労働問題402 パワハラ・セクハラ問題に関し、実務上の留意点を教えて下さい。
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パワハラ・セクハラと言われることを恐れて、必要な業務指導ができなくなることがあってはならない——業務上必要で方法が相当な指導はパワハラではなく、萎縮は組織上の問題を生む 395番の3段階分析と合わせて理解してください |
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パワハラ・セクハラ事案では会話内容が無断録音されていることが多い——「口頭の発言だから大丈夫」は誤り。録音されていても支障がない言動を心がけることが正しい対策 「違法なパワハラ」と評価されない言動かどうかが基準です |
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コミュニケーションが上手く取れていないとパワハラ・セクハラの問題が生じやすい——日常的な良好なコミュニケーションがリスク低減の基盤となる 制度・ルールだけでなく、日常のコミュニケーションの質が重要です |
目次
01留意点①:業務指導の重要性——萎縮してはいけない
パワハラ・セクハラ問題に関する実務上の最重要の留意点は、「パワハラ・セクハラと言われることを恐れて、必要な業務指導ができなくなるようなことがあってはならない」ということです。
業務上必要で方法が相当な指導・注意・叱責は、パワハラではありません(392番・395番参照)。「パワハラと言われたら困る」という萎縮から業務指導をやめると、問題社員への対応ができなくなり、職場全体の規律が乱れ、むしろ組織的問題が深刻化します。また、適切な指導が行われないことで、当該社員自身の成長機会も奪われます。
パワハラ対策と業務指導の継続は相反するものではありません。重要なのは、業務上の必要性があるかどうか・方法が相当かどうかという視点で自らの言動を確認し、適正な業務指導を続けることです。
02留意点②:コミュニケーションの重要性
パワハラ・セクハラ問題が生じやすい職場には、コミュニケーションが上手く取れていないという共通の問題が見られる傾向があります。上司と部下の間に信頼関係が築けていない・普段から話しかけにくい雰囲気がある・一方通行の指示だけで対話がないといった状態では、業務上の指導・注意がパワハラと受け取られやすくなります。
逆に、日常的に良好なコミュニケーションが取れている職場では、業務上の厳しい指導も関係性の文脈の中で理解されやすくなります。制度・ルールの整備だけでなく、日常的なコミュニケーションの質を高めることが、パワハラ・セクハラ問題の予防において重要な基盤となります。
03留意点③:会話内容が無断録音されていることが多い
パワハラ・セクハラ事案の実務において重要な事実として、会話内容が無断録音されていることが非常に多いという傾向があります。スマートフォンの普及により、録音は誰でも簡単にできます。「口頭の発言だから後で証拠にならない」「言った言わないの話になる」という認識は誤りです。
「口頭だから大丈夫」という思い込みの危険性
パワハラ・セクハラを主張する従業員が、事前に(または継続的に)録音している事例は実務上少なくありません。録音が証拠として提出されれば、会話内容は文字通り相手の主張を支える客観的証拠となります。「言い過ぎた」「感情的になった」という発言が、違法なパワハラ・セクハラの評価に直結するリスクがあります。
04違法なパワハラ・セクハラと評価されないための心構え
違法なパワハラ・セクハラと評価されないための心構えとしては、「会話内容が無断録音されていても支障がないような発言をすること」に尽きます。
録音されていても支障がない発言とは、業務上必要な内容を、相手の人格を否定しない表現で、感情的にならずに伝える発言です。「仕事の内容や方法についての指摘や指示」は録音されても問題ありません。しかし「人格を否定する言葉・暴言・侮辱的表現・性的な言動」は録音されれば証拠として使われます。
会社経営者・管理職の立場として実践すべきは、業務上の指導・注意の場面において、「もし今この発言が録音され、裁判所で聞かれたとしても問題ない内容か」という視点で自らの言動を確認することです。この感覚を日常化することが、最も確実なパワハラ・セクハラ対策となります。
05まとめ
パワハラ・セクハラ問題に関する実務上の留意点は3点です。第一に、必要な業務指導を萎縮させないこと。第二に、日常的なコミュニケーションの質を高めること。第三に、会話が無断録音されていることを前提として、録音されていても支障がない言動を心がけること。これらを実践することで、適正な業務指導を続けながら法的リスクを大幅に低減できます。具体的な対応については使用者側弁護士のサポートを受けることをお勧めします。アドバイスします。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
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Q&Aよくある質問
Q1. 無断録音は違法ではないですか。録音を禁止するルールを設けることはできますか。
A. 当事者の一方による録音(会話の一方が録音する場合)は、一般的に違法とはなりません。録音禁止のルールを設けることは可能ですが、従業員がルールに反して録音した場合でも、その録音自体が証拠として使用できなくなるわけではありません。結局のところ、録音されていても支障がない言動を心がけることが最も確実な対策です。
Q2. 「パワハラと言われることが怖いので強く指導できない」という管理職がいます。どう対応すればよいですか。
A. 管理職に対して、パワハラとならない業務指導の基準(業務上の必要性・方法の相当性)を正確に教育することが重要です。「萎縮しないための研修」として、パワハラの3要素(392番参照)・3段階分析(395番参照)を理解させ、適正な業務指導は保護されることを伝えてください。管理職が正確な知識を持つことで、必要な指導ができる組織文化が醸成されます。
最終更新日:2026年5月31日