労働審判手続の答弁書に記載する事項について具体的に教えてください。
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答弁書は、申立書と並ぶ唯一の必須書面。6つの記載事項がある 労働審判手続で必ず提出される主張書面は、申立書と答弁書のみです。労働審判規則16条は、答弁書に記載すべき6つの事項を定めています。 |
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主張・立証計画の全容を、第1回期日前に出し切ることが求められる 争点と証拠を答弁書段階で網羅的に示すことが想定されており、小出しの主張は制度に馴染みません。答弁書は、会社側の主張立証計画の全容を示す書面として作成する必要があります。 |
目次
労働審判手続において、必ず提出されることが予定されている主張書面は、申立人(主に労働者側)の申立書と、相手方(主に会社側)の答弁書のみです。相手方が準備する答弁書は、申立書と同様に、極めて重要な書面と位置づけられています。労働審判規則16条は、この答弁書に記載すべき事項を6つ定めています。
会社側専門の弁護士の立場から、答弁書に記載すべき6つの事項の内容を解説します。
01答弁書の重要性(労働審判規則16条)
労働審判は、原則3回以内の期日で審理を終結する迅速な手続であり、期日での口頭主義を基本としています(労働審判規則17条1項)。そのため、書面での主張は、申立書と答弁書に集約されることが想定されています。答弁書は、単なる形式的な反論書ではなく、会社側の主張立証の設計図としての役割を担います。
02①申立ての趣旨に対する答弁
たとえば、申立人が労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を申し立てている場合において、相手方がその地位にあることを争うときは、訴訟の答弁書における「請求の趣旨に対する答弁」にならい、「本件申立てを棄却する(本件申立てに係る請求を棄却する)との労働審判を求める」との答弁をすることが考えられます。なお、相手方が、申立てに係る権利関係とは直接関係のない事項について希望する内容がある場合には、事情として答弁書に記載するか、労働審判期日で口頭で陳述することになります。
03②事実に対する認否
労働審判手続の申立書に記載された事実に対する認否は、労働審判委員会が早期に争点を把握し、迅速かつ適正な審理をするために記載すべきとされています。認否の記載にあたっては、民事訴訟規則79条3項(準備書面における認否)に準じ、否認する場合にはその理由をあわせて記載することが望ましいと考えられます。単に「否認する」とだけ記載するのではなく、なぜ否認するのかを明らかにすることで、争点の把握が容易になります。
04③答弁を理由づける具体的な事実
答弁を理由づける具体的な事実は、訴訟でいうところの抗弁事実、すなわち主要事実レベルでの反論を記載する部分です。単に申立人の主張を否定するだけでなく、会社側の判断が合理的であったことを裏付ける具体的な事実関係を、時系列に沿って整理して記載することが求められます。
05④予想される争点・関連事実、⑤争点ごとの証拠
予想される争点および当該争点に関連する重要な事実、そして予想される争点ごとの証拠は、申立人と争って実際上立証すべきことになると考えられる事由と、その争点に関する重要な事実、争点ごとの証拠、つまり、会社側の主張および立証計画の全容を答弁書に記載することを意味します。答弁書の段階で、どの争点をどの証拠で立証するのかという設計図を示すことが求められている点が、この規定の核心です。
06⑥交渉その他申立てに至る経緯の概要
当事者間においてされた交渉(あっせんその他の手続においてされたものを含む)その他の申立てに至る経緯の概要は、労働審判委員会が、当事者双方の立場から見た紛争の経緯を把握し、早期に解決の方向性を探ることができるようにするために定められたものです。申立てに至るまでの交渉経過を客観的に整理して記載することで、労働審判委員会が調停案を検討する際の材料にもなります。
07よくある質問(FAQ)
Q. 答弁書には、どのような事項を記載する必要がありますか。
労働審判規則16条は、①申立ての趣旨に対する答弁、②事実に対する認否、③答弁を理由づける具体的な事実、④予想される争点・関連事実、⑤争点ごとの証拠、⑥交渉その他申立てに至る経緯の概要、の6つを定めています。
Q. 認否は「否認する」とだけ書けば足りますか。
民事訴訟規則79条3項に準じ、否認する場合にはその理由をあわせて記載することが望ましいと考えられます。理由を示すことで、労働審判委員会が争点を早期に把握できます。
Q. 争点や証拠の記載は、どこまで詳しく書くべきですか。
予想される争点および関連する重要な事実、争点ごとの証拠は、会社側の主張および立証計画の全容を示すものとして記載することが求められます。答弁書段階で、どの争点をどの証拠で立証するかを網羅的に示すことが重要です。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。労働審判の答弁書作成でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
最終更新日:2026年7月13日