この記事の結論
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当日朝の申請は事後申請にあたり、認めるかは使用者の自由

休暇は暦日単位で与えられるところ(昭和63年3月14日基発第150号)、勤務日当日の朝の時点で既に午前0時を過ぎ勤務日が始まっているため、有給休暇申請は事後申請であり、時季変更権の行使が阻害されています。したがって、これを認めるかどうかは基本的に使用者の自由です。

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就業規則や運用実態によっては認めるのが穏当な場合がある

就業規則で当日申請を認めていたり、普段から事後申請での欠勤の有給休暇への変更を認めている実態がある場合には、勤務日当日の有給休暇申請を認めるのが穏当です。

 853の記事で解説した有給休暇制度に関連して、実務上頻繁に問題になるのが、当日の朝に「今日は休みます」と有給休暇の取得を申請してくるケースです。これを欠勤扱いとしてよいのかは、会社側にとって悩ましい論点です。

 会社側専門の弁護士の立場から、当日朝の有給休暇申請への対応を解説します。

01休暇の暦日単位原則と時季変更権

 847の記事で解説したとおり、休暇は原則として暦日単位(○月○日という丸1日単位)で与える必要があるとされています。これは年次有給休暇についても同様です(昭和63年3月14日基発第150号)。また、労働者から有給休暇の請求(時季指定)があった場合、使用者は、事業の正常な運営を妨げる場合に限り、時季変更権を行使して他の時季に変更することができます。

02当日朝の申請は「事後申請」に当たる

 通達上、休暇は暦日単位で与えられるところ(昭和63年3月14日基発第150号)、勤務日当日の朝の時点で午前0時を過ぎており勤務日が始まっていますので、有給休暇申請は事後申請であり、時季変更権の行使が阻害されています。したがって、勤務日当日の朝に労働者が有給休暇を申請することは、事後申請と同じですので、これを認めるかどうかは基本的には使用者の自由であると考えます。

 つまり、「今日休みます」という当日朝の申請は、法的には既に始まっている労働日についての事後的な申出にすぎず、使用者が事前に時季変更権を検討する余地を与えないものであるため、通常の有給休暇の時季指定とは異なる扱いを受けるということです。

03例外的に認めるのが穏当な場合

 ただし、労働者の急な体調不良等に備えて就業規則で有給休暇取得の当日申請を認めていたり、普段、事後申請によって欠勤を有給休暇に変更することを認めている実態がある場合には、勤務日当日の有給休暇申請を認めるのが穏当です。就業規則の規定や、これまでの運用実態と矛盾する対応をとると、労働者との間で不公平感や紛争を招くリスクがあります。

04会社側が押さえておくべき視点

 会社側としては、まず、自社の就業規則や運用実態を確認し、当日申請の取扱いについて、どのようなルールが実質的に確立しているかを把握することが重要です。法律上は当日朝の申請を拒否できる場合であっても、これまで当日申請を柔軟に認めてきた実態があるにもかかわらず、特定の労働者にだけ拒否するといった対応は、不公平な取扱いとして問題視されるリスクがあります。

 急病等のやむを得ない事情に配慮した独自の休暇制度(傷病休暇等)を設けることも、当日欠勤の取扱いを明確化する有効な方法の一つです。就業規則において、有給休暇の申請期限(例:前日までに申請等)を明記しておくことも、実務上の運用を安定させるうえで有効です。

05よくある質問(FAQ)

Q. 当日朝に「今日は有給を使います」と言われた場合、必ず欠勤扱いにできますか。

必ずしもそうとは限りません。法的には認めるかどうかは使用者の自由ですが、就業規則で当日申請を認めていたり、これまでの運用実態がある場合には、認めるのが穏当です。

Q. なぜ当日朝の申請は「事後申請」になるのですか。

休暇は暦日単位で与えられ、当日朝の時点で既に午前0時を過ぎて勤務日が始まっているため、時季変更権を行使する余地のない事後的な申出と扱われるからです。

Q. これまで当日申請を柔軟に認めてきた場合、急に拒否してもよいですか。

運用実態と矛盾する急な対応は、不公平な取扱いとして問題視されるリスクがあります。就業規則の規定と実際の運用を確認し、一貫した対応を心がける必要があります。

経営上のポイント 休暇は暦日単位で与えられるところ(昭和63年3月14日基発第150号)、勤務日当日の朝の時点で既に午前0時を過ぎ勤務日が始まっているため、有給休暇申請は事後申請であり、時季変更権の行使が阻害されています。したがって、これを認めるかどうかは基本的には使用者の自由です。ただし、就業規則で当日申請を認めていたり、普段から事後申請での欠勤の有給休暇への変更を認めている実態がある場合には、勤務日当日の有給休暇申請を認めるのが穏当です。会社側としては、就業規則の規定と実際の運用実態を確認し、一貫性のある対応をとることが重要です。有給休暇制度の運用は、会社側・使用者側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。有給休暇制度の運用でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月13日


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