労働問題170 労契法19条による雇止め制限の判断ポイント【会社側弁護士が解説】

 有期契約社員を雇止めする場合、労働契約法19条による雇止め制限が認められるかどうかを事前に判断しておくことは、紛争リスクを回避する上で非常に重要です。この判断は2段階で行います。

 本ページでは、労契法19条による雇止め制限の判断ポイントについて、会社側・使用者側専門の弁護士が解説します。

012段階の判断構造

 労契法19条による雇止め制限が認められるかどうかは、以下の2段階で判断します。この2段階の問題を分けて考えることが判断のポイントです。

 第1段階として、労契法19条1号・2号のいずれかに該当するかを判断します。「実質無期」(19条1号:過去に反復更新され、解雇と同視できるか)または「合理的期待」(19条2号:更新されるものと期待することに合理的理由があるか)のどちらかに該当するかを判断します。第1段階のいずれにも該当しない場合は、期間満了により労働契約は終了し、雇止めに客観的合理的理由や社会通念上の相当性は要求されません。

 第2段階として、第1段階に該当した場合のみ、雇止めに客観的合理的理由と社会通念上の相当性があるかを判断します。

02実質無期(19条1号)の判断ポイント

 19条1号の「実質無期」(解雇と社会通念上同視できる)かどうかは、主に以下の事情を総合的に考慮して判断します。業務内容の恒常性(臨時的・季節的業務か、それとも継続的・恒常的業務か)・更新手続の形式性(更新のたびに契約書を作成・押印しているか、自動更新になっていないか)・更新の回数・期間(何回・何年にわたって更新されてきたか)・使用者の言動(「ずっと働いてもらう」などの継続雇用を期待させる発言がなかったか)・同種労働者の雇止め前例(同じような有期契約社員が過去に雇止めされた例があるか)などが考慮されます。

03合理的期待(19条2号)の判断ポイント

 19条2号の「合理的期待」があるかどうかは、更新を期待させる言動の有無(「頑張れば継続できる」「更新は問題ない」などの発言があったか)・更新回数・雇用継続の実態(長期間にわたって更新が繰り返されてきたか)・契約締結の経緯(当初から期間限定の趣旨が明確だったか)などを考慮します。

04第2段階:客観的合理的理由と社会通念上の相当性

 第1段階に該当した場合でも、雇止めに客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められれば雇止めは有効です。この基準は正社員の解雇(労働契約法16条)と同様ですが、有期契約の性質上、正社員の解雇よりもやや緩やかに判断される傾向があります。業務量の減少・経営上の必要性・労働者の能力・勤務態度等が雇止めの理由となり得ます。

 有期契約社員の雇止め可否の評価・対応方針の設計については、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。使用者側専門の弁護士として、会社側の立場から実務的なアドバイスを提供しています。

SUPERVISOR
弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。有期契約社員の雇止め制限の判断でお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

Q&Aよくある質問

Q1. 労契法19条1号と2号はどう違いますか。

A. 1号は「反復更新により実質的に期間の定めのない契約と同視できる」ケース(実質無期)であり、主に更新回数が多く更新手続が形式的なケースが該当します。2号は「更新への合理的な期待があった」ケースであり、更新回数が少なくても使用者の言動等から更新が期待されていたケースが該当します。いずれかに該当すれば第1段階をクリアし、第2段階の判断に進みます。

Q2. 「業績不振による人員削減」は雇止めの客観的合理的理由になりますか。

A. 業績不振による人員削減は雇止めの理由となり得ます。ただし、業績悪化の事実・削減の必要性・有期契約社員に対して雇止めを選択した合理的理由・手続の相当性など、複数の要素が考慮されます。「業績不振だから」というだけでは不十分なことがあります。具体的な判断は個別事情によりますので、弁護士に相談することをお勧めします。

Q3. 雇止めを予定している場合、いつまでに何をすべきですか。

A. まず、雇止め予告義務として、契約期間が1年超の場合や3回以上更新された場合は、少なくとも30日前に雇止めの予告をする必要があります(有期労働契約の締結・更新及び雇止めに関する基準)。また、雇止めの理由について社員から説明を求められた場合は、遅滞なく書面で回答することが求められます。雇止めを予定している場合は早期に弁護士に相談することをお勧めします。

最終更新日:2026年5月10日

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