労働問題178 有期労働契約の類型には、どのようなものがありますか。
目次
有期労働契約は、①純粋有期契約タイプ(期間満了で当然終了)と②実質無期・合理的期待タイプ(雇止め制限あり)に大別されます。さらに②は実質無期タイプ・期待保護(反復更新)タイプ・期待保護(継続特約)タイプの3つに細分されます。自社の有期契約がどの類型に当たるかを把握することが雇用管理の出発点です。
1. 調査研究会による類型分析
「有期労働契約の反復更新に関する調査研究会」(山川隆一座長)は38件に及ぶ雇止め裁判例を分析し、平成12年9月に報告書を発表しました。同報告では有期労働契約を以下のように類型化しています。
2. タイプ①——純粋有期契約タイプ(雇止めリスク低)
契約期間の満了によって当然に契約関係が終了するタイプです。以下の特徴が認められます。
・業務内容の臨時性・季節性が認められる
・契約当事者が有期契約であることを明確に認識している
・更新の手続が厳格に行われている(毎回契約書を作成・押印)
・同様の地位にある労働者に過去に雇止めの例がある
このタイプでは、雇止めはその事実を確認的に通知するものに過ぎず、雇止めに合理的理由は不要です。会社が目指すべき有期契約の形がこのタイプです。
3. タイプ②——実質無期契約タイプ(労契法19条1号)
期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っているタイプです。以下の特徴があります。
・業務内容が恒常的
・更新手続が形式的(契約書を毎回作り直さない・自動更新)
・雇用継続を期待させる使用者の言動がある
・同種の地位にある労働者に雇止めの例がほとんどない
このタイプでは、ほとんどの事案で雇止めは認められていません。正社員の解雇と同等のハードルがかかります。
4. タイプ③——期待保護(反復更新)タイプ(労契法19条2号)
雇用継続への合理的な期待が反復更新の実態から認められるタイプです。更新回数は多いものの、業務内容が正社員と同一でないものも多く、同種の労働者に対する雇止めの例もあります。経済的事情による雇止めについては、正社員の整理解雇とは判断基準が異なるとして雇止めを認めた事案も見られます。
5. タイプ④——期待保護(継続特約)タイプ(労契法19条2号)
雇用継続への合理的な期待が当初の契約締結時等から生じているタイプです。更新回数は概して少なく、契約締結の経緯等が特殊な事案が多いです。当該契約に特殊な事情の存在を理由として雇止めを認めない事案が多い傾向があります。
⚠ 自社の有期契約のタイプを正確に把握することが重要
自社の有期契約がどの類型に当たるかによって、雇止めのリスク評価・必要な対策が大きく異なります。既存の有期契約社員の雇用管理実態を弁護士に確認してもらうことで、リスクの「見える化」ができます。
自社の有期契約の類型診断・雇止めリスクの評価・雇用管理体制の整備について、弁護士へのご相談をお勧めします。→ 経営労働相談はこちら
さらに詳しく知りたい方はこちら
- 有期契約労働者の契約期間が満了したことを理由として辞めてもらう場合でも、トラブルになるリスクはありますか。
- 労契法19条により雇止め制限が認められるかどうかを判断する際のポイントを教えて下さい。
- 実質無期又は契約更新に合理的期待があると評価されないために最低限すべきことを教えて下さい。
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
最終更新日 2026/04/10