この記事の結論
1

固定給部分と歩合給部分を別々に計算して合算する

固定給部分は一月平均所定労働時間数で除して時間単価を算出し各割増率を乗じます。歩合給部分は総労働時間数で除して時間単価を算出し割増部分のみ(×0.25等)追加します。

2

モデルケース(B氏)の当月残業代合計は11万2,690円

法内時間外賃金17,390円+時間外割増賃金55,850円+休日割増賃金36,480円+深夜割増賃金2,970円=合計112,690円となります。

前提:法内時間外労働と法定時間外労働の区別

就業規則上の所定労働時間が7時間30分の企業において、7時間30分を超えて残業させた場合、8時間までの30分間は法内時間外労働(割増不要・就業規則等に定める賃金を支払う)、8時間を超えた部分は法定時間外労働(25%以上の割増賃金が必要)となります。

企業・労働者の労働状況の確認(モデルケース)

企業A社
① 1日の所定労働時間:7時間30分
② 所定休日:土・日・祝日、年末年始(12月28日〜1月5日)、夏季休暇6日(年間休日135日)
③ 就業規則:法内時間外労働については基本給の通常の労働時間の賃金を支払う

労働者B氏
① 当月の賃金:基本給250,000円、歩合給50,000円
② 当月の総労働時間数:208時間
③ 当月の残業時間:法内時間外労働時間数10時間、時間外労働時間数25時間、休日労働時間数15時間、深夜(22時〜翌5時)労働時間数6時間

01固定給(月給)の時間単価の計算(小数点以下四捨五入)

年間所定労働日数 = 365日 - 135日 = 230日
年間所定労働時間数 = 7.5時間 × 230日 = 1,725時間
一月平均所定労働時間数 = 1,725時間 ÷ 12か月 = 143.75時間
① 通常の賃金の時間単価 = 250,000円 ÷ 143.75時間 ≒ 1,739円/時

② 時間外労働の時間単価 1,739円 × 1.25 ≒ 2,174円/時
③ 休日労働の時間単価 1,739円 × 1.35 ≒ 2,348円/時
④ 深夜労働の時間単価(加算分) 1,739円 × 0.25 ≒ 435円/時

02歩合給(出来高払制)の時間単価の計算(小数点以下四捨五入)

① 通常の賃金の時間単価 = 50,000円 ÷ 208時間(総労働時間数)≒ 240円/時

② 時間外労働の時間単価(割増部分のみ) 240円 × 0.25 60円/時
③ 休日労働の時間単価(割増部分のみ) 240円 × 0.35 84円/時
④ 深夜労働の時間単価(割増部分のみ) 240円 × 0.25 60円/時

03残業代単価の計算(固定給+歩合給の合算)

区分 固定給部分 歩合給部分 合計単価
① 法内時間外 1,739円 (なし) 1,739円/時
② 時間外 2,174円 60円 2,234円/時
③ 休日 2,348円 84円 2,432円/時
④ 深夜(加算分) 435円 60円 495円/時

※ 法内時間外は就業規則の定めに基づき固定給部分の通常賃金のみ(歩合給部分の加算なし)

04各区分の残業代の計算

区分 計算式 金額
① 法内時間外賃金 1,739円 × 10時間 17,390円
② 時間外割増賃金 2,234円 × 25時間 55,850円
③ 休日割増賃金 2,432円 × 15時間 36,480円
④ 深夜割増賃金(加算分) 495円 × 6時間 2,970円

05当月の残業代合計

B氏の当月の残業代
= 17,390円 + 55,850円 + 36,480円 + 2,970円
112,690円

経営上のポイント 所定7時間30分・固定給25万円・歩合給5万円・総労働208時間の場合、固定給部分の時間単価は1,739円(1月平均143.75時間で算出)、歩合給部分は240円(208時間で算出)となります。法内時間外10h・時間外25h・休日15h・深夜6hの当月残業代合計は112,690円です。計算方法に不安がある場合は弁護士・社労士に相談することをお勧めします。アドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

Q&Aよくある質問

Q1. 法内時間外労働(7時間30分〜8時間)の歩合給部分についても追加支払いが必要ですか。

A. 本モデルケースでは、就業規則に「法内時間外労働については基本給の通常の労働時間の賃金を支払う」と定められているため、法内時間外労働の単価は固定給部分のみ(1,739円)としています。歩合給部分については、時間を延長した成果が既に歩合給に含まれているという考え方から、法内時間外についての追加支払いは行っていません。ただし、就業規則の定め方によっては異なる扱いになる場合がありますので、自社の規程を確認してください。

Q2. 総労働時間数208時間には法内時間外・時間外・休日・深夜の全ての時間が含まれますか。

A. はい、含まれます。歩合給の時間単価計算に用いる「総労働時間数」は、所定労働時間数のみならず、法内時間外・時間外・休日・深夜労働を含む当月の実際の総労働時間数です(労基則19条1項6号)。所定労働時間数のみで除すると時間単価が高くなり、歩合給部分の割増賃金の計算が不正確になりますので注意が必要です。

Q3. 深夜労働6時間が時間外労働と重複している場合の計算はどうなりますか。

A. 深夜労働(22時〜翌5時)と時間外労働が重複する場合は、時間外割増(25%)に深夜割増(25%)を加算します。本計算では深夜割増を④として「加算分」単価(固定給435円+歩合給60円=495円)で計算しています。深夜の6時間が全て時間外と重複している場合は、②の時間外割増賃金(2,234円×25時間)に加えて④の深夜割増賃金(495円×6時間)が加算されます。

最終更新日:2026年2月25日


Return to Top ▲Return to Top ▲