労働問題172 労契法19条は、従来の雇止め法理と同じ内容と考えてよさそうですか。


この記事の要点

厚生労働省通達(基発0810第2号平成24年8月10日)では、労契法19条は従来の雇止め法理の内容・適用範囲を変更しないと説明されています。ただし法的構造は異なります——従来は解雇権濫用法理の類推適用(濫用論)、労契法19条は承諾みなしという構成です。実務上は雇止め法理に関する判例を参照して解釈することが基本となります。

1. 厚労省通達の立場——内容・適用範囲は変更なし

基発0810第2号平成24年8月10日「労働契約法の施行について」(要旨)
「法第19条は、次に掲げる最高裁判所判決で確立している雇止めに関する判例法理(いわゆる雇止め法理)の内容や適用範囲を変更することなく規定したものであること。」

 厚生労働省の通達では、労契法19条は従来の雇止め法理(東芝柳町工場事件・日立メディコ事件等の最高裁判決)を制定法化したものであり、内容や適用範囲を変更するものではないと説明されています。したがって雇止め法理に関する判例の蓄積はそのまま参照できると解されています。

2. 法的構造の違い——濫用論から承諾みなしへ

 もっとも、法的な構造は従来の雇止め法理とは異なっています

 従来の雇止め法理では、解雇権濫用法理の類推適用(濫用論)で処理されていました。つまり「雇止めが権利の濫用にあたり無効」という構成でした。これに対し、労契法19条は「使用者が労働者からの申込みを承諾したものとみなす」という承諾みなしの構成を採用しており、従来の法的処理とは構造が異なります。

3. 実務上の含意——判断基準は実質的に同じ

 法的構造の違いはあるものの、労契法19条の立法趣旨(雇止め法理を制定法化して明確化)からすれば、実際の解釈にあたっては従来の雇止め法理に関する判例を参照して判断することが基本となります。

 雇止めを検討する場合は、労契法19条の条文と従来の判例(東芝柳町工場事件・日立メディコ事件を中心とする多数の裁判例)の両方を踏まえて、実質無期・合理的期待の有無と雇止めの合理性を評価することが必要です。

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弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 /  「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

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弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

 

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最終更新日 2026/04/10

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