この記事の結論
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出向期間の満了や出向目的の達成があれば、復帰を要求できる

出向期間が明確に定められている場合、その期間満了とともに出向者は復帰を要求できます。期間の定めがなくても、出向目的が明確で、その達成が客観的に判断できる場合には、復帰を要求することができます。

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期間・目的が不明確な場合は、経過期間等から総合的に判断する

出向期間・目的が不明確な場合は、経過した出向期間、出向目的、出向先・出向元の状況等を踏まえて個別に検討することになります。出向先での必要性や予測できなかった事情があれば、延長の正当性が認められることもあります。

 出向を命じた側の会社が復帰命令を出す場面(767の記事参照)とは逆に、出向者本人から「出向元に戻してほしい」と要求されることもあります。この要求に、会社は応じなければならないのでしょうか。

 会社側専門の弁護士の立場から、出向者からの復帰要求にどう対応すべきかを解説します。

01出向は復帰を本質的要素とする

 出向は、将来出向元に復帰することを本質的要素とする制度です。転籍とは異なり、出向元との労働契約関係を維持したまま、一時的に出向先で労務を提供する仕組みだからです。この本質からすると、出向者から復帰を求められた場合、会社(出向元)は、一定の条件のもとで、その要求に応じる必要があります。

02出向期間が明確な場合

 出向期間が明確に定められている場合、その期間満了とともに出向者は出向元に対して復帰を要求できます。あらかじめ定められた期間が経過すれば、出向を継続する根拠は失われるため、出向者の復帰要求は当然のものとして認められます。

03出向期間が不明確でも目的達成が判断できる場合

 出向期間が定められていなくても、出向の目的が明確で、当該目的が達成されたと客観的に判断できる場合には、出向者は復帰を要求することができます。たとえば、特定のプロジェクトの技術指導を目的として出向を命じた場合、そのプロジェクトが完了し、目的が達成されたと客観的に評価できるのであれば、期間の定めがなくても、出向者は復帰を要求できることになります。

04期間も目的も不明確な場合の総合判断

 他方、出向命令書等において、出向の期間が不明確で、出向目的も特定されたものではない場合には、経過した出向期間、出向目的、出向先や出向元の状況等から検討していくことになります。

 この場合、出向先において、出向者が一定期間なくてはならない存在であったり、出向時に予測することができなかった事情(出向先の経営環境の変化など)が生じたりしたような場合には、出向の延長や長期化に正当性が認められることがあります。ただし、出向目的が達成されていると客観的に認定でき、かつ、出向してから3年〜5年程度が経過しているような場合には、出向者は復帰を要求できると考えられます。長期間にわたって出向状態を継続させることは、出向が「一時的な措置」であるという本質から逸脱するおそれがあるためです。

05会社側が押さえておくべき視点

 この問題を予防する最も有効な方法は、出向を命じる段階で、出向期間または出向目的を明確に定めておくことです。期間や目的が明確であれば、後に復帰要求をめぐる争いが生じても、判断が容易になります。逆に、これらが不明確なまま出向を長期化させると、出向者からの復帰要求に対し、会社側が拒否する明確な根拠を持てなくなるリスクがあります。

 既に期間・目的を明確にしないまま出向が長期化している場合には、出向先での現状、出向者本人の意向、出向元での受け皿の有無などを総合的に検討し、復帰要求への対応方針を早めに整理しておくことが望ましいといえます。

06よくある質問(FAQ)

Q. 出向期間の満了後、出向者から復帰を求められたら、応じる必要がありますか。

応じる必要があります。出向期間が明確に定められている場合、その期間満了とともに、出向者は出向元に対して復帰を要求できます。

Q. 出向期間の定めがなければ、いつまでも出向を続けさせてよいですか。

出向の目的が達成されたと客観的に判断できる場合には、期間の定めがなくても復帰を要求されます。目的が達成されたと認定でき、出向から3年〜5年程度が経過している場合には、復帰要求が認められると考えられます。

Q. 復帰要求のトラブルを避けるには、どうすればよいですか。

出向を命じる段階で、出向期間または出向目的を明確に定めておくことが有効です。これにより、後日の復帰要求への対応判断が容易になります。

経営上のポイント 出向は、将来出向元に復帰することを本質的要素とする制度です。出向期間が明確に定められている場合、その期間満了とともに出向者は復帰を要求できます。期間の定めがなくても、出向目的が明確で、その達成が客観的に判断できる場合には、復帰要求が可能です。期間・目的がいずれも不明確な場合は、経過した出向期間、出向目的、出向先・出向元の状況を総合的に検討することになりますが、目的達成が客観的に認定でき出向から3年〜5年程度経過していれば、復帰要求は認められると考えられます。トラブルを避けるには、出向を命じる段階で期間・目的を明確に定めておくことが最も有効な予防策です。出向規程の整備や個別の対応方針は、会社側・使用者側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。出向者からの復帰要求でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月13日


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