企画業務型裁量労働制が適用されるのはどのような業務ですか?
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対象業務は、事業運営に関する企画・立案・調査・分析の業務に限られる 企画業務型裁量労働制が適用されるのは、事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務です(労基法38条の4第1項1号)。単なる事務作業や、指示された業務の実行だけでは対象になりません。 |
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遂行方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があることが客観的に求められる 業務の性質上、遂行方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要性は、業務の性質に照らして客観的に判断されるものであり、使用者の主観的な判断で足りるわけではありません。 |
目次
企画業務型裁量労働制は、専門業務型裁量労働制と並ぶ裁量労働制の一種ですが、対象業務の範囲は法律で厳格に限定されています。名称に「企画」という言葉が含まれていても、企画部門に所属していれば当然に対象になるわけではありません。
会社側専門の弁護士の立場から、企画業務型裁量労働制が適用される業務の要件を解説します。
01企画業務型裁量労働制が適用される業務(労基法38条の4第1項1号)
企画業務型裁量労働制が適用される業務について、労働基準法は、「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務」と定めています(労働基準法38条の4第1項1号)。
この定義は、大きく分けると、①対象となる業務の内容(事業の運営に関する事項についての企画・立案・調査・分析)、②業務の性質上、裁量に委ねる必要性、③使用者が具体的な指示をしないという実際の業務運用、という3つの要素で構成されています。以下、それぞれの内容を解説します。
02「事業の運営に関する事項」とは
「事業の運営に関する事項」とは、対象事業場の属する企業などの事業の運営に影響を及ぼす事項、または当該事業場に係る事業の運営に影響を及ぼす事項をいいます。たとえば、本社や本店の事業場において、企業全体に係る管理・運営とあわせて対顧客営業を行っている場合、その管理・運営を担当する部署が策定する企業全体の営業方針などが、これに当たります。
また、支社や支店等の事業場で、本社・本店からの具体的な指示を受けることなく、当該事業場が独自に策定する、その事業場のみに係る事業活動の対象地域における生産・販売等についての事業計画や営業計画なども、当該事業場に係る事業の運営に影響を及ぼす事項として、これに該当します。単なる個別の商談や日常業務の遂行は含まれません。
03「企画、立案、調査及び分析の業務」とは
「企画、立案、調査及び分析の業務」とは、これら4つの作業を組み合わせて行う業務のことをいいます。個々の労働者が、これらの作業のいずれかひとつだけを担当するのではなく、一連の過程として遂行を命じられている場合に、この要件に該当すると考えられます。たとえば、調査や分析だけを行い、企画・立案には関与しない業務は、この要件を満たさない可能性があります。
04「遂行方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要がある」とは
「当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要がある」業務とは、当該業務の性質に照らして客観的にその必要性が存在するものをいい、使用者が主観的に「裁量に委ねたい」と考えているというだけでは足りません。会社が制度を導入したいという都合だけで、この要件を満たすものとみなすことはできません。あくまで、業務そのものの性質から、裁量を認めなければ適切な遂行が困難であるという客観的な必要性が求められます。
05「使用者が具体的な指示をしないこととする業務」とは
「当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務」とは、企画、立案、調査等の業務の内容を、いつ、どのように行うかなどについて、広範な裁量が労働者に認められている業務をいいます。この要件は、制度上の建前だけでなく、実際の業務運用として、使用者が細かな指示を行っていないことが求められます。
なお、業務目標や期限などの指示や、労働者からの計画に関する報告を受けたうえで、必要な変更を指示することについては、特に制限されていません。つまり、大枠の方針や締切を示すことは許容されており、この程度の関与があるからといって、直ちに「具体的な指示」に当たるとされるわけではありません。問題となるのは、業務の進め方や日々の時間配分にまで、使用者が細かく指示・関与する場合です。
06会社側が押さえておくべき視点
企画業務型裁量労働制は、専門業務型裁量労働制と異なり、対象業務が限定列挙されているわけではなく、上記の要件に該当するかどうかを個別に判断する必要があります。そのため、「企画部門だから対象になる」といった安易な判断は禁物です。実際に対象労働者が担当している業務の内容、会社からの指示の実態、業務の性質を丁寧に検討し、要件を満たすかどうかを確認する必要があります。
また、企画業務型裁量労働制の導入には、労使委員会の決議など、専門業務型とは異なる手続要件も課されています。対象業務の要件を満たしていても、導入手続を誤れば制度の有効性そのものが否定され、未払残業代のリスクを負うことになります。導入を検討する際は、対象業務の該当性と手続の両面について、事前に専門的な確認を行うことが不可欠です。
07よくある質問(FAQ)
Q. 企画部門に所属していれば、企画業務型裁量労働制の対象になりますか。
部門名だけでは判断できません。事業の運営に関する事項についての企画・立案・調査・分析の業務であり、業務の性質上、遂行方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があり、実際に使用者が具体的な指示をしていないという要件(労基法38条の4第1項1号)を、実態に即して満たしている必要があります。
Q. 業務の目標や締切を伝えることは、「具体的な指示」に当たりますか。
当たりません。業務目標や期限の指示、計画の報告を受けたうえでの変更指示については、特に制限されていません。問題となるのは、遂行の手段や日々の時間配分にまで細かく関与する場合です。
Q. 会社が「裁量に委ねたい」と考えていれば、要件を満たしますか。
満たしません。裁量に委ねる必要性は、業務の性質に照らして客観的に判断されるものであり、使用者の主観的な意向だけでは足りません。業務そのものの性質から、裁量を認めなければ適切な遂行が困難であるという客観的な必要性が求められます。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。裁量労働制の導入や運用でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
最終更新日:2026年7月13日