この記事の結論
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起算点は、各賃金支払日の翌日

残業代の消滅時効期間の起算点は、各賃金支払日の翌日です。民法上、消滅時効は権利を行使することができる時から進行するとされており、残業代を請求できる時、すなわち給料日がこれに当たります。

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残業代の支給日が別に定められている場合は要注意

就業規則等で、所定内賃金の支給日と残業代の支給日を区別している場合には、通常の給料日=残業代の起算点とは限りません。自社の賃金規程を確認する必要があります。

 残業代の消滅時効期間が何年であるかだけでなく、その期間がいつから数え始められるのか(起算点)も、実際の未払残業代の計算では重要な意味を持ちます。

 会社側専門の弁護士の立場から、残業代の消滅時効の起算点について解説します。

01起算点の原則(賃金支払日の翌日)

 残業代の消滅時効期間の起算点は、各賃金支払日の翌日です。これは、実務上定着した解釈であり、裁判実務でも前提とされています(「類型別 労働関係訴訟の実務 改訂版Ⅰ」262頁参照)。したがって、月給制の会社で、毎月25日を給料日と定めている場合、ある月の残業代の消滅時効は、その月の25日の翌日である26日から進行を始めることになります。

02なぜ「支払日の翌日」なのか

 民法は、消滅時効は権利を行使することができる時から進行すると定めています。労働者が残業代の支払を請求する権利を行使できるのは、その残業代を含む賃金が支払われるべき日、すなわち給料日です。給料日が到来して初めて、労働者は「支払われるべき賃金が支払われていない」として、その権利を行使できるようになります。そのため、消滅時効は、給料日そのものではなく、その翌日から進行を開始することになります(初日不算入の考え方によるものです)。

03賃金支給日が複数ある場合の注意点

 起算点を検討するうえで、実務上見落とされやすいのが、就業規則や賃金規程において、所定内賃金の支給日と、残業代(割増賃金)の支給日とが区別されているケースです。たとえば、所定内賃金は当月25日払い、時間外手当は翌月10日払いといった形で、支給日を分けて定めている会社もあります。

 このような場合、残業代の消滅時効の起算点は、通常の給料日(25日)ではなく、実際に残業代が支払われるべきとされている支給日(翌月10日)を基準に判断することになります。「給料日=残業代の支給日」と単純に考えるのではなく、自社の賃金規程・就業規則の定めを確認したうえで、正確な起算点を把握する必要があります。

04会社側が押さえておくべき視点

 未払残業代の請求を受けた場合、会社側としては、消滅時効期間(現在は3年)と起算点をあわせて確認し、実際に支払義務が残っている期間を正確に画定することが対応の出発点になります。起算点を誤って古い時期まで支払義務があると誤解すれば、過大な支払いにつながりかねません。逆に、起算点を誤って新しい時期からしか計算しなければ、後に追加請求を受けるリスクが残ります。

 また、自社の賃金規程で所定内賃金と残業代の支給日が分かれている場合には、その点を踏まえて時効期間を計算する必要があります。賃金規程の内容を正確に把握したうえで、消滅時効の主張・防御を組み立てることが重要です。

05よくある質問(FAQ)

Q. 残業代の消滅時効は、いつから数え始めますか。

各賃金支払日の翌日から進行します。労働者が残業代を請求できる時、すなわち給料日を基準に、その翌日から消滅時効の期間が始まります。

Q. なぜ支払日当日ではなく、その翌日が起算点になるのですか。

消滅時効は、権利を行使することができる時から進行します。労働者が請求権を行使できるのは支払日ですが、初日不算入の考え方により、その翌日から時効期間が進行することになります。

Q. 残業代の支給日が、通常の給料日と別に定められている場合はどうなりますか。

通常の給料日ではなく、残業代の支給日として定められている日を基準に起算点を判断します。所定内賃金と残業代の支給日を区別している就業規則・賃金規程もあるため、自社の規程を確認する必要があります。

経営上のポイント 残業代の消滅時効期間の起算点は、各賃金支払日の翌日です。民法上、消滅時効は権利を行使することができる時から進行するとされ、労働者が残業代を請求できる時、すなわち給料日を基準に、その翌日から進行します。就業規則等で所定内賃金と残業代の支給日を区別している場合には、通常の給料日ではなく、実際の残業代支給日を基準に起算点を判断する必要があります。未払残業代の請求対応では、現在の消滅時効期間(3年)と起算点をあわせて正確に画定し、支払義務が残る期間を的確に見極めることが重要です。自社の賃金規程の確認とあわせて、会社側・使用者側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。未払賃金・残業代トラブルでお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月13日


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