労働問題726 労働審判事件が訴訟に移行した時の手続の流れを教えてください。
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記録の引き継ぎ→訴状の審査→手数料の納付→書面の提出という流れで進む 訴訟に移行すると、労働審判事件の記録が裁判所に引き継がれ、裁判長が訴状とみなされた申立書等を審査します。原告は手数料を納付し、被告に送達するための副本を提出します。 |
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手数料は差額の追納で足り、原告に「訴状に代わる準備書面」が求められることも 訴え提起の手数料は、通常の額から労働審判の申立て時に納付した額を控除した差額です。裁判所は、原告に対し、請求の趣旨・原因を訴状と同様の形式に整序した書面の提出を求めることがあります。 |
労働審判事件が訴訟に移行すると、記録の引き継ぎ、訴状とみなされた申立書等の審査、原告による手数料の納付、書面の提出という流れで手続が進みます。訴訟移行は法律上当然に生じるものですが、実際には、こうした手続を経て訴訟の審理が始まります。
会社側専門の弁護士の立場から、労働審判が訴訟に移行した後、どのような流れで手続が進むのかを解説します。
01記録の引き継ぎ
労働審判事件が訴訟に移行すると、立件や記録の編成などの手続を経て、労働審判委員会から裁判所に労働審判事件の記録が引き継がれます。もっとも、記録が引き継がれるからといって、労働審判で提出された書面がすべて訴訟の資料になるわけではない点には注意が必要です。
02訴状の審査
次に、裁判長が、訴状とみなされた労働審判手続の申立書等の書面について審査を行います。ここでいう申立書等には、申立ての趣旨又は理由の変更申立書、および労働審判手続の期日において口頭で申立ての趣旨又は理由の変更がされた場合における、その労働審判期日の調書が含まれます(以下同じ)。通常の訴訟における訴状審査と同様に、必要的記載事項の不備がないかなどが確認されます。
03手数料の納付
労働審判事件が訴訟に移行したとき、原告(労働審判事件の申立人)は、訴え提起の手数料を裁判所に納付することになります。この場合の手数料は、通常の訴え提起の手数料の額から、労働審判事件の申立て時に納付した手数料を控除した額となります。すなわち、差額を追納すれば足り、あらためて全額を納める必要はありません。
なお、原告が、裁判長から手数料の納付を命じられたにもかかわらず手数料を納付しない場合には、訴状とみなされた労働審判事件の申立書等は却下されることになります。
04書面の提出と「訴状に代わる準備書面」
訴状とみなされる労働審判事件の申立書等は、被告に送達する必要があるため、原告は、裁判所に、被告の数と同数の書面の副本を提出するのが通常です。
また、訴状とみなされる労働審判事件の申立書等は、申立ての一部に取下げがあった場合や、当事者の変更があった場合には、それらが明らかになっていないことがあります。そこで、労働審判事件が訴訟に移行した時点での原告の主張を早い段階で明確にするため、裁判所は、原告に対して、請求の趣旨および原因を訴状と同様の形式に整序して記載した、いわゆる「訴状に代わる準備書面」の提出を求めることがあります。
05会社側が押さえておくべき視点
この流れから分かるとおり、訴訟移行の直後に手続を進めるのは、主として原告(労働審判の申立人)です。会社側は被告の立場となり、送達された申立書等や、原告から提出された訴状に代わる準備書面の内容を踏まえて、答弁書を提出することになります。
経営者が見落としやすいポイント
訴訟に移行しても、労働審判で提出した会社側の答弁書や証拠は当然には訴訟に引き継がれません。訴訟では、あらためて答弁書を提出し、必要な証拠も提出し直すことになります。原告から訴状に代わる準備書面が提出された場合には、その内容を精査したうえで、的確に反論する答弁書を準備する必要があります。
労働審判の段階から訴訟移行を見据えて主張・立証を組み立てておけば、移行後に一から準備し直す負担を抑えることができます。訴訟に移行した場合の見通しを含めて、早い段階で方針を検討しておくことが重要です。
06よくある質問(FAQ)
Q. 訴訟に移行すると、手数料はあらためて全額を納めるのですか。
全額ではありません。原告が納付する訴え提起の手数料は、通常の訴え提起の手数料の額から、労働審判事件の申立て時に納付した手数料を控除した額となります。なお、納付を命じられたのに納付しない場合、訴状とみなされた申立書等は却下されます。
Q. 「訴状に代わる準備書面」とは何ですか。
訴状とみなされる申立書等では、申立ての一部の取下げや当事者の変更が明らかになっていないことがあります。そこで、移行時点での原告の主張を早期に明確にするため、裁判所が原告に対し、請求の趣旨・原因を訴状と同様の形式に整序して記載した書面の提出を求めることがあります。これがいわゆる訴状に代わる準備書面です。
Q. 会社側は、訴訟移行後に何をすることになりますか。
会社側は被告の立場となり、送達された申立書等や、原告から提出された訴状に代わる準備書面の内容を踏まえて、答弁書を提出することになります。労働審判で提出した答弁書や証拠は当然には引き継がれないため、あらためて提出する必要があります。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。労働審判から訴訟への移行後の対応でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
最終更新日:2026年7月13日