労働問題811 競業行為に対し差止め請求する場合、どのようなことに留意する必要がありますか?

 就業規則や個別の合意書に競業の差止め条項が明記されている場合、通常は、同条項に基づき、競業行為の差し止めを求めることになります。
 契約上の競業避止義務を負わない労働者が、自由競争を逸脱する不法な競業行為を行っている場合、不法行為を根拠に差止めを求めることができるのは、不法行為の違法性が強度で、事後的な損害賠償では使用者の損害の回復が図れないと認めるような場合に限定されると考えます。
 差止めは、競業の主体に重大な不利益を課す措置であることから、慎重に判断される傾向があります。差止めの対象となる行為は必要十分な範囲に限定され、差止めの期間も合意された期間の範囲内で必要十分な期間に限定される傾向にあります。

 

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