ワード:「労働問題」

労契法19条により雇止め制限が認められるかどうかを判断する際のポイントを教えて下さい。

 実質無期又は契約更新に合理的期待があるかどうかという話と、雇止めに客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性があるかどうかという話を分けて考えるのがポイントです。
 実質無期の場合にも契約更新に合理的期待がある場合にも該当しない場合には、期間満了により労働契約は終了し、雇止めに客観的に合理的な理由や社会通念上の相当性は要求されません。 弁護士法人四谷麹町法律事務所
代……

有期契約労働者の契約期間が満了したことを理由として辞めてもらう場合でも、トラブルになるリスクはありますか。

 有期労働契約は、契約期間が満了すれば、契約は当然に終了するのが原則です。
 しかし、労契法19条の要件を満たす場合は、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で有期労働契約者からの有期労働契約の更新の申込み又は有期労働契約の締結の申込みを承諾したものとみなされるため、雇止めをしても労働契約を終了させることはできません。
 労契法19条は、東芝柳……

過失相殺・素因(寄与度)減額と損益相殺はどちらが先に行われますか?

 過失相殺・素因(寄与度)減額は損益相殺に先立ち行われます(鹿島建設・大石塗装事件最高裁昭和55年12月18日第一小法廷判決参照)。 弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎

労災保険給付がなされた場合、損害賠償額は減額されますか?

 労働者またはその相続人が労災事故に起因して何らかの利益を得た場合、当該利益が損害の填補であることが明らかなときは、損害賠償額から控除されます。労災保険給付がなされた場合、使用者は、同一の事由については、その価額の限度において民法の損害賠償の責を免れることになります(労基法84条2項類推)。
 障害補償年金、遺族補償年金、障害年金、遺族年金等の年金給付については、支給を受けることが確……

精神疾患の発症、増悪に本人の素因が寄与している場合は、賠償額を減額してもらえますか?

 損害の発生又は拡大に関し、被災労働者に過失がある場合には、過失の程度に応じて、損害賠償額が減額されます(民法418条、722条2項)。また、被害者の性格等の心因的要因が損害の発生又は拡大に寄与している場合には、損害を公平に分担させるという損害賠償法の理念に照らし、民法418条又は民法722条2項の過失相殺の規定を類推適用して、損害賠償額が減額(素因減額)されることがあります。
 電……

社員の精神疾患発症に関し使用者責任又は安全配慮義務違反を理由とする債務不履行を問われて損害賠償義務を負う場合、社員の弁護士費用まで賠償しなければなりませんか。

 不法行為の被害者が損害賠償を請求するために「訴訟追行を弁護士に委任した場合には、その弁護士費用は、事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものに限り、右不法行為と相当因果関係に立つ損害というべきである。」(最高裁昭和44年2月27日第一小法廷判決)とするのが、確立した最高裁判例です。
 また、最高裁第二小法廷平成24年2月24日判決は、……

業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷に関し、使用者が負う注意義務の具体的内容はどのようなものですか?

 電通事件最高裁平成12年3月24日第二小法廷判決は、使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うとしています。
 電通事件最高裁判決が認めたのは、「不法行為責任」における注意義務ですが、安全配慮義務(労働契約法5条、「使用者は、労働契約に伴い、労……

労働契約法第5条(労働者の安全への配慮)の内容はどのようなものですか?

 平成20年3月1日から施行された労働契約法第5条(労働者の安全への配慮)では、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と規定され、労働契約における使用者の安全配慮義務が明文化されました。
 使用者の安全配慮義務を明文化した趣旨については、平成24年8月10日付け基発0810第2号では「通常の場合、……

安全配慮義務に関する代表的な最高裁判例には、どのようなものがありますか?

 陸上自衛隊事件最高裁昭和50年2月25日第三小法廷判決は、「国は、公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が国もしくは上司の指導のもとに遂行する公務の管理にあたって、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務(以下「安全配慮義務」という。)を負っているものと解すべきである。」として、国が国家公務員に対して負う義務として、安全配慮義務……

労災保険給付がなされれば、使用者は、労働者から損害賠償請求を受けずに済むのでしょうか。

 労基法75条~88条は、労働者が業務上負傷し、または疾病にかかった場合における災害補償について規定しています。この災害補償責任は使用者の無過失責任であり、過失相殺がなされることはなく、原則として平均賃金に対する定率により補償額が決定されており、労災保険法により労災保険制度が整備されています。
 労災保険給付がなされた場合、使用者は、同一の事由については、その価額の限度において民法の……

精神疾患発症の原因が長時間労働、セクハラ、パワハラ等の業務に起因する労災かどうかは、どのように判断すればよろしいでしょうか。

 精神疾患発症の原因が長時間労働、セクハラ、パワハラ等の業務に起因する労災かどうかは、行政レベルでは、『心理的負荷による精神障害の認定基準』(基発1226第1号平成23年12月26日)を参考にして判断することになりますので、企業レベルでも、基本的には同認定基準を参考に労災に当たるかどうかを判断することになります。
 月100時間を超える恒常的な時間外労働がなされている場合のように、労……

精神疾患発症の原因が長時間労働、セクハラ、パワハラ等の業務に起因する労災であることが判明した場合、休職期間満了退職の効力はどうなりますか。

 精神疾患の発症の原因が長時間労働、セクハラ、パワハラ等の業務に起因する労災であることが判明した場合、
 ① 私傷病を理由とした休職命令が休職事由を欠き無効となり、その結果、休職期間満了退職の効力が生じなくなったり、
 ② 療養するため休業する期間及びその後30日間であることを理由として、休職期間満了による退職の効果が生じなくなったり(労基法19条1項類推)
……

精神疾患を発症した社員が休職と復職を繰り返しても、真面目に働いている社員が不公平感を抱いたり、会社の負担が過度に重くなったりしないようにして会社の活力を維持するためには、どうすればいいと思いますか。

 精神疾患を発症した社員が休職と復職を繰り返しても、真面目に働いている社員が不公平感を抱いたり、会社の負担が過度に重くなったりしないようにして会社の活力を維持するためには、休職期間を無給とし、傷病手当金の受給で対応するのが効果的です。休職と復職を繰り返す社員の対応に困っている会社は、休職期間についても賃金が支払われていることが多い印象です。 弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士……

精神疾患を発症した社員が休職と復職を繰り返すのを防止するためには、就業規則にどのような規定を置く必要がありますか。

 精神疾患を発症した社員が休職と復職を繰り返すのを防止するためには、復職後間もない時期(復職後6か月以内等)に同一又は類似の事由により欠勤した場合(債務の本旨に従った労務提供ができない場合を含む。)には、復職を取り消して直ちに休職させ、休職期間を通算する(休職期間を残存期間とする)等の規定を置いて対処する必要があります。そのような規定がない場合は、普通解雇を検討せざるを得ませんが、有効性が争われる……

休職制度を運用する上での注意点を教えて下さい。

 休職命令の発令、休職期間の延長等に関し、同じような状況にある社員の扱いを異にした場合、紛争になりやすく、敗訴リスクも高まるので、休職制度の運用は公平・平等に行うようにして下さい。
 同じような状況にある社員の取扱いを異にする場合は、裁判官が納得できるような合理的理由を説明できるようにしておいて下さい。 弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎……

精神疾患を発症して休職している社員が提出した主治医の診断に疑問がある場合に、会社が医師を指定して受診を命じたところ当該社員が指定医への受診を拒絶した場合は、どのように対応すればいいでしょうか。

 精神疾患を発症して休職している社員が提出した主治医の診断に疑問がある場合に、会社が医師を指定して受診を命じたところ当該社員が指定医への受診を拒絶した場合は、休職期間満了時までに、債務の本旨に従った労務提供ができる程度にまで精神疾患が改善していないものとして取り扱って復職を認めず、退職扱いとすることができることもあります。 弁護士法人四谷麹町法律事務所
代表弁護士 藤田 進太郎……

精神疾患を発症して休職している社員が提出した主治医の診断書の内容に疑問がある場合には、どのように対応すればいいでしょうか。

 復職の可否を判断するにあたっては、専門医の診断・意見を参考にして下さい。
 精神疾患を発症して休職している社員が提出した主治医の診断書の内容に疑問があるような場合であっても、専門医の診断を軽視することはできません。主治医への面談を求めて診断内容の信用性をチェックしたり、精神疾患に関し専門的知識経験を有する産業医の意見を聴いたりして、病状を確認して下さい。 弁護士法人四谷麹町法律事……

精神疾患を発症して休職に入った社員の復職の可否の判断基準を教えて下さい。

 精神疾患を発症して休職に入った社員の復職の可否は、「休職期間満了日までに、債務の本旨に従った労務提供ができる程度に精神疾患が改善しているか否か」により判断するのが原則です。
 ただし、診断書等の客観的証拠により、間もない時期に債務の本旨に従った労務提供ができる程度に精神疾患が改善していると認定できる場合には、休職期間満了により退職扱いにするかどうかを慎重に判断する必要があります。休……

精神疾患を発症した社員本人が休職を希望している場合は、どのように対応すればいいでしょうか?

 精神疾患を発症した社員が休職を希望している場合は、休職申請書を提出させてから、休職命令を出すとよいでしょう。休職申請書を提出させてから休職命令を出すことにより、休職命令の有効性が争われるリスクが低くなります。
 精神疾患を発症した社員が休職申請書を提出したら、休職命令書を交付して、休職期間の開始日や満了日を明確にするようにして下さい。休職申請書を出させて内部決済が済んだだけで安心し……

私傷病に関する休職制度がある場合であっても、休職させずに直ちに解雇することはできますか。

 私傷病に関する休職制度があるにもかかわらず、精神疾患を発症したため債務の本旨に従った労務提供ができないことを理由としていきなり普通解雇するのは、休職させても休職期間満了までに債務の本旨に従った労務提供ができる程度まで回復する見込みが客観的に乏しい場合でない限り、解雇権を濫用したものとして解雇が無効(労契法16条)と判断されるリスクが高いものと思われます。 弁護士法人四谷麹町法律事務所続きを見る

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