労働者に退職金を支払う義務はありますか。
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退職金支給規定を設けるかどうかは、使用者が自由に決められる 退職金支給規定を設けた場合や、退職金を支給する慣行がある場合には、その内容が労働契約の内容となり、退職金支払義務が生じます。もっとも、そもそも支給規定を設けるかどうかは、使用者が自由に決めることができます。 |
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規定も慣行もなければ、支払義務はない 退職金支給規定を設けておらず、慣行としても退職金を支給していないのであれば、使用者に退職金を支払う義務はありません。 |
「退職金は必ず支払わなければならないものなのか」という疑問は、退職金制度を持たない会社の経営者からよく聞かれる質問です。結論からいえば、退職金の支払義務は、法律で一律に定められているものではありません。
会社側専門の弁護士の立場から、退職金の支払義務がどのような場合に生じるのか、その全体像を解説します。
01退職金支払義務が生じる場合
退職金支給規定を設けた場合や、退職金を支給する慣行がある場合には、当該内容が労働契約の内容となり、退職金支払義務が生じることになります。この点は、758・759の記事で解説したとおりです。就業規則や退職金規定に定めがあれば、労働者はそれに基づいて当然に退職金を請求できますし、規定がなくても、労使慣行として支給が定着していれば、同様に請求が認められることがあります。
02支給規定を設けるかは使用者の自由
もっとも、そもそも退職金支給規定を設けるかどうかは、使用者が自由に決めることができます。労働基準法をはじめとする法律には、退職金制度そのものを義務づける規定はありません。退職金は、賞与などと同様、会社が独自の制度として任意に設けるものであり、これを設けないという選択も、法律上何ら問題ありません。
03規定も慣行もなければ支払義務はない
したがって、退職金支給規定を設けておらず、慣行としても退職金を支給していないのであれば、使用者に退職金を支払う義務はありません。退職する労働者から「退職金を支払ってほしい」と求められたとしても、支給の根拠となる規定や慣行が存在しない限り、これに応じる法的義務はないということになります。
04会社側が押さえておくべき視点
退職金制度を設けていない会社が注意すべきなのは、意図せず「支給の慣行」が生まれてしまうリスクです。特別な理由なく、退職者に対してその都度一定の金銭を支給する対応を繰り返していると、後になって、それが労使慣行として定着していたと評価され、支払義務が発生することがあります。
退職金制度を持たない方針を維持したいのであれば、退職者に対する金銭給付は行わないか、行う場合には、それが会社の裁量による例外的な措置であることを、書面等で明確にしておくことが重要です。逆に、退職金制度の導入を検討する場合には、支給要件・基準を明確にした規程を整備し、恣意的な運用を避けることが求められます。いずれの方針をとるにせよ、制度の位置づけを曖昧にしないことが、後の紛争予防につながります。
05よくある質問(FAQ)
Q. すべての会社に退職金の支払義務がありますか。
ありません。退職金支給規定を設けるかどうかは使用者が自由に決めることができ、規定を設けておらず、慣行としても支給していないのであれば、使用者に退職金を支払う義務はありません。
Q. 退職金制度を持たない会社が、意図せず支払義務を負ってしまうことはありますか。
あります。退職者にその都度一定の金銭を支給する対応を繰り返していると、労使慣行として定着したと評価され、支払義務が発生することがあります。金銭給付を行う場合は、例外的な措置であることを明確にしておく必要があります。
Q. 退職金制度を持たない方針を明確にするには、どうすればよいですか。
退職者への金銭給付を一切行わないか、行う場合には会社の裁量による例外的な措置であることを書面等で明確にしておくことが有効です。制度の位置づけを曖昧にしないことが重要です。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。退職金制度の設計・運用でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
最終更新日:2026年7月13日