労働問題299 営業社員であれば残業代を支払わなくてもいいのですよね。
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営業社員も労基法上の労働者であり、原則として時間外・休日・深夜の残業代(割増賃金)を支払う必要がある 「外回り営業だから残業代は不要」という考えは法律上認められません |
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事業場外労働のみなし労働時間制が適用され、かつ通常所定労働時間内に業務が終わる事案においては所定労働時間労働したものとみなされるため、残業代(時間外割増賃金)の支払を免れることがある 「免れることがある」に留まり、当然に不要となるわけではありません |
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事業場外労働のみなし労働時間制が適用されても、通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる事案では「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」労働したものとみなされ、週40時間・1日8時間を超える場合は残業代の支払が必要 みなし労働時間が時間外労働に当たる場合は残業代の支払義務が生じます |
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法定休日・深夜の割増賃金は、事業場外労働のみなし労働時間制が適用される場合でも、通常の場合と変わらず支払が必要 みなし制は時間外割増賃金に関する制度であり、休日・深夜割増賃金には影響しません |
目次
01営業社員にも原則として残業代の支払義務がある
「外回りの営業社員だから残業代を払わなくてよい」と考える使用者の方もいらっしゃいますが、この考えは法律上誤りです。営業社員も労基法上の労働者ですから、以下の場合には原則として労基法37条所定の残業代(割増賃金)を支払う必要があります。
営業社員に残業代(割増賃金)の支払義務が生じる場合
・週40時間(小規模事業場の特例が適用される場合には週44時間)又は1日8時間を超えて労働させた場合→時間外割増賃金(25%以上)
・1週1休の法定休日(労基法35条)に労働させた場合→休日割増賃金(35%以上)
・深夜(22時〜5時)に労働させた場合→深夜割増賃金(25%以上)
02事業場外労働のみなし労働時間制が適用される場合——通常所定労働時間内に業務が終わる事案
当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要とならない事案(通常は所定労働時間内に仕事が終わる事案)において、事業場外労働のみなし労働時間制(労基法38条の2)が適用される場合は、所定労働時間労働したものとみなされます。この場合、時間外労働がなかったことになり、残業代(時間外割増賃金)の支払を免れることがあります。
ただし、そのためには以下の要件をいずれも満たす必要があります(291番・292番参照)。
事業場外労働のみなし労働時間制(労基法38条の2)の適用要件
① 「事業場外で業務に従事した場合」であること(291番参照)
② 「労働時間を算定し難いとき」であること(292番参照)
03通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる事案——みなし時間で計算した残業代が必要
事業場外労働のみなし労働時間制が適用される場合であっても、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる事案(通常は所定労働時間内に仕事が終わらない事案)においては、「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」(例えば1日10時間・11時間といった時間)労働したものとみなされます。みなし労働時間を元に労働時間を算定した結果、労働時間が週40時間(小規模事業場の特例が適用される場合には週44時間)又は1日8時間を超える場合には、残業代(時間外割増賃金)の支払が必要となります。
「みなし制を採用すれば残業代が一切不要」という誤解
事業場外労働のみなし労働時間制は「残業代を支払わなくてよい制度」ではありません。みなし労働時間が所定労働時間内に収まる事案では時間外割増賃金を免れることがありますが、通常所定労働時間を超えることが必要な業務では、みなし時間に基づく残業代の支払が必要です。
04法定休日・深夜の割増賃金は同制度の適用後も変わらず支払義務がある
法定休日(労基法35条所定の1週1休の休日)や深夜(22時〜5時)に労働させた場合には、休日割増賃金や深夜割増賃金の支払が必要となることは、事業場外労働のみなし労働時間制が適用される場合であっても通常の場合と何ら変わりありません。事業場外労働のみなし労働時間制は、主として労働時間の把握困難に対応した「労働時間の算定方法」に関する制度であり、法定休日労働・深夜労働に対する割増賃金の支払義務そのものを免除するものではありません。
05まとめ
営業社員も労基法上の労働者ですから、原則として時間外・休日・深夜の残業代(割増賃金)を支払う必要があります。事業場外労働のみなし労働時間制(労基法38条の2)が適用され、かつ通常所定労働時間内に業務が終わる事案においては、所定労働時間労働したものとみなされて時間外割増賃金の支払を免れることがあるに止まります。通常所定労働時間を超えることが必要な事案では「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」労働したものとみなされ、週40時間・1日8時間を超える場合は残業代の支払が必要です。また、法定休日・深夜の割増賃金は同制度の適用後も支払義務があります。具体的な対応については使用者側弁護士・会社側弁護士に相談することをお勧めします。アドバイスします。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
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Q&Aよくある質問
Q1. 外回り営業の社員の残業代を支払わなくてよいですか。
A. 支払わなくてよいわけではありません。営業社員も労基法上の労働者であり、原則として残業代(割増賃金)の支払義務があります。事業場外労働のみなし労働時間制が適用される場合でも、通常所定労働時間内に業務が終わる事案に限り時間外割増賃金の支払を免れることがあるに止まります。
Q2. 事業場外労働のみなし労働時間制を採用すれば営業社員の残業代は一切不要になりますか。
A. 一切不要にはなりません。通常所定労働時間内に業務が終わる事案では時間外割増賃金の支払を免れることがありますが、通常所定労働時間を超えることが必要な業務では残業代の支払が必要です。また、法定休日・深夜の割増賃金は同制度の適用後も支払義務があります。
最終更新日:2026年5月10日