労働問題413 労働局のあっせんで特定社会保険労務士が代理できる請求金額に制限はありますか。

この記事の要点

労働局のあっせんで特定社会保険労務士が代理できる請求金額に制限はない。金額の大小にかかわらず代理人になることができる

ただし訴訟・労働審判では代理できないため、その点は412番参照

注意:社労士会労働紛争解決センターでの代理は60万円超の請求について弁護士との共同代理が必要。「労働局のあっせん」と「社労士会センター」は別の制度

414番参照

01労働局のあっせんでは金額制限なし

 労働局(都道府県労働局)の紛争調整委員会が行うあっせんにおいて、特定社会保険労務士が代理できる請求金額に制限はありません。

 請求金額が低額でも高額でも、特定社会保険労務士はあっせんの代理人として関与することができます。この点は、後述する社労士会労働紛争解決センターとは異なります。

 ただし、特定社会保険労務士の代理権はあっせんに限定されており、労働審判・訴訟(裁判所の手続)においては代理人になることができないことに変わりありません(412番参照)。

02注意が必要な隣接制度との違い

 「労働局のあっせん」と混同しやすいのが、「社労士会労働紛争解決センター」での手続です。いずれも特定社会保険労務士が代理人になることができる手続ですが、金額制限の有無が異なります。

手続 特定社会保険労務士の代理金額制限
労働局のあっせん(紛争調整委員会) 制限なし
社労士会労働紛争解決センター 60万円超の請求は弁護士との共同代理が必要(414番参照)

 この違いを理解しておくことは、相手方の代理人がどの立場で関与しているかを正確に把握するためにも重要です。

03会社経営者にとっての実務上の含意

 労働局のあっせんで特定社会保険労務士に金額制限がないということは、相手方(元従業員等)が高額の請求をしている事案でも、特定社会保険労務士を代理人として選任してくる可能性があることを意味します。

 一方、あっせん後に訴訟・労働審判に発展した場合は、特定社会保険労務士は代理できなくなります。請求金額が高額であったり、あっせん後に司法手続に移行するリスクがある場合は、最初から弁護士に依頼することがより確実な選択です(412番参照)。

04まとめ

 労働局のあっせんで特定社会保険労務士が代理できる請求金額に制限はありません。ただし、社労士会労働紛争解決センターでは60万円超の請求について弁護士との共同代理が必要という制限があります(414番参照)。いずれにせよ、特定社会保険労務士の代理権はあっせん等の行政手続に限定されており、労働審判・訴訟には及びません。あっせんへの対応については使用者側弁護士にご相談ください。アドバイスします。

SUPERVISOR 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

 

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Q&Aよくある質問

Q1. 相手方が高額の残業代請求(200万円)をしてきて、特定社会保険労務士が代理人として就任しています。こちらも特定社会保険労務士を立てれば対等に対応できますか。

A. あっせんの段階での金額制限はないため、特定社会保険労務士同士での対応は可能です。ただし、高額の請求事案は、あっせんで解決しなかった場合に労働審判・訴訟に移行するリスクが高くなります。その場合は弁護士のみが代理できるため、最初から弁護士に依頼しておくことで、あっせんから訴訟まで一貫した対応が可能になります。

最終更新日:2026年5月31日

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