労働問題424 労働審判の平均期間は80日?会社経営者が「短期決戦」を勝ち抜くための時間感覚

この記事の結論
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申立書到達後の実質的な準備期間は約2か月

申立書が会社に届いた時点から、事実関係の整理・資料収集・方針決定を並行して進める必要があります。

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準備は申立書到達後すぐに開始することが必要

事実確認・証拠収集・和解案の検討を短期間で行う必要があるため、受領後すぐに使用者側弁護士に相談することが重要です。

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第1回期日が審理の中心となる

平均審理日数が短い背景には、第1回期日で主要な審理が終結するという制度設計があります。後の期日で挽回する余地は限られます(416番参照)。

参考動画

01審理期間を把握することの重要性

 労働審判手続において、審理期間がどの程度で進むのかを把握しておくことは、会社経営者にとって極めて重要です。労働審判は迅速な解決を目的とした制度であり、通常訴訟のように長期間をかけて対応することは想定されていません。

 会社経営者として注意すべき点は、労働審判では「時間がある前提」での対応が通用しないということです。限られた期間の中で、事実関係の整理・資料の準備・対応方針の決定を行う必要があり、審理期間の短さそのものが経営判断に影響を及ぼします。

 そのため、労働審判における平均的な審理日数や実務上の時間感覚を理解しておくことは、申立てを受けた場合でも適切な初動対応を取るための前提知識となります。審理期間を正しく認識することが、適切な対応とリスク管理につながります。

02労働審判手続の平均審理日数

 労働審判手続の平均的な審理日数は、申立てから終結までおおむね80日程度とされています。制度上も短期間での解決を前提として設計されており、実務においても概ねこの期間内で審理が進むケースが多数を占めています。

労働審判の時間軸(目安)

申立てから終結まで:平均約80日(3か月弱)
申立てから第1回期日まで:原則40日以内(労働審判法15条)
申立書到達から終結まで:実務上おおむね2か月程度

 会社経営者の感覚として重要なのは、「約3か月弱で結論が出る可能性が高い手続」であるという点です。通常訴訟のように半年・1年単位で進行するものではなく、非常にタイトなスケジュールで判断が示されることになります。この平均審理日数を念頭に、申立書を受け取った段階から速やかに対応を開始する必要があります。

03申立書到達後の実務上の時間感覚

 会社経営者の立場から実感として重要なのは、「申立書が会社に届いてから」の時間感覚です。実務上は、申立書が送達されてからおおむね2か月程度で手続が終結するケースが多いといえます。

 申立書が届いた時点で、すでに手続は相当程度進んでおり、初回期日までの準備期間は決して長くありません。この期間の中で、事実関係の確認・関係資料の収集・対応方針の検討・答弁書の作成を行う必要があります。

申立書到達後の初動対応が結果を左右する

「まだ時間がある」と考えるのではなく、申立書が届いた段階ですぐに対応を開始する意識が不可欠です。送達後の約2か月は準備に費やせる時間として十分とはいえません。速やかに使用者側弁護士に相談し、事実関係の整理と対応方針の確定を優先してください。

04新型コロナによる審理日数への影響(参考)

 労働審判手続の平均審理日数は、社会情勢の影響を受けることがあります。2020年については、新型コロナウイルス感染症の影響により、裁判所の運営体制や期日調整に制約が生じ、平均審理日数が100日を超えたとされています。

 会社経営者として理解しておくべきなのは、この期間の延長が制度そのものの変更によるものではなく、当時の特例的な社会状況に起因するものであったという点です。通常時においては、労働審判は迅速な解決を目的とした手続であることに変わりはありません。

 現在はオンライン期日の活用等も普及し、裁判所の手続のDXが進んでいます。会社経営者としては、例外的な時期の数字に引きずられることなく、通常時の審理スピード(約80日)を前提に対応を考えることが重要です。

05会社経営者が想定しておくべき対応期間

 労働審判手続において、会社経営者が想定しておくべき対応期間は、申立書が届いてからおおむね2か月程度です。この期間の中で、会社としての方針決定と実務対応を並行して進める必要があります。

 特に重要なのは、初動対応に時間をかけすぎないことです。事実関係の整理や資料収集に着手するのが遅れると、限られた審理期間の中で十分な主張・立証ができなくなるおそれがあります。労働審判はスピードを前提とした手続であることを常に意識する必要があります。

経営上のポイント 労働審判は、申立書が届いた段階から速やかに準備を開始することが求められる手続です。平均80日という期間は、会社側が主張を尽くし、判断を受け入れるかどうかを決断するまでの全体の時間です。早期に使用者側弁護士に相談し、対応方針と現実的な落としどころを含めた見通しを立てることが、経営リスクを最小限に抑える上で最も重要です。アドバイスします。

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SUPERVISOR 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

 

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Q&Aよくある質問

Q1. 平均80日とのことですが、長引くケースはありますか。

A. あります。争点が複雑で3回の期日をフルに使う場合や、期日間隔が空く場合は4〜5か月程度かかることもあります。ただし、それ以上長引く場合は通常訴訟へ移行するため、労働審判としての手続は常に一定の期間内に収まる設計です。いずれにせよ、通常の民事訴訟に比べて格段に短い期間で結論が出る点は変わりません。

Q2. 新型コロナのような事情で期間が延びることを期待してよいですか。

A. 通常は期待すべきではありません。新型コロナ感染症拡大期には100日を超えるケースもありましたが、現在は裁判所のオンライン化も進み、通常の審理スピードに戻っています。特別な事情による延長を前提に準備を先送りすることは、対応上のリスクを高めます。

Q3. 準備が間に合わない場合、第1回期日の延期は可能ですか。

A. 原則として認められません。労働審判は申立てから40日以内に第1回期日を行うことが法律上定められており(労働審判法15条)、会社側の事情による日程変更は極めて困難です。申立書を受け取ったら速やかに使用者側弁護士に相談し、限られた期間内での準備計画を立てることが重要です。

最終更新日:2026年2月25日

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