労働問題177 労契法19条の適用により雇止めが制限された場合、どのような法律効果が生じるのですか。


この記事の要点

労契法19条の適用により雇止めが制限された場合、使用者は従前の有期労働契約の内容(労働条件・契約期間)と同一の条件で労働者からの申込みを承諾したものとみなされます。これは契約が自動的に更新されるのと同様の効果であり、無期転換にはなりません。従来の濫用論(雇止め無効)とは効果が異なります。

1. 承諾みなしの効果——同一条件での有期契約の更新

 労契法19条の適用により雇止めが制限された場合、使用者は従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で、労働者からの有期労働契約の更新または締結の申込みを承諾したものとみなされることになります。

 この「同一の労働条件」には契約期間も含まれます。したがって、雇止めが制限された場合でも、無期労働契約が成立するわけではなく、従前と同じ期間の有期労働契約が更新(または新たに締結)されたという効果が生じます。

2. 従来の雇止め法理(濫用論)との効果の違い

 従来の雇止め法理(解雇権濫用法理の類推適用)では、雇止めが権利の濫用として「無効」という効果が生じていました。これは雇用継続の効果を認めるものであっても、新たな有期労働契約の成立を直接意味するものではありませんでした。

 これに対し、労契法19条の承諾みなしは、従前の有期労働契約と同一の条件で新たな有期労働契約が成立したという積極的な効果を生じさせます。効果の表れ方は異なりますが、実質的には雇用継続という点で同様の結果になります。

3. 実務上の重要な含意

 雇止めが制限された場合は、同一条件での有期労働契約が改めて成立した状態になります。つまり、その後再び契約期間が満了すれば、また雇止めの問題が生じます。雇止め制限が一度適用されたとしても、有期雇用関係が「永続する」わけではない点を理解しておくことが重要です。

 他方で、雇止めが制限された状態から無期転換(労契法18条の5年超の条件)に至ることもあり得ます。有期契約の長期管理には、雇止め制限(19条)と無期転換(18条)の両方を視野に入れた戦略的な対応が必要です。

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弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 /  「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

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弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

 

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最終更新日 2026/04/10

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