労働問題425 労働審判は「3回」もない?会社経営者が知るべき期日回数の真実と第1回の重要性

この記事の結論
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第1回期日が実質的な審理の中心

全体の約3分の1が第1回期日で終結します。裁判所は第1回期日でほぼすべての事実関係と証拠を確認するため、この段階での準備が結果に直結します。

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第2回期日が最終的な調整の場となる

第1回を含めると全体の3分の2以上が第2回期日までに終結します。第2回は新たな争いより、第1回で示された方向性を踏まえた経営判断の場となります。

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「3回」はあくまで制度上の上限

3回フルに期日が開かれるのは複雑な事案に限られます。「あと回数がある」という認識を前提に準備を先送りすることは、対応上のリスクとなります。

参考動画

01労働審判手続における期日の位置づけ

 労働審判手続において、期日は単なる形式的な審理の場ではなく、事件の行方を左右する極めて重要な局面です。特に第1回期日は、実質的な審理の中心となることが多く、ここでのやり取りがその後の解決方向を大きく左右します。

 会社経営者にとって重要なのは、労働審判が段階的に何度も主張を積み重ねていく手続ではないという点です。期日は限られた回数しか予定されておらず、初期段階から結論を見据えた対応が求められます(416番参照)。

 そのため、労働審判における期日の位置づけを正しく理解し、特に第1回期日に向けて十分な準備を整えておくことが、会社経営者にとって最も重要な実務対応の一つとなります。

02第1回期日までに終結するケース

 労働審判手続では、第1回期日で相当数の事件が終結しています。実務上は、全体のおよそ3分の1近い労働審判事件が、第1回期日で調停成立や取下げなどにより解決しているとされています。

 会社経営者として押さえておくべき点は、第1回期日が単なる顔合わせの場ではなく、実質的な解決の場となることが多いという事実です。この段階で、裁判所から事案についての評価が示され、現実的な解決案が提示されることも少なくありません。

 第1回期日で解決に至るかどうかは、事前準備の質に大きく左右されます。事実関係や証拠が整理されていない状態で臨めば、説明力が低下し、その後の展開にも影響を及ぼすおそれがあります。第1回期日を「最初の重要な局面」と捉え、十分な準備を行うことが重要です。

03第2回期日までに終結するケース

 労働審判手続においては、第2回期日までに解決する事件が非常に多く、第1回期日で終結した事件と合わせると、全体の3分の2を超える労働審判事件がこの段階までに終結しています。

期日ごとの終結割合(目安)

第1回期日までに終結:全体の約3分の1(調停成立・取下げ等)
第2回期日までに終結:累計で全体の3分の2超
第3回期日まで開催:複雑な事案のみ

 会社経営者にとって重要なのは、第2回期日が「最終調整の場」となることが多いという点です。第1回期日で示された裁判所の評価や問題点を踏まえ、当事者双方が現実的な落としどころを探る局面となります。第2回期日に向けては、新たな主張を重ねるというよりも、既に提示された争点を整理し、受け入れ可能な解決案を検討する姿勢が求められます。

04「原則3回以内」の正しい理解

 労働審判手続は、原則として3回以内の期日で審理を終了する制度とされています。ただし、これは「通常は3回期日が開かれる」という意味ではありません。あくまで制度上の上限を示したものであり、実務上はそれよりも少ない回数で終結する事件が多数を占めています。

 会社経営者が誤解しやすい点として、「最大3回あるから、段階的に対応すればよい」と考えてしまうことがあります。しかし実際には、第1回または第2回期日で結論が出ることを前提に審理が進められており、3回目の期日が開かれるのは例外的なケースです。

 「原則3回以内」という制度趣旨を正しく理解し、期日が少ないことを前提とした準備と判断が不可欠です。回数に余裕がある制度ではないことを認識することが、会社経営者にとって重要な実務感覚となります。

05会社経営者が想定すべき実務対応

 労働審判手続では、期日の回数が少ないことを前提に、会社経営者自身が早期に判断を下す場面が多く訪れます。特に、第1回・第2回期日で解決するケースが大半である以上、初動段階から結論を見据えた対応が不可欠です。

 会社経営者としては、「次の期日で考えればよい」という姿勢ではなく、最初の期日までに事実関係・証拠・会社としての方針を整理しておく必要があります。そのうえで、調停による解決を選択するのか、審判による判断を受けるのかについても、現実的に検討しておくことが重要です。

経営上のポイント 労働審判の期日は限られており、対応を先送りにする余裕はありません。期日回数の実態を正しく理解し、第1回期日に向けて事実関係と証拠を出し切る姿勢で準備することが、会社経営者にとって最大のリスク管理につながります。具体的な準備の進め方については、使用者側弁護士のサポートを受けることをお勧めします。アドバイスします。

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SUPERVISOR 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

 

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Q&Aよくある質問

Q1. 第1回期日は、具体的にどのようなことが行われるのですか。

A. 単なる手続の確認ではありません。裁判官と審判員から、提出した書面の内容について具体的な質問がなされ、審理が行われます。その後、裁判所としての事案評価と解決案が提示されることが多くあります。限られた期日の中で主要な審理が集中して行われる点が、労働審判の大きな特徴です。

Q2. 相手方の主張に不正確な点が第1回期日後に判明した場合、第2回で反論できますか。

A. 第2回期日での反論は可能ですが、第1回終了時点で裁判所の心証がある程度形成されることが多いため、相手方の主張の問題点を指摘する証拠や反論は、第1回期日前に提出する答弁書の段階で整えておくことが重要です。後から証拠を追加することは制度上困難な場合があります。

Q3. どうしても都合がつかない場合、期日を延期したり回数を増やしたりできますか。

A. 原則として認められません。労働審判法により迅速な解決が求められており、やむを得ない事情(主要な証人の病気等)がない限り、会社側の事情による期日の変更や回数の追加は困難です。申立書が届いた段階で速やかに準備を開始することが必要な理由はここにあります。

最終更新日:2026年2月25日

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