この記事の結論
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通常の明示事項に加えて、契約更新の有無・更新の判断基準の明示が必要

有期労働契約では、無期雇用の場合と同様の労働条件の明示に加えて、契約更新の有無を明示する必要があります。更新することがある場合には、その判断基準も明示しなければなりません。

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更新の有無・判断基準の具体的な記載例

更新の有無の例:「自動的に更新する」「更新する場合がある」「更新はしない」。判断基準の例:「契約期間満了時の業務量により判断する」「労働者の勤務成績・態度により判断する」等。

01有期労働契約における労働条件明示の追加事項

 労働契約を締結する際に、賃金や労働時間などの労働条件を明示することは、無期雇用の場合と同様に必要です(雇入れ時の通知事項については596番参照)。

 これに加えて、期間の定めのある契約(有期労働契約)の場合は、契約更新の有無を明示する必要があります。そして、更新することがある場合には、その判断基準についても明示しなければなりません。

02更新の有無・判断基準の記載例

 更新の有無の明示例として、次のものが考えられます。

更新の有無の記載例

・「自動的に更新する」
・「更新する場合がある」
・「契約の更新はしない」

 更新の判断基準の明示例として、次のものが考えられます。

更新の判断基準の記載例

・「契約期間満了時の業務量により判断する」
・「労働者の勤務成績、態度により判断する」
・「労働者の能力により判断する」
・「会社の経営状況により判断する」
・「従事している業務の進捗状況により判断する」

 これらの記載を労働条件通知書または雇用契約書に明記することが求められます。更新の有無や判断基準の記載が不明確であると、後日の雇止め(更新拒否)の場面で会社の主張が通りにくくなる可能性があります。

03会社経営者が取るべき実務上の対応

 有期労働契約については、雇入れ時の書面明示だけでなく、更新時の書面明示も重要です。更新のたびに、更新後の契約内容(期間・賃金・更新の有無・判断基準等)を記載した書面を交付することが必要です。

 また、更新を繰り返すうちに、雇止め(契約の更新拒否)が制限される可能性があります。労働契約法19条は、①過去に繰り返し更新されており雇止めが無期労働契約の解雇と同視できる場合、または②更新されることについて合理的な期待がある場合には、客観的に合理的な理由・社会通念上の相当性がない雇止めを無効としています。「更新する場合がある」という記載が積み重なることで、更新への合理的期待が生じるリスクがあることにも注意が必要です。

 さらに、2024年4月施行の改正により、有期労働契約の更新上限がある場合の明示義務や、無期転換申込権が発生する旨の明示義務が強化されています。最新の法令に対応した書式を使用することが重要です。有期労働契約の設計や更新管理については、使用者側弁護士に相談することをお勧めします。

経営上のポイント 有期労働契約では、通常の労働条件明示に加えて、①契約更新の有無(「自動更新する」「更新する場合がある」「更新しない」等)と②更新の判断基準(業務量・勤務成績・能力・経営状況等)の明示が必要です。更新時にも書面を交付することが重要です。更新を繰り返すと雇止めが制限される可能性がある点にも注意が必要です。有期契約の設計・管理は弁護士に相談することをお勧めします。アドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

Q&Aよくある質問

Q1. 「更新する場合がある」という曖昧な記載でも大丈夫ですか。

A. 「更新する場合がある」という記載は法定の明示例の一つとして認められていますが、更新判断基準を併せて明示することが必要です。また、「更新する場合がある」という記載が繰り返されることで、労働者に更新への合理的な期待が生じ、雇止めが困難になるリスクがあります。将来的に雇止めを検討する可能性がある場合は、更新基準を客観的に明示し、雇止めの合理的な理由が説明できる状態にしておくことが重要です。

Q2. 有期契約を何回更新すると無期転換権が発生しますか。

A. 有期労働契約が反復して更新され、通算5年を超えた場合、労働者は使用者に対して無期労働契約への転換(無期転換)を申し込む権利(無期転換権)を取得します(労働契約法18条)。無期転換権が行使されると、使用者はこれを拒否できません。5年のカウントにあたっては、同一の使用者との有期労働契約の通算期間が対象となります。更新回数ではなく通算期間(5年超)が基準です。

Q3. 有期労働契約の雇止めを行う場合、事前の通知は必要ですか。

A. 3回以上更新した有期労働契約、または1年を超えて継続して雇用されている場合に雇止めを行う際は、少なくとも30日前に雇止めの予告をする必要があります(厚生労働省の告示)。また、労働者から理由の証明書の請求があれば、速やかに雇止めの理由を記載した証明書を交付する義務があります。雇止めを検討する場合は事前に弁護士に相談することをお勧めします。

最終更新日:2026年2月25日


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