労働問題448 少額訴訟を提起された場合、会社はどのような対応をすればよろしいでしょうか。


この記事の結論
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少額訴訟に応じる方法と通常訴訟に移行させる方法の2つがある

早期にざっくりと解決したい場合は少額訴訟に応じて判断してもらうことができます。丁寧な審理を求めたい場合は、答弁書の提出と同時に通常の訴訟手続への移行を申し出ることができます。

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どちらを選ぶかは事案の内容・証拠の状況による

事実関係が比較的明確で請求額も少額であれば少額訴訟に応じることが合理的な場合もあります。争点が複雑な場合や証拠の整理に時間が必要な場合は、通常訴訟への移行を検討することになります。

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通常訴訟移行の申出は答弁書提出と同時に行う

通常訴訟への移行を希望する場合は、第1回口頭弁論期日が終了する前に申し出る必要があります。答弁書と同時に申出を行うのが実務上の対応です。

01少額訴訟を提起された場合の2つの選択肢

 少額訴訟を提起された場合の会社側の対応としては、大きく2つの方法があります。

 第一は、少額訴訟の手続に応じてそのまま審理を受ける方法です。少額訴訟は原則として1回の口頭弁論で審理が完了し、当日に判決が言い渡されます。早期にざっくりと解決したい場合には、少額訴訟に応じて判断してもらえば足ります。

 第二は、通常の訴訟手続への移行を申し出る方法です。請求金額が少額であっても、事実関係を丁寧に審理してもらいたい場合や、証拠の提出に時間が必要な場合には、答弁書の提出と同時に事件を通常の訴訟手続に移行させる申出をすることができます(民事訴訟法373条1項)。

02少額訴訟に応じる場合の対応

 少額訴訟に応じる場合には、期日当日に証拠を持参し、口頭での主張・反論を行うことになります。審理は原則として1回の期日で完結するため、その場で言うべきことを言えるよう事前に準備しておくことが重要です。

 提出できる証拠は、即時に取り調べることができるものに限られます。書類を証拠として提出する場合は、期日当日に持参する必要があります。後日に書証を追加することは原則としてできません。

 少額訴訟に応じることは、審理をその場で受け入れるということです。請求内容に争いがない場合や、事実関係が比較的明確で証拠も整っている場合には、少額訴訟に応じることが合理的な選択になることもあります。

03通常訴訟手続への移行を申し出る場合

 通常の訴訟手続への移行を申し出る場合は、第1回口頭弁論期日が終了する前に申出を行う必要があります。実務上は、答弁書の提出と同時に移行の申出書を提出するのが一般的です。

 移行申出があると、事件は通常の民事訴訟として審理されることになります。通常訴訟では、複数回の期日を経て主張立証を積み重ねることが可能であり、証拠の追加提出や詳細な事実確認を行う時間的余裕が生まれます。

 通常訴訟への移行が適切な場面としては、事実関係が複雑で1回の期日では審理が尽くせないと見込まれる場合、証拠の収集・整理に一定の時間が必要な場合、請求の法的評価について詳細な主張が必要な場合などが挙げられます。

04どちらを選択するかの判断基準

 少額訴訟に応じるか、通常訴訟への移行を申し出るかは、以下の観点から判断することになります。

選択の判断基準

少額訴訟に応じることが適切な場面:請求内容の事実関係が比較的明確で、会社側に証拠が既に整っている場合。請求額が少額で、早期に解決したい場合。
通常訴訟への移行を検討すべき場面:事実関係に争いがあり、詳細な確認が必要な場合。証拠の収集・整理に時間が必要な場合。証人尋問など、少額訴訟では対応できない立証が必要な場合。請求の法的評価について詳細な反論が必要な場合。

 いずれの選択が適切かは、具体的な事案の内容によって異なります。迷った場合は、使用者側弁護士に相談したうえで判断することをお勧めします。

05少額訴訟対応で注意すべきこと

 少額訴訟は手続が簡易であるため、軽視してしまいがちですが、判決が確定すると強制執行の対象になる点は通常訴訟と同じです。適切な対応を取らなければ、会社にとって不利な判決が確定してしまう可能性があります。

 特に注意すべき点として、少額訴訟では証拠調べの範囲が限定されているため、事実関係に争いがあるにもかかわらず少額訴訟に応じてしまうと、十分な反論ができないまま判決が出てしまうリスクがあります。

 また、少額訴訟の判決に対して異議を申し立てた場合、通常訴訟として再審理が行われますが、その分時間と費用がかかります。最初から通常訴訟への移行を申し出るか、少額訴訟に応じて対応するかを、訴状を受け取った段階で早めに判断することが重要です。

経営上のポイント 少額訴訟を提起された場合は、請求内容・証拠の状況・事案の複雑さを冷静に見極めたうえで、少額訴訟に応じるか通常訴訟に移行させるかを判断することが重要です。迷った場合は早めに使用者側弁護士に相談することをお勧めします。アドバイスします。

SUPERVISOR 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

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Q&Aよくある質問

Q1. 少額訴訟の期日に出頭しなかった場合、どうなりますか。

A. 被告(会社側)が期日に出頭しない場合、欠席判決が出される可能性があります。欠席判決は原告(労働者側)の請求を認める内容になることが一般的です。少額訴訟の期日を受け取ったら、無視せず、適切な対応をとることが重要です。

Q2. 通常訴訟への移行を申し出た場合、期日はいつ設定されますか。

A. 通常訴訟への移行が認められた場合、改めて第1回口頭弁論期日が設定されます。少額訴訟の期日とは別の日程になりますので、事実関係の整理や証拠収集の時間的余裕が生まれます。

Q3. 少額訴訟は、労働審判と比べて会社側にとって有利な制度ですか。

A. 一概には言えません。少額訴訟は証拠調べの範囲が限定されるため、事実関係が複雑な場合や会社側に多くの証拠がある場合には、十分な反論ができないことがあります。事案の内容によっては通常訴訟への移行を選択する方が、会社側にとって適切な場合もあります。

最終更新日:2026年2月25日

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