労働問題827 労働者派遣法は、派遣可能期間についてどのように定めていますか。

この記事の結論
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事業所単位・個人単位の2つの基準で3年の期間制限がある

平成27年の労働者派遣法改正により、派遣対象業務による期間制限は廃止され、①派遣先事業所単位、②派遣労働者個人単位を基準として、いずれも原則3年の期間制限がなされるようになりました。

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事業所単位は意見聴取で延長でき、クーリング期間は3か月超が必要

事業所単位の期間は、過半数労働組合等への意見聴取により延長できます。派遣終了後3か月を超える期間を空ければ期間制限はリセットされますが、意図的な期間確保は派遣法の趣旨に反するとされます。

 826の記事で解説した労働者派遣を活用する際、実務上避けて通れないのが、派遣可能期間のルールです。この期間制限を正確に理解しておかないと、意図せず違法な派遣受入れになってしまうリスクがあります。

 会社側専門の弁護士の立場から、労働者派遣法の派遣可能期間を解説します。

01平成27年改正の概要

 平成27年の労働者派遣法の改正では、派遣対象業務による期間制限は廃止され、(1)派遣先事業所単位、(2)派遣労働者個人単位を基準として期間制限がなされるようになりました。従来は、専門26業務であれば期間制限がないといった、業務の種類に着目した規制でしたが、改正後は、事業所と労働者個人という2つの単位で一律に規制する仕組みに変わりました。

02期間制限が適用されない例外

 期間制限の目的は、派遣労働者による常用代替の防止と、派遣労働者の派遣就業への固定化防止にあるため、次の場合には、期間制限は適用されません。

  • 無期雇用派遣労働者
  • 60歳以上の者
  • プロジェクト型業務
  • 日数限定業務
  • 正規雇用労働者の一時代替業務

03派遣先事業単位による期間制限

 派遣可能期間は3年です。派遣可能期間を延長するためには、派遣先は、派遣可能期間満了の1か月前までに当該事業所の過半数労働組合等の意見を聴取しなければなりません。意見聴取にあたっては、派遣受入れを開始してからの派遣労働者の数や派遣先の常用労働者推移等、参考となる資料を提供する必要があります。意見聴取において、過半数労働組合等から異議が述べられた場合、派遣先は、派遣可能期間満了の前日までに、派遣可能期間を延長する理由や異議への対処方針を過半数労働組合等に説明する必要があります。

 派遣先事業所につき、派遣終了後3か月を超える期間、いわゆるクーリング期間を設けた場合、派遣可能期間はリセットされますが、3か月以下の期間しか設けていない場合は、派遣期間は継続しているものとみなされます。また、派遣可能期間の延長手続を回避するために意図的に3か月の期間を空けた上で派遣を再開する行為は、派遣法の趣旨に反するものとされます。

04派遣労働者個人単位の期間制限

 派遣元及び派遣先は、同一の派遣労働者について、派遣先の事業所その他派遣就業場所における組織単位ごとの業務について3年を超える期間継続して派遣を行うことはできません。課を変更すれば、同一の派遣労働者を引き続き派遣を行うことは可能ですが、派遣先による派遣労働者の特定行為は禁止されています。

 同一の組織単位において、3年を超えて同一の派遣労働者を派遣しようとする場合、派遣終了後3か月を超える期間を設けた場合、派遣可能期間はリセットされますが、3か月以下の期間しか設けていない場合、派遣期間は継続しているものとみなされます。また、派遣可能期間の延長手続を回避するために、意図的に3か月の期間を空けた上で派遣を再開する行為は、派遣法の趣旨に反するものとされます。

05会社側が押さえておくべき視点

 派遣先の会社としては、事業所単位・個人単位という2つの異なる期間制限が並存していることを正確に理解しておく必要があります。事業所単位の3年を延長できても、個人単位で3年を超えて同一の労働者を同一の組織単位に置くことはできません。組織単位(課)を変更すれば個人単位の制限はリセットされますが、その際、派遣先が特定の労働者を指名するような「特定行為」は禁止されている点にも注意が必要です。

 クーリング期間についても、単に3か月を空ければよいという形式的な理解ではなく、延長手続を回避する意図的な運用は、派遣法の趣旨に反するとされるリスクがある点を踏まえ、実質的に適正な運用を心がける必要があります。

06よくある質問(FAQ)

Q. 事業所単位で3年を超えて派遣を受け入れたい場合、どうすればよいですか。

派遣可能期間満了の1か月前までに、事業所の過半数労働組合等の意見を聴取することで延長できます。

Q. 同じ派遣労働者を、部署を変えれば継続して受け入れられますか。

課(組織単位)を変更すれば、個人単位の期間制限との関係では継続して受け入れることが可能です。ただし、派遣先による特定行為は禁止されています。

Q. クーリング期間を3か月空ければ、必ず期間制限はリセットされますか。

形式的には3か月を超える期間でリセットされますが、延長手続を回避する目的で意図的に期間を空ける行為は、派遣法の趣旨に反するとされるリスクがあります。

経営上のポイント 平成27年の労働者派遣法改正により、業務による期間制限は廃止され、①派遣先事業所単位、②派遣労働者個人単位の2つの基準で、いずれも原則3年の期間制限が課されています(無期雇用派遣労働者、60歳以上等は例外)。事業所単位は、過半数労働組合等への意見聴取により延長できます。個人単位は、組織単位(課)を変更すれば継続受入れが可能ですが、派遣先による特定行為は禁止されています。いずれも派遣終了後3か月を超えるクーリング期間で期間制限がリセットされますが、延長手続を回避する意図的な運用は派遣法の趣旨に反するとされます。会社側としては、事業所単位・個人単位の2つの制限を正確に区別し、実質的に適正な運用を心がけることが重要です。労働者派遣の受入れ管理は、会社側・使用者側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

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弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。労働者派遣の受入れ管理でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月13日

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