ワード:「懲戒処分」
不当労働行為における不利益取扱いについて教えてください。
不当労働行為における不利益取扱い(労働組合法7条1号)は,労働者が①労働組合の組合員であること,労働組合に加入しもしくは結成しようとしたこと,労働組合の正当な行為をしたことを,②理由に当該労働者を不利益に取り扱うことをいいます。
不利益取扱いは,雇用関係上の地位に関するもの(解雇,再採用拒否等),人事上の処遇に関するもの(配転,出向,昇給・昇格差別,懲戒処分,基本給等の賃金差別等……
不利益取扱いは,雇用関係上の地位に関するもの(解雇,再採用拒否等),人事上の処遇に関するもの(配転,出向,昇給・昇格差別,懲戒処分,基本給等の賃金差別等……
労働者の賃金を減額する方法はどのようなものがありますか。
労働者の賃金を減額する方法として,次のものが挙げられます。
① 懲戒処分として減額
② 懲戒処分としての降格に伴う減額
③ 人事権の行使としての降格に伴う減額
④ 就業規則の賃金査定条項に基づく減額
⑤ 就業規則変更による減額
⑥ 労働協約による賃金減額
⑦ 労働者との合意による減額 ……
② 懲戒処分としての降格に伴う減額
③ 人事権の行使としての降格に伴う減額
④ 就業規則の賃金査定条項に基づく減額
⑤ 就業規則変更による減額
⑥ 労働協約による賃金減額
⑦ 労働者との合意による減額 ……
労働者が「解雇をされても異議を申し出ない」旨の書面を提出している場合,懲戒解雇は有効ですよね?
労働者が「懲戒解雇をされても異議を申し出ない」旨の書面を提出したとしても,これは懲戒解雇を有効とする要素にはならないと考えます。
裁判例でも,情報漏洩を疑われていた労働者が,「解雇されても異議がない」旨の書面を提出していた事案について,「(当該書面は)被告会社から懲戒解雇に至らない寛大な処置を受けられるようにと期待したものであって,真意にでたものとは認めがたい」とし,懲戒解雇を無……
裁判例でも,情報漏洩を疑われていた労働者が,「解雇されても異議がない」旨の書面を提出していた事案について,「(当該書面は)被告会社から懲戒解雇に至らない寛大な処置を受けられるようにと期待したものであって,真意にでたものとは認めがたい」とし,懲戒解雇を無……
懲戒処分をした者の氏名や事実を公表することはできますか。
就業規則に「懲戒事実を公表することがある」旨の規定を定め,従業員に周知していれば,労働者の氏名も含めて公表することはできます。
しかし,公表内容等がプライバシー侵害や名誉毀損に該当しないように注意する必要がありますので,原則として氏名は公表せずに,例外的に氏名を公表するのは,懲戒事実が悪質・重大で企業内外への影響が大きいといった場合に限るのが妥当だと考えます。 ……
しかし,公表内容等がプライバシー侵害や名誉毀損に該当しないように注意する必要がありますので,原則として氏名は公表せずに,例外的に氏名を公表するのは,懲戒事実が悪質・重大で企業内外への影響が大きいといった場合に限るのが妥当だと考えます。 ……
試用期間中であれば自由に本採用拒否できますか。
試用期間を設けていたとしても,使用者と労働者の間では,労働契約が成立している以上,その契約の一方的解消は解雇の一形態ですから,本採用拒否の有効性は,解雇権濫用法理に基づいて検討することになりますので,自由に本採用拒否することはできません。
本採用拒否は,通常の解雇よりも広い範囲で行使することが可能とされていますが,必ずしも通常の解雇よりも緩やかに判断されているわけではありません。……
本採用拒否は,通常の解雇よりも広い範囲で行使することが可能とされていますが,必ずしも通常の解雇よりも緩やかに判断されているわけではありません。……
試用期間の長さや延長の可否について教えてください。
試用期間の長さや延長の可否について,法律上の定めはありませんので,原則,当事者間の合意によることになります。
もっとも,試用期間の長さについては,合理的範囲を超える期間の定めは無効と判断されます。
一般的には3か月~1年の範囲で定められていることが多く,多くの会社では試用期間を3か月と定めていることが比較的多いと思いますが,3か月で適格性を判断し,本採用するのか本……
もっとも,試用期間の長さについては,合理的範囲を超える期間の定めは無効と判断されます。
一般的には3か月~1年の範囲で定められていることが多く,多くの会社では試用期間を3か月と定めていることが比較的多いと思いますが,3か月で適格性を判断し,本採用するのか本……
懲戒解雇する場合には,退職金を支給しなくても良いですか。
有効に懲戒解雇できるからといって,当然に退職金を不支給にできるわけではありません。
退職金を不支給とするためには,就業規則に退職金を不支給とする規定を定めることが必要ですし,規定があったとしても退職金を不支給とするためには,労働者のそれまでの勤続の功績を抹消する程の著しく信義に反する行為があったと認められる必要があります。
裁判例には,鉄道会社の職員が電車内で3度……
退職金を不支給とするためには,就業規則に退職金を不支給とする規定を定めることが必要ですし,規定があったとしても退職金を不支給とするためには,労働者のそれまでの勤続の功績を抹消する程の著しく信義に反する行為があったと認められる必要があります。
裁判例には,鉄道会社の職員が電車内で3度……
懲戒解雇が妥当か検討するために出勤停止の懲戒処分をした上で,懲戒解雇することはできますか。
一つの非違行為に対して2回懲戒処分することはできませんので,出勤停止の懲戒処分をした上で,懲戒解雇することはできません。
これに対して,懲戒処分としての出勤停止ではなく,業務命令として出勤停止や自宅待機を命じることができます。これは処分するかの調査または審議決定をするまでの間,就業を禁止する前置措置としての意味を持ちます。ただし,会社側の都合で出社させないものですので,出勤停止の……
これに対して,懲戒処分としての出勤停止ではなく,業務命令として出勤停止や自宅待機を命じることができます。これは処分するかの調査または審議決定をするまでの間,就業を禁止する前置措置としての意味を持ちます。ただし,会社側の都合で出社させないものですので,出勤停止の……
懲戒解雇するかを検討するために一旦出勤停止の懲戒処分をした上で,懲戒解雇することはできますか?
一つの非違行為に対して2回懲戒処分することはできませんので,懲戒解雇するかを検討するために一旦出勤停止の懲戒処分をした上で,懲戒解雇することはできません。
しかし,懲戒処分としての出勤停止とは別に,業務命令として出勤停止や自宅待機を命じることができます。これは処分するかの調査または審議決定をするまでの間,就業を禁止する前置措置としての意味を持ちます。
もっとも,業……
しかし,懲戒処分としての出勤停止とは別に,業務命令として出勤停止や自宅待機を命じることができます。これは処分するかの調査または審議決定をするまでの間,就業を禁止する前置措置としての意味を持ちます。
もっとも,業……
裁判で懲戒解雇の理由に懲戒解雇当時に認識していなかった非違行為を追加して主張できますか。
懲戒処分の有効性は懲戒処分時に理由とした具体的な非違行為について判断すべきものですので,特段の事情のない限り,使用者が懲戒解雇時には認識していなかった事実を主張することはできません。
懲戒処分の理由とされた非違行為と密接に関連した同種の非違行為等の場合には「特段の事情」に該当するので主張できます。
たとえば,一連の横領行為の一部のみの調査が先行し,これのみで労働者……
懲戒処分の理由とされた非違行為と密接に関連した同種の非違行為等の場合には「特段の事情」に該当するので主張できます。
たとえば,一連の横領行為の一部のみの調査が先行し,これのみで労働者……
減給の懲戒処分の減給額は使用者が自由に決めて良いのですか。
減給処分は,本来支払われるべき賃金額からある期間一定額を控除するものです。
賃金は労働者の生活の基盤であることから,労基法上,減給額には次の制限があります(労基法91条)ので,減給額を自由に決めることはできません。
①一つの事案における減給額は平均賃金の1日分の半額以下
②減給の総額は一賃金支払期の賃金総額の10分の1以下
ただし,……
賃金は労働者の生活の基盤であることから,労基法上,減給額には次の制限があります(労基法91条)ので,減給額を自由に決めることはできません。
①一つの事案における減給額は平均賃金の1日分の半額以下
②減給の総額は一賃金支払期の賃金総額の10分の1以下
ただし,……
懲戒処分の有効要件を教えてください。
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1. 懲戒処分の有効要件
懲戒処分の有効要件は,①就業規則の懲戒事由に該当すること,②処分が相当であること,③手続が相当であることです。
2. 懲戒事由
①の懲戒事由には経歴詐称,業務命令違反,職場規律違反,無断欠勤,会社物品の私用,私生活上の非行,二重就職・兼業規制などがあります。 懲戒処分時に使用者が認識していなかった非違行為は,原則として,当該懲戒処分が有効であること……
就業規則を定めていなくても懲戒解雇できますか。
懲戒解雇といった懲戒処分をするためには就業規則に懲戒事由を定め,かつ,これを周知していなければいけませんので,常時10人以上を雇用していなく,労基法上,就業規則の作成・届出義務が課せられていない会社であっても,就業規則に懲戒事由を定めていなければ,懲戒処分はできません。
なお,普通解雇は就業規則に解雇事由を定めていなくても可能ですが,当該解雇に客観的合理的な理由があり,社会通念上……
なお,普通解雇は就業規則に解雇事由を定めていなくても可能ですが,当該解雇に客観的合理的な理由があり,社会通念上……
雇入れから14日以内の試用期間中の労働者は解雇予告義務等の適用がないのですから、自由に解雇できますよね。
たしかに、試用期間中の労働者で雇い入れから14日以内であれば解雇予告義務及び解雇予告手当支払義務は生じません。
しかし、この規定は、あくまでも解雇予告義務及び解雇予告手当支払義務が生じないというだけで、解雇権濫用法理(客観的に合理的な理由を有し社会通念上相当であること)及び個別法令による解雇制限、当事者自治による規制(労働協約、就業規則等)が適用されなくなるわけではありませんので……
しかし、この規定は、あくまでも解雇予告義務及び解雇予告手当支払義務が生じないというだけで、解雇権濫用法理(客観的に合理的な理由を有し社会通念上相当であること)及び個別法令による解雇制限、当事者自治による規制(労働協約、就業規則等)が適用されなくなるわけではありませんので……
一般的に、労働契約が終了する原因にはどのようなものがありますか?
労働契約が終了する原因には以下のものがあります。
① 解雇
(1) 普通解雇
ア 労働者側の事情に基づく解雇
イ 整理解雇
ウ 試用期間解雇
(2) 懲戒解雇
② 辞職
③ 合意退職
④ 雇止め
⑤ 休職期間の満了による自動退職
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① 解雇
(1) 普通解雇
ア 労働者側の事情に基づく解雇
イ 整理解雇
ウ 試用期間解雇
(2) 懲戒解雇
② 辞職
③ 合意退職
④ 雇止め
⑤ 休職期間の満了による自動退職
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退職勧奨の際に「本来であれば懲戒解雇だが、退職願を提出してもらえれば自主退職として処理する」と言うことに問題はありますか。
懲戒解雇事由に該当していることが客観的証拠から認定できるのであれば問題ありませんが、客観的証拠がない場合は懲戒解雇や解雇といった言葉を使うべきではありません。
懲戒解雇事由がないにもかかわらず、あるかのように退職勧奨をして退職の意思表示をさせた場合には、労働者が当該意思表示は取消・無効であると争い、労働者であることの地位確認及び賃金請求をしてくる可能性があります。 ……
懲戒解雇事由がないにもかかわらず、あるかのように退職勧奨をして退職の意思表示をさせた場合には、労働者が当該意思表示は取消・無効であると争い、労働者であることの地位確認及び賃金請求をしてくる可能性があります。 ……
就業規則には、懲戒処分として行う出勤停止の日数として、どれくらいの日数を定めておくのがお勧めですか。
国家公務員の懲戒について規定している「人事院規則一二―〇(職員の懲戒)」は、第2条において、「停職の期間は、一日以上一年以下とする。」と定めています。
これを参考に考えると、出勤停止の日数としては、「1日以上1年以下」が穏当と思われます。 出勤停止の日数として、最長7日程度までの規定となっている就業規則をよく見かけます。
しかし、それでは、出勤……
これを参考に考えると、出勤停止の日数としては、「1日以上1年以下」が穏当と思われます。 出勤停止の日数として、最長7日程度までの規定となっている就業規則をよく見かけます。
しかし、それでは、出勤……
問題を起こした社員の給料を6か月に渡り10%減給する懲戒処分をすることはできますか。
労基法91条は、「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」と規定しています。
そして、労基法91条は、同条の制限に違反する減給の制裁を就業規則に定めることを禁止するのみならず、同条の制限に違反して減給することをも禁止しているものと考えられます……
そして、労基法91条は、同条の制限に違反する減給の制裁を就業規則に定めることを禁止するのみならず、同条の制限に違反して減給することをも禁止しているものと考えられます……
③合意退職の錯誤無効・強迫取消等を理由とした地位確認請求には、どのようなものがありますか。
懲戒解雇できるような事案でないにもかかわらず、懲戒解雇すると脅されるなどのパワハラにより退職届を提出させられたなどとして、合意退職の効力が争われることがあります。
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平成20年9月9日基発第0909001号『多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について』は、「勤務態様」についての判断要素に関し、どのように述べていますか。
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『多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について』
平成20年9月9日基発第0909001号『多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について』は、「勤務態様」についての判断要素に関し、以下のように述べています。
「勤務態様」
管理監督者は「現実の勤務態様も、労働時間の規制になじまないような立場にある者」であることか……