この記事の結論
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対象業務は厚生労働省令で限定列挙され、それ以外は対象にできない

専門業務型裁量労働制の対象業務は、業務の遂行方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため使用者が具体的な指示をすることが困難な業務として、厚生労働省令で列挙されており、これ以外の業務を対象とすることはできません。

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対象業務に該当しても、具体的指示があれば適用されない

対象業務に該当する場合であっても、使用者から業務の遂行手段や時間配分について具体的な指示がなされている場合には、専門業務型裁量労働制は適用されません。

 専門業務型裁量労働制は、765の記事で解説したとおり、対象業務・具体的指示の不存在・労使協定の締結届出という3つの要件を満たす必要があります。本稿では、このうち対象業務について、条文の定義と具体的な業務の内容を掘り下げて解説します。

 会社側専門の弁護士の立場から、専門業務型裁量労働制の対象業務を解説します。

01条文上の定義(厚生労働省令への委任)

 専門業務型裁量労働制の適用がある業務について、労働基準法は、「業務の性質上その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量に委ねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定などに関し、使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして厚生労働省令で定める業務」と定めています。条文自体は抽象的な定義にとどめ、具体的な業務の特定は厚生労働省令に委ねる形になっています。

02対象業務の一覧(19業務)

 厚生労働省令では、次の業務を列挙しており、これ以外の業務を対象業務とすることはできません。

専門業務型裁量労働制の対象業務
新商品・新技術の研究開発、または人文科学・自然科学に関する研究の業務
情報処理システムの分析または設計の業務
新聞・出版の事業における記事、または放送番組の作成のための取材・編集の業務
衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサーまたはディレクターの業務
その他、厚生労働大臣の指定する業務(14業務)

 ⑥には、コピーライター、情報処理システムコンサルタント、インテリアコーディネーター、ゲームソフト制作、証券アナリスト、金融商品開発者、大学における研究、公認会計士、弁護士(外国法事務弁護士を含む)、建築士、不動産鑑定士、弁理士、税理士、中小企業診断士の14業務が指定されています。①〜⑤の基本5業務とあわせ、合計19業務が対象業務です。

03該当業務でも適用されない場合

 これら19業務のいずれかに該当する場合であっても、使用者から具体的な指示がなされている場合には、専門業務型裁量労働制は適用されません。対象業務は、あくまで「業務の遂行手段や時間配分について具体的な指示をすることが困難な業務」という性質を前提に列挙されているため、実際の運用において使用者が細かな指示を行っていれば、その業務の実態は制度の趣旨に反することになります。業務の名称や分類だけでなく、実際の業務運営の実態が問われる点に注意が必要です。

04会社側が押さえておくべき視点

 会社側が専門業務型裁量労働制の導入を検討する際は、対象としたい業務が、19業務のいずれかに正確に該当するかを慎重に確認する必要があります。似たような業務名称でも、法定の定義に合致しない場合には、対象業務として認められません。たとえば、「システムエンジニア」という肩書きであっても、実際の業務内容が情報処理システムの「分析又は設計」ではなく、単なるプログラミング作業や運用保守にとどまる場合には、対象業務に該当しない可能性があります。

 また、制度の適用を継続するには、対象業務に該当することの確認だけでなく、実際に具体的な指示を行っていないという運用実態を維持することも重要です。導入後も、対象労働者の業務内容や指示の実態を定期的に確認し、制度趣旨に反する運用になっていないかをチェックしておくことをお勧めします。

05よくある質問(FAQ)

Q. 専門業務型裁量労働制の対象業務は、会社が独自に追加できますか。

できません。対象業務は厚生労働省令で限定列挙されており、これ以外の業務を対象とすることはできません。会社の判断で、法定業務以外に制度を適用することは認められません。

Q. 対象業務に該当していれば、確実に制度を適用できますか。

対象業務に該当していても、使用者が業務の遂行手段や時間配分について具体的な指示をしている場合には、専門業務型裁量労働制は適用されません。業務の分類だけでなく、実際の運用実態が問われます。

Q. システムエンジニアであれば、必ず対象業務になりますか。

肩書きだけでは判断できません。対象業務は「情報処理システムの分析又は設計の業務」であり、単なるプログラミング作業や運用保守にとどまる場合は、対象業務に該当しない可能性があります。実際の業務内容の確認が必要です。

経営上のポイント 専門業務型裁量労働制の対象業務は、業務の遂行方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため使用者が具体的な指示をすることが困難な業務として、厚生労働省令で19業務が限定列挙されています(基本5業務+厚生労働大臣指定14業務)。これ以外の業務を対象とすることはできません。また、対象業務に該当する場合であっても、使用者から具体的な指示がなされていれば、専門業務型裁量労働制は適用されません。業務の名称や肩書きではなく、実際の業務内容と運用実態が判断の基準となります。制度導入時には対象業務の該当性を慎重に確認し、導入後も具体的指示を行っていない実態を維持することが重要です。制度の導入・運用は、会社側・使用者側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

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弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。裁量労働制の導入や運用でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月13日


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