この記事の結論
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取下げに相手方(会社側)の同意は不要

申立ての取下げは、申立人が労働審判期日で行うか、取下書を裁判所に提出して行います。相手方の同意は不要で、取下書の到達時または期日での口頭による取下げ時に効力が生じます。

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取下げができるのは調停成立まで等。訴訟移行後はできない

取下げができるのは、調停の成立まで、または訴えの提起があったとみなされるまでです。訴訟に移行した後は、労働審判手続の申立ての取下げはできず、訴えの取下げを検討することになります。

 労働審判手続の申立ての取下げは、申立人が、労働審判期日で行うか、取下書を裁判所に提出する方法で行わなければなりません。取下げに相手方(主に会社側)の同意は不要であり、会社側としては、通知を受けて初めて取下げを知ることもあります。

 会社側専門の弁護士の立場から、申立ての取下げの方法・効果・通知、そして取下げができる時期について解説します。

01申立ての取下げの方法

 労働審判手続の申立ての取下げは、申立人が、労働審判期日で行うか、取下書を裁判所に提出する方法で行わなければなりません。申立ての取下げが労働審判期日で行われた場合には、労働審判官(裁判官)が裁判所書記官に調書の作成を命じ、裁判所書記官が、申立ての取下げがあったことを調書に記載します。

02取下げの効果(相手方の同意は不要)

 申立人が労働審判手続の申立てを取り下げた場合の効力は、裁判所に取下書が到達した時、または労働審判期日において口頭により申立てを取り下げたときに生じます。

 ここで会社側として押さえておくべきなのは、労働審判手続の申立ての取下げについて、相手方の同意は不要であるという点です。民事訴訟では、被告が本案について準備書面を提出等した後の訴えの取下げには被告の同意が必要とされますが、労働審判手続の申立ての取下げは、これと異なり、会社側の同意なく行うことができます。

03相手方への通知(労働審判規則34条)

 申立人が労働審判手続の申立てを取り下げたら、裁判所書記官から、相手方(主に会社側)に対し、その旨が通知されます(労働審判規則34条)。ただし、次の3つの事項のいずれかに該当する場合には、通知されません。

通知されない場合
相手方が出頭した労働審判期日において申立てが取り下げられたとき
申立書の写しが相手方に送付される前に申立てが取り下げられたとき
相手方が所在不明のときや外国に在るとき

 ①は、相手方が期日に出頭していてその場で取下げを認識できるため、②は、そもそも会社側が申立てを知る前であるため、通知の必要がないという趣旨です。

04取下げができる時期

 労働審判手続の申立ての取下げができるのは、次のとおりです。①調停の成立まで、②労働審判に対する適法な異議の申立て、労働審判の取消決定の確定、または労働審判事件の終了により、訴えの提起があったとみなされるまで、です。手続が終局に至った後は、取下げの余地がなくなります。

05訴訟へ移行した後の扱い

 労働審判が訴訟へ移行した後は、労働審判手続の申立ての取下げはできないと考えられます。そのため、その場合は、訴えの取下げを検討することになります。訴えの取下げには民事訴訟法のルールが適用されるため、会社側が本案について応訴した後は、取下げに会社側の同意が必要となる場面があります。労働審判の段階と訴訟移行後とで、取下げの扱いが異なる点に注意が必要です。

経営者が見落としやすいポイント

労働審判の段階では、申立人は会社側の同意なく申立てを取り下げることができます。会社側が答弁書を準備して対応していても、取下げを止めることはできません。取下げによって紛争そのものが解決したわけではなく、あらためて訴訟等を提起される可能性も残るため、取下げの通知を受けた場合には、その後の見通しを含めて検討しておくことが重要です。

06よくある質問(FAQ)

Q. 申立ての取下げに、会社側の同意は必要ですか。

必要ありません。労働審判手続の申立ての取下げについて、相手方の同意は不要です。取下げの効力は、裁判所に取下書が到達した時、または労働審判期日で口頭により取り下げたときに生じます。

Q. 取下げがあったことは、会社側に知らされますか。

裁判所書記官から相手方に通知されます(労働審判規則34条)。ただし、①相手方が出頭した期日で取り下げられたとき、②申立書の写しが相手方に送付される前に取り下げられたとき、③相手方が所在不明のときや外国に在るときは、通知されません。

Q. 訴訟に移行した後でも、労働審判の申立てを取り下げられますか。

できないと考えられます。労働審判が訴訟へ移行した後は、労働審判手続の申立ての取下げはできないため、その場合は訴えの取下げを検討することになります。

経営上のポイント 労働審判手続の申立ての取下げは、申立人が労働審判期日で行うか、取下書を裁判所に提出して行います。期日で取り下げられた場合は、労働審判官の命により、裁判所書記官が調書に記載します。効力は、取下書の到達時または期日での口頭による取下げ時に生じ、相手方(会社側)の同意は不要です。取下げがあれば裁判所書記官から会社側に通知されますが、①相手方が出頭した期日での取下げ、②申立書の写しの送付前の取下げ、③相手方が所在不明・外国在住の場合には通知されません(労働審判規則34条)。取下げができるのは、調停の成立まで、または訴えの提起があったとみなされるまでで、訴訟移行後は訴えの取下げを検討することになります。取下げ後の見通しを含めた対応は、会社側・使用者側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。労働審判への対応でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月13日


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