歩合給制の労働者の残業代は、どのように計算すればいいですか?
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時間単価は「歩合給の総額÷当該賃金計算期間の総労働時間数」で計算する 歩合給制の通常の賃金の時間単価は、賃金計算期間に支払われた歩合給の総額を当該期間の総労働時間数で除して求めます(労基則19条1項6号)。 |
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支払うべき割増賃金は時間単価の「25%」(割増部分のみ)で足りる 月給制が「時間単価×1.25」を支払う必要があるのと異なり、歩合給制では時間を延長した分の成果が既に歩合給に含まれているため、割増部分(25%)のみ追加で支払えば足ります。 |
01歩合給制の通常の賃金の時間単価の計算方法
歩合給制の労働者の「通常の労働時間または労働日の賃金」(通常の賃金の時間単価)の計算方法については、労基法施行規則19条1項6号において次のとおり定められています。
労基則19条1項6号(歩合給の時間単価計算)
「賃金算定期間において出来高払制その他請負制によって計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における総労働時間数で除した金額」
要するに、「歩合給部分の金額 ÷ 総労働時間数」が時間単価になります。なお、ここでいう「総労働時間数」は所定労働時間数だけでなく時間外労働時間数を含む実際の総労働時間数です。
計算例
当月の歩合給:320,000円 / 当月の総労働時間数:180時間
時間単価 = 320,000円 ÷ 180時間 ≒ 1,778円/時(小数点以下四捨五入)
02月給制と歩合給制の割増賃金の違い
月給制の場合、時間外労働分の時間単価は月給に含まれていません。そのため、時間外労働をさせた場合、通常の労働時間の時間単価に1.25を掛けて(時間単価×125%)時間外労働の割増賃金の時間単価を算出します。
これに対して、歩合給制の場合は考え方が異なります。時間を延長したことによって成果が上がっているという側面があるため、時間単価に相当する部分(100%)は既に歩合給の中に含まれていると考えられています。このため、会社が追加で支払うべき割増賃金は、時間単価の125%ではなく、割増部分の25%で足りるとされています。
| 賃金形態 | 時間外割増賃金の計算 |
|---|---|
| 月給制 | 時間単価 × 1.25(125%) |
| 歩合給制 | 時間単価 × 0.25(25%のみ追加) |
休日労働・深夜労働についても同様の考え方が適用されます。歩合給制の労働者の休日労働については時間単価×0.35(35%)、深夜労働については時間単価×0.25(25%)を追加で支払えば足ります。
03歩合給制の割増賃金計算の注意点
歩合給制だからといって割増賃金の支払いが不要になるわけではありません。「歩合給は成果給だから残業代は不要」という誤解は非常に多く、これが未払残業代のトラブルにつながっています。
また、固定給と歩合給を併用している場合は、固定給部分は月給制と同様に「時間単価×1.25(時間外の場合)」、歩合給部分は「時間単価×0.25」として別々に計算し、合算する必要があります(625番参照)。
残業代計算に不安がある場合は、使用者側弁護士・社会保険労務士に確認することをお勧めします。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。問題社員、労働審判、残業代トラブルでお悩みでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
Q&Aよくある質問
Q1. 歩合給を時間外労働に対する割増賃金として「固定残業代(みなし残業代)」に含めることはできますか。
A. 原則として困難です。固定残業代として認められるためには、①割増賃金部分を通常の賃金と明確に区別して支払うこと②対応する時間数と金額が明確であること③固定時間超は別途支払うことの要件を満たす必要があります。歩合給はその性質上これらの要件を満たしにくいため、歩合給を固定残業代として処理することは避けることをお勧めします(516番参照)。
Q2. 歩合給制で月60時間を超える時間外労働が生じた場合、割増率はどうなりますか。
A. 歩合給制でも月60時間超の時間外労働に対する50%以上の割増率規制が適用されます。月60時間以下の部分は「時間単価×0.25」、月60時間超の部分は「時間単価×0.5」を支払う必要があります(2023年4月から中小企業にも適用)。割増率の詳細については621番も参照してください。
Q3. 歩合給制の場合、最低賃金との関係はどうなりますか。
A. 歩合給制であっても最低賃金法は適用されます。歩合給÷総労働時間数で計算した時間単価が、適用される最低賃金額を下回っていないかを確認する必要があります。成果が上がらなかった月に時間単価が最低賃金を下回るケースがあり得るため、最低賃金との比較チェックを定期的に行うことが重要です。
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最終更新日:2026年2月25日