労働問題175 労契法19条の「更新の申込み」や「締結の申込み」があったといえるためには、どの程度のものが必要ですか。

この記事の要点

労契法19条の「更新の申込み」「締結の申込み」は要式行為ではなく、雇止めに対する労働者の反対の意思表示(異議の表明)が使用者に伝われば足ります。「辞めたくない」「継続して働きたい」という意思表示が伝わりさえすれば申込みがあったと評価される点に注意が必要です。

1. 申込みの要件——異議の表明で足りる

基発0810第2号平成24年8月10日「労働契約法の施行について」(要旨)
「法第19条の『更新の申込み』及び『締結の申込み』は、要式行為ではなく、使用者による雇止めの意思表示に対して、労働者による何らかの反対の意思表示が使用者に伝わるものでもよいと解されるものであること。」

 労契法19条の「更新の申込み」や「締結の申込み」があったといえるためには、有期契約労働者が雇止めに対し異議を表明したと評価できれば足ります。書面による申込みである必要はなく、口頭での「辞めたくない」「続けて働きたい」という発言も申込みに当たり得ます。

2. 実務上の重要な含意

 申込みの要件が非常に緩やかであることは、会社側にとって重要な意味を持ちます。

 ①書面での明確な申込みがなくても申込みと評価されるため、「書面での申込みがない」という主張は通りにくい。②「辞めたくない」という口頭発言だけで申込みが成立し得るため、雇止めの面談記録は慎重に残す必要がある。③雇止め後に「続けて働きたかった」と言った場合でも「締結の申込み」と評価される可能性があることに留意が必要。

3. 申込みの時期——期間満了前と満了後遅滞なく

 申込みの時期は、①有期労働契約の契約期間が満了する日までの間(更新の申込み)、または②契約期間の満了後遅滞なく(締結の申込み)のいずれかが必要です。

 「遅滞なく」の具体的な期間については、比較的緩やかに解釈されることが予想されます(詳細は176番参照)。

⚠ 雇止め面談で「辞めたくない」と言わせてしまう危険

雇止めの通告面談で、社員が「辞めたくない」「どうにかならないか」などと発言した場合、それだけで「更新の申込み」があったと評価される可能性があります。雇止め面談は事前に弁護士と進め方を確認した上で行うことが不可欠です。

有期契約社員の雇止め面談の進め方・申込みの有無の評価について、弁護士へのご相談をお勧めします。→ 経営労働相談はこちら

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弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 /  「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

 

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弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

 

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最終更新日 2026/04/10

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