この記事の結論
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参加した利害関係人は、基本的には当事者と同様の権限を有する

労働審判手続に参加した利害関係人は、基本的には、当事者と同様の権限を有することになります。手続に加わる以上、当事者に準じた関与が認められています。

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申立ての取下げはできず、排斥されることも。訴訟の参加人にもなれない

利害関係人は、参加という方法で加わったにすぎないため、申立ての取下げはできず、委員会の裁量で手続から排斥されることもあり得ます。訴訟移行後の参加人になれるわけでもありません。

 労働審判手続に参加した利害関係人は、基本的には、当事者と同様の権限を有することになります。もっとも、利害関係人は、参加という方法で労働審判に加わったにすぎないため、当事者とまったく同じ立場になるわけではありません。

 会社側専門の弁護士の立場から、参加した利害関係人が当事者とどう違うのか、その権限の範囲と限界を解説します。

01利害関係人の参加(労働審判法29条2項)

 労働審判手続の結果に利害関係を有する者は、労働審判委員会の許可を受けて、労働審判手続に参加することができます。また、労働審判委員会は、相当であると認めるときは、労働審判の結果について利害関係を有する者を労働審判手続に参加させることができます(労働審判法29条2項)。前者が任意参加、後者が強制参加と呼ばれるものです。

02基本的には当事者と同様の権限を有する

 このようにして労働審判手続に参加した利害関係人は、基本的には、当事者と同様の権限を有することになります。手続に関与し、陳述を行うなど、当事者に準じた立場で審理に加わることができます。参加した利害関係人の陳述等も労働審判の資料となるため、会社側としては、当事者に準じる存在として対応を考える必要があります。

03当事者と異なる3つの点

 もっとも、利害関係人は、参加という方法で労働審判に加わったにすぎませんので、当事者と異なる点があります。

利害関係人が当事者と異なる点
労働審判手続の申立てを取り下げることはできない
労働審判委員会の裁量により、手続から排斥されることもあり得る
訴訟に移行した場合、移行後の訴訟の参加人になれるわけではない

 ①申立ての取下げは、あくまで申立人の権限であり、参加した利害関係人が行うことはできません。②また、参加が委員会の裁量による以上、その裁量により手続から排斥されることもあり得ます。③さらに、労働審判事件が訴訟に移行した場合には、利害関係人は、移行後の訴訟の参加人になれるわけではないと考えられます。労働審判手続への参加の効果が、当然に訴訟へと引き継がれるわけではないということです。

04会社側が押さえておくべき視点

 会社側としては、参加した利害関係人が基本的に当事者と同様の権限を持つ以上、その陳述や主張に的確に対応する必要があります。他方で、利害関係人の地位は、当事者ほど安定したものではなく、委員会の裁量により排斥されることもあり、訴訟に移行すれば当然には引き継がれません。

経営者が見落としやすいポイント

労働審判に利害関係人が参加していても、訴訟に移行した後は、その利害関係人が当然に訴訟の参加人になるわけではありません。労働審判の段階で利害関係人を交えて調整が進んでいたとしても、訴訟移行後は当事者の構成が変わり得ることを想定して、解決の枠組みを検討する必要があります。

 労働審判の段階と訴訟移行後とで、関与する者の範囲が変わり得ることを踏まえ、解決の見通しを立てることが重要です。利害関係人が参加した場合の対応方針は、会社側専門の弁護士と検討しておくとよいでしょう。

05よくある質問(FAQ)

Q. 参加した利害関係人は、当事者と同じ権限を持つのですか。

基本的には、当事者と同様の権限を有することになります。ただし、参加という方法で労働審判に加わったにすぎないため、申立ての取下げはできず、委員会の裁量により手続から排斥されることもあり得ます。

Q. 利害関係人が、労働審判の申立てを取り下げることはできますか。

できません。申立ての取下げは申立人の権限であり、参加した利害関係人が労働審判手続の申立てを取り下げることはできません。

Q. 訴訟に移行すると、利害関係人はどうなりますか。

労働審判事件が訴訟に移行した場合には、利害関係人は、移行後の訴訟の参加人になれるわけではないと考えられます。労働審判手続への参加の効果が、当然に訴訟へ引き継がれるわけではありません。

経営上のポイント 労働審判手続の結果に利害関係を有する者は、労働審判委員会の許可を受けて参加でき、委員会が相当と認めるときは参加させることもできます(労働審判法29条2項)。参加した利害関係人は、基本的には当事者と同様の権限を有します。もっとも、参加という方法で加わったにすぎないため、①労働審判手続の申立てを取り下げることはできず、②委員会の裁量により手続から排斥されることもあり得ます。また、③労働審判事件が訴訟に移行した場合、利害関係人は移行後の訴訟の参加人になれるわけではないと考えられます。会社側としては、参加した利害関係人の陳述に的確に対応しつつ、訴訟移行後は当事者の構成が変わり得ることを想定して解決の枠組みを検討する必要があります。対応方針は、会社側・使用者側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。労働審判への対応でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月13日


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