ワード:「雇い止め」

有期労働契約における不更新条項や更新限度特約について,裁判例ではどのような判断がなされていますか?

 雇止めの有効性に関連して問題となっているのが、不更新条項や更新限度特約です。不更新条項とは、有期労働契約について当該契約期間が満了した場合には更新しないことをあらかじめ合意しておくことをいいます。更新限度特約とは、有期労働契約を結ぶ際に、更新の回数の限度についてあらかじめ合意しておくことをいいます。裁判例では、ある程度の更新がなされている場合でも、更新限度特約などから解雇権濫用法理の類推適用が行……

雇止め法理とはどういうものですか?

 民法上の原則では、有期労働契約は定められた期間が満了すれば、契約を更新しない限り契約関係が終了し、使用者は更新しないことについて特段の理由を必要としていません。しかし、裁判では、有期労働契約であっても、一定の場合には解雇権濫用法理が類推適用され、合理的理由のない雇止めが無効と判断されてきました。この判例法理を「雇止め法理」といい、法改正により、労働契約法19条として、以下のとおり条文化されました……

有期労働契約の期間の上限と下限を教えてください。

[toc] 1.有期労働契約とは  有期労働契約とは、期間の定めのある労働契約のことをいいます。アルバイト、契約社員、嘱託等、様々な名称がありますが、期間の定めのあるものは、全て有期労働契約です。なお、定年はここでいう「期間の定め」には当たりません。 2.有期労働契約の期間の上限  有期労働契約の期間の上限は、次の①~③の例外を除き、3年です。ただし、この上限期間は、契約の更新を禁止・制限……

定年後再雇用者が契約不更新に納得しない。

 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年法)は、希望者全員につき65歳までの雇用の確保を義務付けていますので、定年後再雇用された一般的な社員は65歳まで契約更新できると期待するのが通常です。特段の事情がない限り、契約更新に合理的期待があるといえるでしょう。となると、高年齢者の意思に反して雇止めを行うためには、雇止めに客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが必要になります。続きを見る

定年後の再雇用を求める。

[toc] 1. 再雇用を拒否できる場合 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年法)は、平成24年の高年法改正により、65歳未満の定年の定めをしている事業主は、①定年の引き上げ、②継続雇用制度の導入(再雇用制度を含む)、③定年の定めの廃止のいずれかの雇用確保措置を講じるよう義務付けました(高年法9条)。
継続雇用(再雇用)の拒否は、解雇事由と同様の事情がある場合にできると考え……

雇い止めに納得しない。

[toc] 1. 有期契約の期間満了時の原則と例外  有期契約の期間が満了したら、当該有期契約は終了するのが原則です。
 しかし、例えば、契約が何度か更新されていたり、社員が契約更新されると期待することについて合理的な理由がある場合には、労働契約法19条の問題となり、例外的に、従前と同一の契約が成立したと判断される可能性があります。 2. 労働契約法19条(雇止め法理)  労……

労働審判手続の対象となる「個別労働関係民事紛争」とはどういうものですか?

 個別労働関係民事紛争とは、労働者個人と事業主との間の解雇や雇止めの効力に関する紛争、賃金や退職金に関する紛争、安全配慮義務違反による損害の賠償を求める紛争等をいいます。
 個別労働関係民事紛争に該当するためには、個々の労働者と事業主との間の紛争であることが必要であるから、労働組合と事業主との間に生じた集団的労使紛争は、労働審判手続の対象にはなりません。
 もっとも、不……

一般的に、労働契約が終了する原因にはどのようなものがありますか?

 労働契約が終了する原因には以下のものがあります。
① 解雇
 (1) 普通解雇
  ア 労働者側の事情に基づく解雇
  イ 整理解雇
  ウ 試用期間解雇
 (2) 懲戒解雇
② 辞職
③ 合意退職
④ 雇止め
⑤ 休職期間の満了による自動退職
……

紛争調整委員会が労働局長の委任を受けて行うあっせんには、どのような特徴がありますか。

 東京労働局によると、紛争調整委員会が労働局長の委任を受けて行うあっせんには、以下のような特徴があるとされています。
 ① 労働問題に関するあらゆる分野の紛争(募集・採用に関するものを除く。)がその対象となります。
  (例)解雇、雇止め、配置転換・出向、降格、労働条件の不利益変更等労働条件に関する紛争、いじめ・嫌がらせ等、職場の環境に関する紛争、労働契約の承継、同業他……

民法536条2項の適用を排除し平均賃金の60%の休業手当のみを支払う旨就業規則や労働契約に定めた場合には、平均賃金の60%の休業手当を支払えば足りますか。

 民法536条2項は任意規定であり特約で排除することができますので、民法536条2項の適用を排除し平均賃金の60%の休業手当のみを支払う旨就業規則や労働契約に定めた場合には、理論的には平均賃金の60%の休業手当を支払えば足りるはずですが、裁判所は、就業規則等による民法536条2項の適用除外について慎重に判断する傾向にあります。
 例えば、いすゞ自動車(雇止め)事件東京地裁平成24年4……

定年退職者を再雇用した場合の雇用期間を1年とすることはできますか。

 再雇用後の雇用期間については、特段の規制がありませんので、雇用期間を1年とすることができます。
 ただし、高年法9条は、65歳までの継続雇用制度等の高年齢者雇用確保措置を講じることを要求していますので、1年契約とは言っても、65歳までは契約が更新されることについて、合理的期待があると考えざるを得ません。
 したがって、65歳になる前に契約期間満了で雇止めをする場合は、……

会社の業績が悪いのに賃金減額に同意しない。

[toc] 1 はじめに  会社の業績が悪いため賃金原資を確保することが難しい場合、労働者の賃金を減額したり、辞めてもらう必要があることもあります。しかし、賃金を減額するにしても、辞めてもらうにしても、自由に行うことはできず、一定のルールを守らなければなりません。
 本FAQでは、会社の業績が悪いのに賃金減額に同意してもらえない場合の対処法について解説します。 2 業績が悪いこ……

有期労働契約者の雇止めに労契法19条が適用された場合、雇止め制限の判断基準は正社員の解雇の判断基準と同じですか。

 有期労働契約者の雇止めに労契法19条が適用されるといっても、雇止め制限の判断基準は正社員の解雇の判断基準とは異なり、正社員の解雇と比較すれば、緩やかに客観的に合理的な理由や社会通念上の相当性が認められます。
 例えば、日立メディコ事件最高裁昭和61年12月4日第一小法廷判決は、業績悪化を理由として人員削減目的の雇止めがなされた事案に関し、「右臨時員の雇用関係は比較的簡易な採用手続で……

有期労働契約関係の実態を評価する際には、どのような要素に着目すべきですか。

[toc] 「有期労働契約の反復更新に関する調査研究会報告」  「有期労働契約の反復更新に関する調査研究会報告」によれば、裁判例における判断の過程をみると、主に次の6項目に関して、当該契約関係の実態に評価を加えているものとされています。 ① 業務の客観的内容  従事する仕事の種類・内容・勤務の形態(業務内容の恒常性・臨時性、業務内容についての正社員との同一性の有無等) ② 契約上の地位の……

有期労働契約の類型には、どのようなものがありますか。

[toc] 「有期労働契約の反復更新に関する調査研究会」  「有期労働契約の反復更新に関する調査研究会」(山川隆一座長)は38件にも及ぶ雇止めに関する裁判例を分析し、平成12年9月11日に「有期労働契約の反復更新に関する調査研究会報告」を発表しています。
 同報告では、有期労働契約の類型について、以下のような分析がなされています。   1. 原則どおり契約期間の満了……

労契法19条の適用により雇止めが制限された場合、どのような法律効果が生じるのですか。

 労契法19条の適用により雇止めが制限された場合、使用者は、従前の有期労働契約の労働条件と同一の労働条件(契約期間を含む。)で、労働者からの有期労働契約の更新または締結の申込みを承諾したものとみなされることになります。これは、有期労働契約の更新または締結の申込みに対する使用者の承諾を擬制することにより有期労働契約の更新または締結を認めるものであり、従来の雇止め法理が解雇権濫用法理の類推適用(濫用論……

有期契約労働者を契約期間満了で雇止めしたところ、雇止めは無効だと主張してくる。

[toc] 1 労契法19条  有期労働契約は契約期間満了で契約終了となるのが原則です。
 しかし、労契法19条の要件を満たす場合は、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で有期労働契約者からの有期労働契約の更新の申込み又は有期労働契約の締結の申込みを承諾したものとみなされるため、雇止めをしても労働契約を終了させることはできません。 (有期労働契約の更……

労契法19条の「更新の申込み」や「締結の申込み」があったといえるためには、どの程度のものが必要ですか。

 労契法19条の「更新の申込み」や「締結の申込み」があったといえるためには、有期契約労働者が雇止めに対し異議を表明したと評価できる必要があり、かつそれで足りるものと考えられます。
 基発0810第2号平成24年8月10日「労働契約法の施行について」では、「法第19条の『更新の申込み』及び『締結の申込み』は、要式行為ではなく、使用者による雇止めの意思表示に対して、労働者による何らかの反……

労契法19条で、有期労働契約者による有期労働契約の更新または締結の申込みが新たに要件として規定されたのは、どうしてですか。

 従来の雇止め法理では、解雇権濫用法理の類推適用(濫用論)で処理されていたこともあり、有期契約労働者による有期労働契約の更新または締結の申込みは要件とはされていませんでした。
 これに対し、労契法19条は有期労働契約の申込みに対する使用者の承諾を擬制することにより有期労働契約の更新または成立を認めるものであるため、有期労働契約者による有期労働契約の更新または締結の申込みが新たに要件と……

労契法19条2号では、更新に対する合理的期待の判断時期が「当該有期労働契約の契約期間の満了時」であると規定されましたが、従来の雇止め法理と異なる解釈がなされると思いますか。

 労契法19条2号では、更新に対する合理的期待の判断時期が「当該有期労働契約の契約期間の満了時」であると規定されています。これは従来の雇止め法理では明示されていなかった要件です。
 新たな要件が明示されたことで、従来の雇止め法理と異なる解釈がなされるのかどうかが問題となりますが、ほとんど結論に影響がないのではないかと思います。
 基発0810第2号平成24年8月10日「……

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