労働問題410 紛争調整委員会から、「あっせん開始通知書」が会社に届きました。どのように対応すればいいでしょうか。
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まず「請求に理由があるかどうか」で対応が二分される。全く理由がない場合は不参加の連絡票を提出、それなりの理由がある場合は参加を検討 この判断を誤ると後の訴訟・労働審判において不利な状況が生まれます |
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参加する場合は、会社の主張書面を事前提出し、支払可能な解決金の上限を弁護士と協議して事前に決めてからあっせん実施日に臨む 「その場で判断する」という対応はリスクがあります |
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しっかりした書面さえ提出できれば、あっせん実施日当日に代理人弁護士が同行する必要はないケースも多い。ただし不安な場合は弁護士への相談を いずれにせよ、あっせん開始通知書が届いた時点で速やかに弁護士に相談することをお勧めします |
目次
01あっせん開始通知書が届いたら。まず確認すべきこと
紛争調整委員会から「あっせん開始通知書」が届いた場合、まずあっせんに参加するかどうかを判断する必要があります。あっせんへの参加は義務ではないため、参加・不参加を選択できます(411番参照)。
参加・不参加の判断の基軸は、「労働者の請求に理由があるかどうか」です。この判断を誤ると、不参加にすべきケースで参加してしまったり、参加すべきケースで不参加にしてしまったりして、後の紛争において不利な状況が生まれます。あっせん開始通知書が届いた時点で速やかに使用者側弁護士に相談し、請求内容の法的評価と対応方針を確定することを最初のステップとすることをお勧めします。
02対応パターン①:全く理由がない場合。不参加の連絡票を提出
労働者の請求に全く理由がないため、会社側は1円も解決金を支払う意思がないなど、全く譲歩の余地がない場合は、あっせんに参加しない旨を記載した連絡票を紛争調整委員会宛に郵送またはFAXすることになります。
なお、あっせんに参加しない理由が客観的にもっともな内容で、労働者の納得を得ることができる可能性がある場合は、その理由を会社意見欄に記入した上で、「会社意見等について申請人(労働者)に知らせることについて」欄の「可」を○で囲んで提出することも考えられます。
不参加の場合も会社意見の記載は弁護士と事前に協議する
不参加の連絡票に会社意見を記入する場合は、万が一にも後日の訴訟等で不利な結果になることがないよう、弁護士に相談した上で記載内容を決定すべきです。会社意見欄の記載が後の訴訟における「証拠」として使われる可能性があるため、不用意な記載は危険です。
03対応パターン②:それなりの理由がある場合。参加を検討
労働者の請求にそれなりの理由があり、あっせんで解決しておかないと後日に労働審判を申し立てられたり訴訟を提起されたりするリスクがある場合。ある程度の解決金を支払ってでも早期解決するメリットがあるような場合。は、あっせんへの参加を検討すべきでしょう。
参加する場合は、あっせんに参加する旨を記載した連絡票を紛争調整委員会宛に郵送またはFAXすることになりますが、会社の主張を事前に提出する必要があります。労働者の請求にそれなりの理由がある事案は後日訴訟等になる可能性が比較的高いため、主張内容・証拠の収集選定について弁護士と協議して決めることが特に重要となります。
参加する場合に事前に準備すべきこと
①主張書面の作成:会社側の主張を整理した書面を事前提出する。あっせん委員に対して会社側の立場を正確に伝えることが重要
②証拠の収集・選定:主張を裏付ける証拠(タイムカード・業務記録・やり取りの記録等)を整理する
③解決金の上限設定:事前に弁護士と協議し、支払可能な解決金の上限額を決定してからあっせん実施日に臨む
④対応方針の確定:あっせん案を受け入れる場合と拒否する場合の判断基準を事前に決めておく
04当日の対応。代理人弁護士の同行は必要か
あっせん実施日当日に代理人弁護士が同行する必要があるかどうかについては、しっかりした書面さえ事前に提出できれば同行が必要でないケースも多いと考えられます。
不安なようであれば弁護士に代理人として同行するよう相談することも考えられます。ただし、弁護士費用を支払ってでも代理人弁護士に同行してもらわなければならないような事案は、そもそも簡易迅速な紛争解決手続であるあっせん手続にはなじまない可能性があります。そのような事案は、最初から労働審判・訴訟を念頭に置いた対応を取ることも選択肢として考えられます。
05落としどころが微妙な場合の対応方針
落としどころが微妙な事案については、一定金額以上の解決金は支払わないことを弁護士に相談して事前に決めてからあっせん実施日に臨むことをお勧めします。その金額以下であれば合意を成立させ、その金額を超えなければ合意が成立しないようであれば合意不成立のままあっせん手続を打ち切ってもらうという対応です。
「その場で判断する」という対応は危険です。あっせんの場では委員から和解を勧められ、プレッシャーの中で判断することになります。事前に上限額を決めておくことで、その場での感情的な判断を避け、会社経営者として合理的な意思決定が可能になります(409番参照)。
06まとめ
あっせん開始通知書が届いた場合、まず「労働者の請求に理由があるかどうか」を基軸に対応を判断します。全く理由がない場合は不参加の連絡票を提出し、それなりの理由がある場合は参加を検討します。参加する場合は主張書面の事前提出・証拠の収集・解決金上限の事前決定が不可欠です。いずれにせよ、あっせん開始通知書が届いた時点で速やかに使用者側弁護士に相談することが最善の対応です。アドバイスします。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
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Q&Aよくある質問
Q1. あっせん開始通知書には回答期限がありますが、期限内に対応できない場合はどうすればよいですか。
A. 期限内に対応できない場合は、紛争調整委員会に連絡して事情を説明し、延長できないか相談することが考えられます。ただし、早期に対応することが望ましいため、あっせん開始通知書が届いた時点で速やかに使用者側弁護士に相談して対応方針を決定することをお勧めします。
Q2. あっせん実施日当日に、会社からは誰が出席すれば良いですか。
A. あっせん実施日当日の出席者は、あらかじめ紛争調整委員会から案内があります。代表者自身が出席するケース・人事担当者が出席するケース等、事案の性質によって異なります。出席者の選定・事前準備・当日の対応方針については、使用者側弁護士と事前に協議して決定することをお勧めします。
最終更新日:2026年5月31日