この記事の結論
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労働審判は、権利関係と手続の経過を踏まえた、事案に即した判断

労働審判とは、個別労働関係民事紛争について、当事者間の権利関係を踏まえつつ事案の実情に即した解決をするために必要な審判をいいます(労働審判法1条)。金銭の支払、物の引渡しその他の財産上の給付を命じることができます(同20条2項)。

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審判書の作成が原則だが、口頭で告知して行うこともできる

労働審判は、原則として主文および理由の要旨を記載した審判書を作成して行いますが、当事者双方が出頭している期日では、審判書の作成に代えて口頭で告知する方法をとることもできます(同20条6項)。

 労働審判とは、個別労働関係民事紛争について、当事者間の権利関係を踏まえつつ、事案の実情に即した解決をするために必要な審判をいいます(労働審判法1条)。調停による解決に至らなかった場合に、労働審判委員会が示す最終的な判断がこれに当たります。

 会社側専門の弁護士の立場から、労働審判がどのような内容を持ち、どのように示されるのかを解説します。

01労働審判とは(労働審判法1条)

 労働審判法1条は、労働審判を「個別労働関係民事紛争について当事者間の権利関係を踏まえつつ事案の実情に即した解決をするために必要な審判」と定義しています。労働審判委員会は、まず調停による解決を試み、調停が成立しない場合に、この労働審判を行います。労働審判は、単純に権利義務の有無を判断するだけの制度ではなく、事案の実情に即した柔軟な解決を志向している点に特徴があります。

02労働審判で命じられる内容(同20条2項)

 労働審判では、当事者間の権利関係を確認し、金銭の支払、物の引渡しその他の財産上の給付を命じ、その他個別労働関係民事紛争の解決をするために相当と認める事項を定めることができます(労働審判法20条2項)。通常の判決が請求の認容・棄却という二者択一的な判断にとどまるのに対し、労働審判は、権利関係の確認にとどまらず、解決のために相当な事項を柔軟に定めることができる点が特徴です。

03権利関係と手続の経過に「踏まえて」の意味

 労働審判委員会は、審理の結果認められる当事者間の権利関係および労働審判手続の経過を踏まえて、労働審判を行います(労働審判法20条1項)。もっとも、これは、当事者間の権利関係と全く同じ内容の労働審判を行わなければならないという意味ではありません。また、「手続の経過を踏まえて」という部分についても、当事者の意向にそのまま拘束されると考えるべきではありません。

 労働審判委員会は、審理を通じて把握した権利関係や、期日でのやり取りといった手続の経過を総合的に考慮したうえで、事案の実情に即した解決内容を定めます。会社側としては、権利関係の主張が認められれば、そのままの内容で審判が出るとは限らないことを理解しておく必要があります。

04審判書の作成と送達

 労働審判は、原則として、主文および理由の要旨を記載した審判書を作成して行わなければなりません。作成された審判書は、当事者に送達され、労働審判の効力は、当事者に送達された時に生じます。

 なお、審判書を送達すべき場合において、当事者の住所が知れないなど、一定の事由があるときは、裁判所は、決定で労働審判を取り消さなければならないとされています(労働審判法23条1項)。当事者の所在が判明しない状態が続くと、せっかく示された労働審判が取り消されてしまうこともあるということです。

05口頭による告知

 労働審判委員会は、相当と認めるときは、審判書の作成に代えて、当事者双方が出頭している労働審判手続の期日において、労働審判の主文および理由の要旨を口頭で告知する方法により、労働審判を行うこともできます(労働審判法20条6項)。この場合、労働審判の効力は、告知された時に生じます。

 実務上、口頭による告知は、迅速な手続を志向する労働審判の性格とも整合的であり、審判書の作成・送達を待たずに結論が確定するという特徴があります。会社側としては、期日に出頭していれば、その場で労働審判の内容を知ることになり得るという前提で準備しておく必要があります。

06会社側が押さえておくべき視点

 労働審判は、権利関係の白黒をつけるだけの制度ではなく、事案の実情に即した柔軟な解決を図る手続です。会社側としては、法的な主張の正しさだけでなく、労働審判委員会がどのような解決を相当と考えるかという視点も踏まえて、主張と証拠を組み立てることが重要です。また、審判の内容は、審判書の送達によって知る場合と、期日での口頭告知によってその場で知る場合とがあるため、いずれの形になっても対応できるよう、期日には十分な準備をして臨む必要があります。

07よくある質問(FAQ)

Q. 労働審判は、必ず会社側の主張どおりの内容になりますか。

そうとは限りません。労働審判委員会は、審理の結果認められる権利関係と手続の経過を踏まえて労働審判を行いますが(労働審判法20条1項)、これは、権利関係とまったく同じ内容にしなければならないという意味ではありません。事案の実情に即した解決として、独自の内容が定められることがあります。

Q. 労働審判の内容は、どのように知らされますか。

原則として、主文と理由の要旨を記載した審判書が作成され、当事者に送達されます。もっとも、当事者双方が出頭している期日では、審判書の作成に代えて、口頭で主文と理由の要旨が告知されることもあります(労働審判法20条6項)。

Q. 労働審判では、どのようなことを命じられますか。

当事者間の権利関係の確認、金銭の支払、物の引渡しその他の財産上の給付を命じることができるほか、紛争解決のために相当と認める事項を定めることができます(労働審判法20条2項)。判決のような請求の認容・棄却の二者択一にとどまらない、柔軟な内容が定められる点が特徴です。

経営上のポイント 労働審判とは、個別労働関係民事紛争について、当事者間の権利関係を踏まえつつ事案の実情に即した解決をするために必要な審判です(労働審判法1条)。金銭の支払や物の引渡しなどを命じるほか、解決のために相当と認める事項を柔軟に定めることができます(同20条2項)。労働審判委員会は、審理の結果認められる権利関係と手続の経過を踏まえて判断しますが(同20条1項)、権利関係とまったく同じ内容になるとは限りません。労働審判は、原則として主文と理由の要旨を記載した審判書の送達によって効力を生じますが、当事者双方が出頭する期日では、口頭による告知で行われることもあります(同20条6項)。会社側としては、法的な主張の正しさだけでなく、実情に即した解決という観点も踏まえた対応が重要です。期日での対応は、会社側・使用者側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。労働審判への対応でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月13日


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