この記事の結論
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審理の終結は、期日において宣言される(労働審判法19条)

労働審判委員会は、審理を終結するときは、労働審判手続の期日においてその旨を宣言しなければなりません。宣言は期日で行われるため、出頭していれば、その場で審理の区切りを認識できます。

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終結後は、それまでに提出された主張・証拠に基づいて労働審判が行われる

労働審判は、審理の結果認められる権利関係と手続の経過を踏まえて行われます(同20条1項)。そもそも主張・証拠の提出は第2回期日終了までとされており(規則27条)、終結間際の提出は想定されていません。

 労働審判における審理の終結とは、労働審判委員会が、労働審判を行うのに必要な審理を終えたと判断し、その旨を宣言することをいいます。労働審判法19条は、労働審判委員会は、審理を終結するときは、労働審判手続の期日においてその旨を宣言しなければならないと定めています。

 会社側専門の弁護士の立場から、審理の終結が何を意味し、会社側が終結までに何を終えておくべきかを解説します。

01審理の終結とは何か(労働審判法19条)

 労働審判委員会は、審理を終結するときは、労働審判手続の期日においてその旨を宣言しなければなりません(労働審判法19条)。書面で通知されるのではなく、期日の場で宣言される点が重要です。期日に出頭していれば、審理が終結したこと、すなわち、これ以上の主張立証が予定されていないことを、その場で認識できます。

 なお、審理の終結は、労働審判手続の調書に記載すべき事項とされています(労働審判規則25条7号)。手続の重要な区切りとして、記録上も明確にされるということです。

02審理を終結する主体とタイミング

 審理を終結するのは、労働審判委員会です。当事者が「まだ主張したいことがある」と述べても、それだけで終結が先送りされるわけではありません。

 タイミングについては、労働審判手続においては、特別の事情がある場合を除き、3回以内の期日において審理を終結しなければならないとされています(労働審判法15条2項)。つまり、審理の終結は、遅くとも第3回期日までに訪れるのが原則です。事案によっては、第1回期日で審理を終結できる場合もあり、その場合には次回期日の指定は行われません(労働審判規則21条2項参照)。第1回期日が最初で最後の期日になり得るということです。

03審理終結の効果と、資料提出の期限

 審理が終結すると、労働審判委員会は、審理の結果認められる当事者間の権利関係および労働審判手続の経過を踏まえて、労働審判を行います(労働審判法20条1項)。判断の基礎となるのは、終結までに現れた主張と証拠です。したがって、終結後に「実はこういう資料がある」と申し出ても、それが当然に考慮されるわけではありません。

 もっとも、会社側が意識すべき期限は、審理の終結よりも前にあります。当事者は、やむを得ない事由がある場合を除き、労働審判手続の第2回の期日が終了するまでに、主張および証拠書類の提出を終えなければならないとされています(労働審判規則27条)。審理の終結を待つのではなく、第2回期日終了までに出し切るのが制度上の建前です。

提出期限と終結の関係
第1回期日 争点・証拠の整理、可能な証拠調べを実施(規則21条1項)。ここで審理が終結することもある
第2回期日終了まで やむを得ない事由がある場合を除き、主張・証拠書類の提出を終える(規則27条)
3回以内で終結 特別の事情がある場合を除き、3回以内の期日で審理を終結(法15条2項)。期日で終結を宣言(法19条)

経営者が見落としやすいポイント

「第3回期日まであるから、まだ時間がある」という理解は危険です。主張と証拠の提出期限は第2回期日終了まで(規則27条)であり、しかも第1回期日で審理が終結することもあります。実質的な勝負どころは第1回期日であり、答弁書と証拠は、その時点で完成していなければなりません。

04終結後の労働審判と調停の関係

 労働審判委員会は、審理の終結に至るまで、労働審判手続の期日において調停を行うことができるとされています(労働審判規則22条1項)。裏を返せば、調停による解決を試みることができるのは、審理の終結までということです。

 労働審判事件の多くは調停の成立によって終了しています。したがって、審理の終結は、話し合いによる柔軟な解決の局面が区切られ、委員会の判断(労働審判)へと進むことを意味します。調停での解決を望むのであれば、終結前の段階で、条件面を含めた具体的な検討を済ませておく必要があります。

05終結前に会社側が確認すべき事項

 審理が終結する前に、会社側としては、次の点を確認しておくべきです。第一に、処分や判断の合理性を裏付ける客観的な資料が提出できているかです。解雇や懲戒処分が争われている事案であれば、非違行為の事実を示す資料、それに対する指導や注意の履歴、就業規則の該当規定、手続の履践を示す記録などが、主張と対応して提出されているかを点検します。

 第二に、労働審判委員会が疑問を示した点に、回答できているかです。期日でのやり取りの中で、委員会が特定の事情について繰り返し質問している場合、そこが判断の分かれ目になっている可能性があります。その点について、口頭で説明し、必要なら書面や資料で補うことが、終結前にできる実質的な対応です。

 第三に、調停による解決を受け入れる余地があるか、その場合の条件はどこまでかを、社内で整理できているかです。終結前の段階で経営判断が定まっていなければ、その場での対応ができません。

06審理終結を見据えた証拠戦略

 審理の終結という区切りから逆算すると、会社側の証拠戦略は明確になります。労働審判は3回以内で審理を終結する手続であり、主張・証拠の提出は第2回期日終了までです。訴訟のように、審理を重ねながら小出しに証拠を提出するという進め方は、そもそも想定されていません。

 したがって、申立書を受け取った段階で、争点を予測し、必要な証拠を洗い出し、第1回期日までに揃えることが基本方針となります。日常の労務管理において、指導や注意の記録、面談の記録、業務指示の記録などを残しておくことが、この場面で効いてきます。証拠は、紛争が起きてから作れるものではありません。

 審理終結までに何を出し切るべきか、どの点に労働審判委員会の関心があるかの見極めは、専門的な判断を要します。申立書が届いた段階で、会社側専門の弁護士に相談し、終結を見据えた組み立てを行うことをお勧めします。

07よくある質問(FAQ)

Q. 審理の終結は、どのように知らされますか。

労働審判委員会は、審理を終結するときは、労働審判手続の期日においてその旨を宣言しなければなりません(労働審判法19条)。期日の場で宣言されるため、出頭していればその場で認識できます。審理の終結は調書にも記載されます(労働審判規則25条7号)。

Q. 審理が終結した後に、証拠を追加で提出できますか。

終結後に提出しても、当然に考慮されるわけではありません。労働審判は、審理の結果認められる権利関係と手続の経過を踏まえて行われます(労働審判法20条1項)。そもそも主張・証拠書類の提出は、やむを得ない事由がある場合を除き、第2回期日終了までに終えなければなりません(労働審判規則27条)。

Q. 第1回期日で審理が終結することはありますか。

あります。第1回期日で審理を終結できる場合には、次回期日の指定は行われません。第1回期日では争点・証拠の整理と、実施可能な証拠調べが行われるため、答弁書と証拠は第1回期日までに完成させておく必要があります。

経営上のポイント 労働審判委員会は、審理を終結するときは、労働審判手続の期日においてその旨を宣言しなければなりません(労働審判法19条)。終結後は、審理の結果認められる権利関係と手続の経過を踏まえて労働審判が行われます(同20条1項)。もっとも、会社側が意識すべき期限はより前にあり、主張・証拠書類の提出は、やむを得ない事由がある場合を除き第2回期日終了までです(規則27条)。しかも、審理は特別の事情がある場合を除き3回以内で終結し(法15条2項)、第1回期日で終結することもあります。また、調停ができるのは審理の終結までです(規則22条1項)。したがって、答弁書と証拠は第1回期日までに完成させ、調停に応じる余地と条件も早期に社内で整理しておく必要があります。日常の労務管理での記録の蓄積が、この場面で効いてきます。申立書が届いた段階で、会社側・使用者側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。労働審判での主張立証や期日対応でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月13日


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