労働問題625 固定給と歩合給の両方を支払っている場合の残業代は、どのように計算すればいいですか?

 固定給と歩合給制の両方がある場合、固定給部分の計算と歩合給部分の計算を別々に行わなければなりません。
 固定給の場合、時間外労働分の時間単価は固定給に含まれていないため、時間単価に相当する部分も支払う必要があり、時間外労働をさせた場合、通常の労働時間の時間単価に1.25を掛けて時間外労働の賃金の時間単価を算出していました。
 これに対して、歩合給の場合は、時間を延長したことによって成果が上がっているという面があり、時間単価に相当する部分は既に歩合給に含まれていると考えられることから、支払うべき割増賃金(残業代)は、時間単価の125%ではなく、25%で足りるとされています。

 固定給と歩合給、両方を支払っている場合の残業代の計算については、例えば、以下のような計算方法があります。

1.賃金、労働状況の確認
 当月の基本給と歩合給:基本給25万円、歩合給3万円
1日の所定労働時間:8時間
 当月の総労働時間数:246時間
1年の日数:366日(閏年)
所定休日:土、日、祝日、年末年始12月28日~1月4日、夏季休暇3日
A氏の当月の残業時間:時間外労働時間数35時間、深夜労働時間数10時間、休日労働時間数25時間

2.月によって定められた賃金における通常の労働時間の賃金の時間単価
年間所定労働日数=366日-休日131日=235日
年間の所定労働時間数=1日の所定労働時間8時間×235日=1880時間
1月平均所定労働時間数=1880時間÷12か月≒156.67時間(小数第三位以下四捨五入)
月によって定められた賃金における通常の労働時間の賃金の時間単価=月給25万円÷156.67時間≒1596円/時(小数点以下四捨五入)

3.月によって定められた賃金の割増賃金(残業代)単価(小数点以下四捨五入)
・時間外労働の時間単価=1596円/時×1.25=1995円/時
・深夜労働の時間単価=1596円/時×0.25=399円/時
・休日労働の時間単価=1596円/時×1.35≒2155円/時

4.出来高払い制によって定められた賃金の割増賃金(残業代)単価(小数点以下四捨五入)
歩合給3万円÷総労働時間数246時間≒122円/時
・時間外労働の時間単価=122円/時×0.25≒31円/時
・深夜労働の時間単価=122円/時×0.25≒31円/時
・休日労働の時間単価=122円/時×0.35≒43円/時

5.割増賃金(残業代)単価
・時間外労働の時間単価=1995円/時+31円/時=2026円/時
・深夜労働の時間単価=399円/時+31円/時=430円/時
・休日労働の時間単価=2155円/時+43円/時=2198円/時

6.割増賃金(残業代)
・時間外割増賃金=2026円/時×時間外労働時間数35時間=7万910円
・深夜割増賃金=430円/時×深夜労働時間数10時間=4300円
・休日割増賃金=2198円/時×休日労働時間数25時間=5万4950円

7.賃金総額
賃金総額=基本給25万円+歩合給3万円+時間外割増賃金7万910円+深夜割増賃金4300円+休日割増賃金5万4950円=41万160円

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