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事業場外で業務に従事する場合であっても使用者の具体的な指揮監督が及んでいるために事業場外労働のみなし労働時間制の適用が否定される具体例を教えて下さい。

 事業場外で業務に従事する場合であっても使用者の具体的な指揮監督が及んでいるために事業場外労働のみなし労働時間制の適用が否定される具体例としては、昭和63年1月1日基発第1号が以下のように述べているのが参考になると思います。
(昭和63年1月1日基発第1号)
 事業場外労働に関するみなし労働時間制の対象となるのは、事業場外で業務に従事し、かつ、使用者の具体的な指揮監督が……

「労働時間を算定し難いとき」とは、どのような場合のことをいいますか。

 「労働時間を算定し難いとき」とは、当該業務の勤務実態等の具体的事情を踏まえて、社会通念に従って判断すると、使用者の具体的な指揮監督が及ばないと評価され、客観的にみて労働時間を把握することが困難である例外的な場合をいうと考えるのが一般的です。
 阪急トラベルサポート(派遣添乗員・第2)事件最高裁平成26年1月24日第二小法廷判決は、どのような場合に「労働時間を算定し難いとき」に該当す……

「労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合」とは、どのような場合のことをいいますか。

 事業場外労働のみなし労働時間制は、事業場外で業務に従事した場合の制度なので、事業場外での業務に従事していない場合には、労働時間を算定し難い場合であっても、事業場外労働のみなし労働時間制の適用はありません。もっとも、労働者が労働時間の「一部」について事業場外で業務に従事した場合にも適用がありますので、労働者が事業場外と事業場内の両方で業務に従事した場合も、事業場外労働のみなし労働時間制が適用される……

事業場外労働のみなし労働時間制の適用要件を教えて下さい。

 事業場外労働のみなし労働時間制を適用することができるというためには、以下の2つの要件を満たす必要があります。
 ① 「労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合」であること
 ② 「労働時間を算定し難いとき」に当たること 弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎……

変形労働時間制を採用すれば、残業代(割増賃金)請求対策になりますか。

 変形労働時間制は、一定の期間を単位として、週当たりの平均労働時間が週40時間を超えないことを条件に、所定労働時間が週40時間又は1日8時間の労働時間を超えて労働させることを許容する制度に過ぎず、残業代(時間外・休日・深夜割増賃金)の支払義務を免除する制度ではありません。週40時間又は1日8時間を超える所定労働時間が定められた場合、週40時間又は1日8時間を超える部分は残業代(時間外割増賃金)の支……

1か月単位の変形労働時間制を採用する場合、就業規則・労使協定に労働時間制の枠組みを定めるだけで労働時間を特定せずに、具体的な労働時間を使用者が任意に定めることができるようなもので構いませんか。

 1か月単位の変形労働時間制を導入するためには、法定労働時間を上回る週又は日を特定し、単位期間を平均して1週間あたりの労働時間が週法定労働時間を超えないことを明らかにするために、各週・各日の所定労働時間を就業規則又は労使協定に定める必要があります。
 業務の性質上事前の特定が困難な場合は、変形の期間、上限、勤務のパターンなどの変形制の基本事項を就業規則又は労使協定に定めた上、変形期間……

労働時間の規制緩和のための制度や労働時間等に関する規定の適用を除外する制度にはどのようなものがありますか。

 労働時間の規制緩和のための制度としては、
 ① 変形労働時間制(労基法32条の2、32条の4、32条の5)
 ② フレックスタイム制(労基法32条の3)
 ③ 事業場外労働のみなし労働時間制(労基法38条の2)
 ④ 裁量労働制(労基法38条の3、38条の4)
などがあります。  ⑤ 管理監督者及び機密事務取扱者(労基法41……

残業代(割増賃金)の支払を命じる判決を放置していたところ、強制執行されてしまいました。強制執行のため源泉所得税を源泉徴収できなかったのですから、源泉所得税を納付しなくても構いませんよね。

 最高裁判所平成23年3月22日第三小法廷判決は、 所得税法28条1項に規定する給与等の支払をする者が、その支払を命ずる判決に基づく強制執行により賃金の回収を受ける場合であっても、源泉所得税の源泉徴収義務を負うと判断していますので、使用者は、強制執行のため源泉所得税を源泉徴収できなかった場合であっても、源泉所得税の源泉徴収義務を負い、源泉所得税を納付する必要があります。
 強制執行さ……

残業代(割増賃金)の支払を命じる判決が出たので、所得税等を源泉徴収して支払おうとしたところ、労働者側代理人から、「債務名義があるのだから、源泉徴収せずに全額払って欲しい。」と言われました。債務名義があるかどうかと源泉徴収義務の有無は関係あるのでしょうか。

 使用者は、強制執行により賃金の回収を受ける場合であっても、源泉所得税の源泉徴収義務を負うとするのが最高裁判所平成23年3月22日第三小法廷判決なのですから、使用者が判決に従い任意に賃金を支払う場合は、当然、源泉徴収義務を負い、源泉所得税を納付しなければならないことになります。したがって、使用者は、債務名義の有無にかかわらず、源泉徴収した上で賃金を支払う必要があります。
 もっとも、……

過去2年分の未払残業代(割増賃金)を支払う場合、現実に支払った日の属する月の給与所得として源泉所得税の計算をすればいいのか、本来支給すべきであった給料日の属するそれぞれの年分の給与所得として処理すればいいのか、教えて下さい。

 過去2年分の未払残業代(割増賃金)を支払った場合、本来の給料日に支払っておくべきだった残業代(割増賃金)が一括して支払われたことになりますので、本来支給すべきであった給料日の属するそれぞれの年分の給与所得となります。国税庁ウェブサイトの「No.2509 給与所得の収入金額の収入すべき時期」をご確認下さい。
 現実に支払った日の属する月の給与所得として源泉所得税の計算をしてしまうと、……

残業代(割増賃金)の請求を受けている労働審判事件において、付加金の支払を命じられることがありますか。

 労働審判は判決ではありませんので、労働審判で付加金の支払を命じられることはありません。
 労働審判手続申立書において付加金の請求がなされていることは珍しくありませんが、これは、労働審判手続において調停が成立せず、労働審判に対して異議が出されて訴訟に移行した場合に備え、除斥期間を遵守するためのものに過ぎません。  ※ 労働審判対応については、こちらで具体的に解説しています。 弁護……

第一審判決で残業代(割増賃金)と付加金の支払を命じられてしまいました。付加金の支払を免れる方法はありませんか。

 裁判所は、未払残業代(割増賃金)がなければ、付加金の支払を命じることができません。
 したがって、第一審判決に対して控訴し、未払残業代(割増賃金)の全額について弁済した上で控訴審において未払残業代(割増賃金)弁済の事実を主張立証すれば、未払残業代(割増賃金)の請求も付加金の請求も棄却されますので、付加金の支払を免れることができます。 弁護士法人四谷麹町法律事務所
代……

残業代請求訴訟において、原告代理人が、「和解額は付加金の金額を加算した金額とすべき。」と主張していますが、応じる必要がありますか。

 裁判所は、未払割増賃金がなければ、付加金の支払を命じることができません。仮に、和解が成立しなかったとしても、未払割増賃金相当額を原告本人の給与振込口座に源泉徴収した上で振り込んで支払ってしまえば、未払割増賃金請求が棄却されるのは勿論、裁判所は付加金の支払を命じることもできなくなります。
 したがって、残業代請求訴訟における和解額に付加金の金額を考慮するのは筋違いですので、応じる必要……

付加金の請求期間に制限はありますか。

 付加金の請求期間には、次のような制限があります。
 ① 2020年3月31日までの給料日に支払われるべき残業代の付加金 2年
 ② 2020年4月1日以降の給料日に支払われるべき残業代の付加金 当分の間は3年(いずれ5年)(労基法143条2項・114条ただし書) 
 付加金請求の期間制限はいわゆる「除斥期間」であって消滅時効期間ではないと考えられており、……

残業代(割増賃金)請求訴訟において、支払が命じられる可能性がある付加金の額を教えて下さい。

 残業代(割増賃金)請求訴訟では、付加金の請求もなされるのが通常で、例えば、未払の残業代(割増賃金)の額が300万円の場合、さらに最大300万円の付加金の支払(合計600万円の支払)が判決で命じられる可能性があります。
 使用者が残業代(割増賃金)の支払を怠っている場合、残業代(割増賃金)と同額の付加金の支払が命じられることが多くなっていますが、付加金の支払を命じるかどうかは裁判所の……

判決で付加金(労基法114条)の支払が命じられる可能性があるのは、どのような場合ですか。

 使用者が、
 ① 解雇予告手当(労基法20条)
 ② 休業手当(労基法26条)
 ③ 残業代(割増賃金)(労基法37条)
 ④ 年次有給休暇取得時の賃金(労基法39条7項)
のいずれかの支払を怠り、労働者から訴訟を提起された場合に、裁判所はこれらの未払金に加え、これと同一額の付加金の支払を命じることができるとされています(労基……

残業代(割増賃金)の消滅時効期間を教えて下さい。

 残業代の消滅時効期間は、次のとおりです。
 ① 2020年3月31日までの給料日に支払われるべき残業代 2年
 ② 2020年4月1日以降の給料日に支払われるべき残業代 当分の間は3年(いずれ5年)(労基法143条3項・115条) 
 ただし、内容証明郵便等による残業代請求があった場合には、その時から6か月を経過するまでの間は時効が完成しません(民法15……

残業代(割増賃金)の遅延損害金の利率を教えて下さい。

 株式会社、有限会社等の営利を目的とした法人の場合、残業代(割増賃金)の遅延損害金の利率は、賃金支払日の翌日から年6%です。
 社会福祉法人、信用金庫等の営利を目的としない法人の場合、残業代(割増賃金)の遅延損害金の利率は、賃金支払日の翌日から年5%です。
 ただし、退職後の期間の遅延損害金については、年14.6%という高い利率になる可能性があります(民法419条1項・……

36協定を締結して労基署に届け出ていない場合にも、使用者は残業代(割増賃金)を支払う義務がありますか。

 36協定を締結して労基署に届け出ていない場合にも、使用者は残業代(割増賃金)を支払う義務があります。 弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎……

36協定を締結して労基署に届け出れば,時間外・休日労働(残業)を命じることができますか。

 36協定の締結・届出がなされていない場合には、原則として時間外・休日労働(残業)を命じることができませんが、36協定の締結・届出をすれば、直ちに時間外・休日労働(残業)を命じることができるというわけではなく、時間外・休日労働(残業)を命じることができるというためには、労働契約上の根拠が必要となります。
 就業規則や労働条件通知書に時間外・休日労働(残業)を命じることがある旨規定され……

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