあります。
 ただし、就業規則に包括的な配転命令権の定めがある場合でも、個別に職種や勤務場所等を限定する旨合意している場合には、……

管理監督者性が肯定された例及び否定された例を教えてください。

 管理監督者性が争点となった裁判例は数多くありますが、管理監督者性が肯定された裁判例は多くありません。
 管理監督者性が肯定された裁判例及び否定された裁判例は、主に、次のとおりです。 肯定された例 看護婦の募集業務に従事していた医療法人の人事課長(徳洲会事件大阪地裁昭和62年3月31日判決) 経理、人事、庶務全般を任されていた、旅行を目的とする会員制クラブを運営する総務……

タイムカード以外によって労働時間を認定した裁判例には、どのようなものがありますか?

 タイムカード以外によって労働時間を認定した裁判例には、次のものがあります。 勤務時間整理簿(ピーエムコンサルタント事件大阪地裁平成17年10月6日判決) シフト表(勤務割表)(セントラル・パーク事件岡山地裁平成19年3月27日判決) ワーキングフォーム(出退勤表)(ただし約3分の2程度の時間)(オフィステン事件大阪地裁平成19年3月27日判決) パソコンのログデータ記録(PE……

始業時刻前にタイムカードを打刻した場合、打刻時間が勤務開始時間と認められてしまうのでしょうか?

 タイムカードによって時間管理がなされている場合、多くの裁判例で、特段の事情が無い限り、タイムカードの打刻時間が実労働時間と事実上推定されています。
 ただし、始業時刻よりも前にタイムカードを打刻されている場合、始業開始前の打刻時間が当然に実労働時間とされるわけではありません。労働時間に該当するか否かは、社会通念に照らし、客観的にみて、当該労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれてい……

始業時刻前の準備行為や始業時刻後の後始末の時間において、労働時間性が肯定された例及び否定された例を教えてください。

1.労働時間性が肯定された例 ・使用者によって着用を義務付けられている作業着や保護具などを着用し,更衣所から作業場へ移動する時間(三菱重工業長崎造船所事件最高裁平成12年3月9日判決)
・使用者によって義務付けられている鉄道会社の駅務員の行う始業前点呼,退社前点呼の時間(東京急行電鉄事件東京地裁平成14年2月28日判決)
・使用者によって着用を義務付けられている制服の……

労働審判の対応

労働審判の申立書が届いたら──会社側の対応は「初動」が勝負です  突然、裁判所から労働審判の申立書が届いた。そんな経験がある経営者の方は少なくありません。申立書受領から第1回期日まではわずか約1か月。この短期間でいかに万全の準備をするかが、結果を大きく左右します。  弁護士法人四谷麹町法律事務所は、会社経営者側に特化した労働審判対応で、全国の経営者をサポートしています。 ▼ この……

チェーン店の小売業、飲食業における管理監督者の範囲を教えてください。

[toc] 1. 管理監督者問題の経緯  東京地裁の平成20年1月28日の日本マクドナルド事件の判決後、労基法41条1号に該当する管理監督者について、企業は対応に苦慮することになりました。これまで、日本企業の多くが管理職を管理監督者として取り扱う傾向がありましたが、大きな労働問題になったことはありませんでした。しかし、管理監督者の問題は、サービス残業問題も絡んでいることから、行政が厳しく対応す……

労働時間規制の適用が除外される「監視または断続的労働に従事する者」とはどのような労働者ですか?

[toc] 1. 法定労働時間や休憩・休日の基準  労基法では、法定労働時間や休憩・休日に関し、最低限の基準が定められており、それを超えて働かせた場合、割増賃金(残業代)を支払わなければならないとされています。 2. 労基法41条の適用除外  労基法41条では、次の3種類の労働者について、法定労働時間や休憩・休日の規制の適用除外を認めています。
① 農業、畜産業、養蚕業、水産……

労働時間規制の適用除外について、どのようなことが問題になりやすいですか?

[toc] 1. 適用除外される労働者の種類  労働基準法41条では、次の3種類の労働者について、法定労働時間や休憩・休日の規制の適用除外を認めています。
 ① 農業、畜産業、養蚕業、水産業に従事する者(林業は含まれません)
 ② 管理監督者の地位にある者または機密の事務を取り扱う者
 ③ 監視または断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受……

自宅での待機時間や携帯電話対応時間は労働時間に当たるのか?―会社経営者が押さえる判断基準

[toc] 1. 労働時間の基本的な考え方  労働時間とは、労働者が会社の指揮命令下に置かれている時間をいいます。労働時間に該当するか否かは、就業規則や契約書上の定めだけで決まるものではなく、実態に即して客観的に判断されます。  裁判実務においては、当該時間帯に労働者が自由に行動できるか、それとも会社の指示があれば直ちに業務に従事しなければならない状態に置かれているかが重要な判断要素とされて……

通勤時間、出張の移動時間、直行・直帰の移動時間は労働時間に該当しますか?

[toc] 1. 労働時間とは  労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいいます。しかし、このような定義のみでは、具体的な事例において、労働時間にあたるか否かを判断することが難しく、裁判例でも、使用者による拘束の程度や具体的な活動内容を総合的に考慮し、使用者の指揮命令下に置かれていると評価できるか否かを実質的に判断しています。  2. 通勤時間の労働時間性  通……

残業代請求の訴訟における「付加金」とはどういうものですか?

[toc] 1.付加金の概要  使用者が次の①~④の支払義務に違反した場合、裁判所は、労働者の請求により、使用者が支払うべき未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができます(労基法114条1項本文)。
 ① 解雇予告手当(労基法20条)
 ② 休業手当(労基法26条)
 ③ 時間外・休日・深夜労働の割増賃金(残業代)(労基法37条)続きを見る

復職判断の「休職事由の消滅」とは?配置転換義務と退職扱いの法的リスクを弁護士が解説

この記事の結論 「元の仕事ができない=退職」とは限りません 休職事由が消滅したか(治ったか)の判断において、裁判所は会社に対して非常に厳しい「雇用維持の努力」を求めています。 判断基準: 単なる健康回復ではなく「労働契約上の業務ができるか」が基準です。 配置転換義務: 元の仕事ができなくても、他にできる軽易な業務があるなら、会社は配置換えを検討しなければなりません(職種限定がない……

パワハラの違法性はどのように判断されますか?

 パワハラの違法性は、両当事者の職務上の地位・関係、行為の場所・時間・態様、パワハラを受けたと主張する者の対応等の諸般の事情、職務の内容、性質、危険性の内容・程度、当該行為が職務上の適正な範囲内か否か等を踏まえて判断される傾向があります。
 職務上の範囲内かどうかの判断は難しく、裁判では、原審と控訴審で判断が分かれたものもあります(A保険会社上司事件東京地方裁判所平成16年12月1日……

タイムカード等に出勤時刻は記録されているが,退勤時刻が記録されていない場合,退勤時刻はどのように認定されますか?

 タイムカードに退勤時刻が記録されていない場合,勤務場所からの退出時刻,業務に関するメールの送信時刻,パソコンのログ記録といった証拠から総合的に判断して,退勤時刻を認定されるのが通常です。
 参考になる裁判例として,東京地裁平成25年2月28日判決は,「退社時刻(退勤時刻)について本件請求期間Aのように何ら客観的な証拠が残されていないという事実をもって,時間外労働時間の立証が全くされ……

退職予定の社員が在職中に競業の準備を行っていた場合,競業避止義務違反になりますか?

 在職中に競業を行った場合は当然に競業避止義務違反になりますが,在職中に競業の準備を行っていた場合については,競業の準備を行った従業員の職位,他の従業員の引き抜きの有無や顧客の奪取,企業秘密の漏えい等,どのくらい使用者の事業活動に影響を及ぼす行為が行われていたかにより判断される傾向があります。
 裁判例では,従業員が退職日前に競業会社取締役に就任し営業していたことについて,競業避止義……

リハビリ出社とはどういうものですか?

[toc] 1. リハビリ出社とは  リハビリ出社は法律上の制度ではなく,定義や内容が明確に決まっているものではありません。また,労使間の合意や就業規則等の定めがない場合,例外的に使用者の配慮義務として求められることはあっても,原則として,使用者にリハビリ出社制度を導入・実施する義務はありません。
 リハビリ出社とは,例えば,通常の通勤時間と同様の時間帯に短時間又は通常の通勤時間……