この記事の結論
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対応が義務付けられていれば、仮眠時間も労働時間になる

仮眠室での待機、警報や電話への対応が使用者によって義務付けられているならば、使用者の指揮命令下に置かれていると評価され、仮眠時間は労働時間に当たると考えられます。

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実作業の必要がほぼないなら、労働時間に当たらない場合もある

仮眠時間において実作業の必要が生じることが皆無に等しいなど、実質的に対応義務がないと認められる事情があれば、指揮命令下に置かれているとは評価できず、労働時間に当たらないと考えられます。

 773の記事で解説した休憩・仮眠・手待時間の労働時間性について、本稿では、仮眠時間に絞って、より詳しく解説します。宿直・夜勤を伴う業種において、実務上非常に重要な論点です。

 会社側専門の弁護士の立場から、仮眠時間が労基法上の労働時間に当たるかを解説します。

01仮眠時間の労働時間該当性の判断基準

 仮眠時間が労基法上の労働時間に当たるかどうかは、客観的にみて使用者の指揮命令下に置かれているかどうかによります。そして、使用者の指揮命令下に置かれているかどうかは、労働者の行為が使用者から義務付けられ、または余儀なくされたものであるかどうか等を考慮して判断されます。この考え方は、830の記事で解説した労働時間の一般的な判断基準と共通しています。

02義務付けの程度による違い

 たとえば、仮眠室での待機、警報や電話への対応が使用者によって義務付けられているならば、使用者の指揮命令下に置かれていると評価されますので、仮眠時間は労働時間に当たると考えられます。もっとも、仮眠時間において実作業の必要が生じることが皆無に等しいなど、実質的に上記のような義務付けがなされていないと認められるような事情があれば、指揮命令下に置かれているとは評価できないため、労働時間に当たらないと考えられます。

03大星ビル管理事件(最高裁平成14年2月28日)

 ビルの管理人の仮眠時間が労基法上の労働時間に該当するか否かが争点となった大星ビル管理事件は、労働者が仮眠時間中であっても、仮眠室での待機、警報や電話等への対応が使用者によって義務付けられており、また、実作業の必要が生じることが皆無に等しいなどの事情もないことから、当該仮眠時間は労働時間に当たると判断しています(最高裁平成14年2月28日判決)。この判例は、不活動時間であっても、対応義務がある限り「労働からの解放」が保障されていないとして、労働時間性を肯定した点で重要な意義を持ちます。

04会社側が押さえておくべき視点

 宿直・夜勤等で仮眠時間を設けている会社としては、その仮眠時間中に、警報対応や電話対応等の義務を課しているかどうかを、まず確認する必要があります。義務を課している場合には、実作業がほとんど発生しない実態があったとしても、原則として労働時間として扱う必要があります。

 仮眠時間を労働時間から除外したい場合には、実質的に対応義務を課さない体制(対応を別の当直者に任せる、警報が鳴っても対応不要とする等)を構築することが必要です。単に「仮眠時間」と呼称するだけでは、労働時間性を否定する根拠にはなりません。

05よくある質問(FAQ)

Q. 「仮眠時間」と就業規則に定めておけば、労働時間から除外できますか。

除外できません。名称にかかわらず、仮眠室での待機・警報や電話への対応が義務付けられている場合は、指揮命令下に置かれているとして労働時間に当たります。

Q. 仮眠中にほとんど呼び出しがない場合でも、労働時間になりますか。

対応義務が課されている限り、実際に呼び出しの頻度が低くても労働時間に当たると考えられます。実作業の必要が皆無に等しいといえる場合に限り、労働時間性が否定されます。

Q. 仮眠時間を労働時間から除外するには、どうすればよいですか。

警報対応等を別の当直者に任せる、対応不要とする等、実質的に対応義務を課さない体制を構築する必要があります。

経営上のポイント 仮眠時間の労働時間該当性は、客観的に指揮命令下に置かれているかで判断され、仮眠室での待機や警報・電話への対応が義務付けられていれば労働時間に当たります。実作業の必要が皆無に等しいなど実質的な義務付けがない場合に限り、労働時間性が否定されます。ビル管理人の仮眠時間について、対応義務があり実作業の必要がないとはいえないとして労働時間性を肯定した最高裁判例があります(大星ビル管理事件、最高裁平成14年2月28日)。会社側としては、宿直・夜勤における仮眠時間中の対応義務の有無を確認し、労働時間から除外したい場合には実質的に対応義務を課さない体制を構築することが重要です。仮眠時間の取扱いは、会社側・使用者側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。仮眠時間の取扱いでお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月13日


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