この記事の結論
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不当な理由による派遣契約解除は禁止されている

派遣労働者の国籍・信条・性別・社会的身分、正当な労働組合活動を理由とする派遣契約解除は禁止されており、派遣先都合による解除にあたっては、新たな就業機会の確保等の雇用安定のための措置が求められます。

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苦情処理・均衡待遇・期間制限の運用も求められる

派遣労働者からの苦情に誠意をもって対応する義務、均衡待遇の確保、派遣期間制限(827の記事参照)の適切な運用等、派遣先には多岐にわたる措置が課されています。

 843の記事で解説した派遣元の義務と対をなす形で、労働者派遣法は、派遣先にも様々な義務を課しています。派遣労働者を受け入れる会社にとって、これらの措置を正確に理解しておくことが重要です。

 会社側専門の弁護士の立場から、労働者派遣法が定める派遣先の講ずべき措置を解説します。

01派遣先が講ずべき12の措置

 労働者派遣法は派遣先の講ずべき措置について、次のとおり定めています。

  • 派遣労働者の国籍・信条・性別・社会的身分、正当な労働組合活動を理由とする派遣契約解除の禁止
  • 派遣先都合による派遣契約解除にあたっては、当該労働者派遣に係る派遣労働者の新たな就業の機会の確保、派遣元が派遣労働者に支払う休業手当等の費用を確保するための費用負担、その他当該派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置
  • 労働者派遣契約の定めに反することのないような適切な措置
  • 適正な派遣就業の確保等のため、派遣労働者から派遣就業に関する苦情の申出を受け付けた場合に、苦情の内容を派遣元に通知し、密接な連携の下、誠意をもって遅滞なく、適切かつ迅速に苦情処理を図る義務
  • 派遣先による均衡待遇の確保
  • 派遣先事業所単位の派遣期間制限の適切な運用
  • 派遣労働者個人単位の派遣期間制限の適切な運用
  • 派遣労働者の雇用努力義務
  • 派遣先での常用労働者
  • 派遣先を離職後1年経過しない労働者についての労働者派遣受入れの禁止
  • 派遣先責任者の選任
  • 派遣先管理台帳の作成、記載、3年間の保存

02派遣契約解除に関する規制

 派遣労働者の国籍・信条・性別・社会的身分、正当な労働組合活動を理由とする派遣契約解除は、明確に禁止されています。また、派遣先都合による派遣契約解除を行う場合であっても、それで終わりというわけではなく、当該派遣労働者の新たな就業機会の確保、派遣元が支払う休業手当等の費用負担、その他雇用の安定を図るために必要な措置を講ずる義務があります。派遣契約を解除すれば派遣先の責任は終了する、という理解は誤りです。

03苦情処理義務

 適正な派遣就業の確保等のため、派遣先は、派遣労働者から派遣就業に関する苦情の申出を受け付けた場合に、苦情の内容を派遣元に通知し、密接な連携の下、誠意をもって遅滞なく、適切かつ迅速に苦情処理を図る義務を負っています。派遣労働者からの苦情を「派遣元の問題だから関与しない」として放置することは、この義務に反するリスクがあります。

04会社側が押さえておくべき視点

 派遣先企業としては、派遣契約を解除する際、その理由が国籍・信条・性別・社会的身分等の禁止事由に該当しないかを確認するとともに、派遣先都合による解除の場合には、雇用安定のための必要な措置を講じる必要があることを認識しておく必要があります。

 また、827の記事で解説した派遣期間制限(事業所単位・個人単位)の適切な運用、派遣先責任者の選任、派遣先管理台帳の作成・保存についても、漏れなく履行できる体制を整えることが重要です。派遣労働者からの苦情については、迅速かつ誠実な対応を心がけ、派遣元との連携を密にしておくことをお勧めします。

05よくある質問(FAQ)

Q. 派遣契約を解除すれば、派遣先の責任は終了しますか。

終了しません。派遣先都合による解除の場合には、当該派遣労働者の新たな就業機会の確保等、雇用の安定を図るために必要な措置を講ずる義務があります。

Q. 派遣労働者からの苦情は、派遣元に任せてよいですか。

任せきりにはできません。派遣先自身も、苦情の内容を派遣元に通知し、密接な連携の下、誠意をもって遅滞なく適切に苦情処理を図る義務を負っています。

Q. 派遣先管理台帳は、どのくらいの期間保存する必要がありますか。

3年間の保存が義務付けられています。

経営上のポイント 労働者派遣法は、不当な理由による派遣契約解除の禁止、派遣先都合の解除時の雇用安定措置、苦情処理義務、均衡待遇の確保、派遣期間制限の適切な運用、派遣先管理台帳の作成・保存等、派遣先が講ずべき12の措置を定めています。特に、国籍・信条・性別・社会的身分、正当な組合活動を理由とする派遣契約解除は明確に禁止されており、派遣先都合による解除の場合も、新たな就業機会の確保等の措置が求められます。苦情処理についても、派遣元任せにせず、派遣先自身が誠実に対応する義務があります。会社側としては、これらの義務を漏れなく履行する体制を整備することが重要です。労働者派遣法への対応は、会社側・使用者側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。派遣労働者の受入れに関するコンプライアンス対応でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月13日


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