この記事の結論
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手続費用は各自負担が原則。必要と認めるときに費用負担の裁判が行われる

労働審判の手続費用は、各自が負担するのが原則です(労働審判法29条1項)。裁判所又は労働審判委員会は、事件を完結する裁判で、職権により費用負担の裁判をすることが定められています。

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費用負担の裁判には、負担を命じられた者に限り不服申立てができる

労働審判の確定や申立ての却下の場合に費用負担の裁判をしたときは、負担を命じられた者に限り即時抗告ができます(労働審判法28条)。ただし、基本事件の裁判と切り離して費用負担の裁判のみを争うことはできません。

 労働審判の手続費用(申立手数料や郵便費用などの実費)は、各自が負担するのが原則です(労働審判法29条1項)。もっとも、裁判所又は労働審判委員会は、労働審判を含む事件を完結する裁判において、職権で費用負担の裁判をすることが定められており、事案によっては、各自負担の原則とは異なる負担を命じることがあります。

 会社側専門の弁護士の立場から、労働審判事件における費用負担の裁判が、どのような場合に、どのように行われるのかを解説します。

01手続費用は各自負担が原則(労働審判法29条1項)

 労働審判の手続費用は、当事者がそれぞれ自ら支出した分を負担するのが原則です(労働審判法29条1項)。すなわち、会社側で生じた費用は会社側が、労働者側で生じた費用は労働者側が、それぞれ負担するのが基本です。裁判所又は労働審判委員会は、事件を完結する裁判において、職権で費用負担の裁判をすることが定められており、この原則を踏まえつつ、必要に応じて負担者を定めることになります。

02費用負担の裁判が行われる場合(労働審判法25条)

 労働審判事件が訴訟に移行しない場合において、裁判所が必要と認めるときは、申立て又は職権で、労働審判手続の費用の負担を命ずる決定をすることになります(労働審判法25条)。ここでいう「裁判所が必要と認めるとき」とは、手続費用の負担者を各自とする原則(労働審判法29条1項)とは異なる判断をする必要があるときを指すと考えられます。したがって、これに該当しない場合には、労働審判法25条による費用負担の申立ては却下されることになると考えられます。

各自負担が「原則」である意味

費用負担の裁判は、各自負担の原則と異なる扱いをする必要がある場合に行われるものです。実務上、多くの事案では各自負担が維持されるため、費用負担の裁判は例外的な場面と理解しておくとよいでしょう。会社側としては、費用の負担者よりも、本案(解雇の有効性や金銭の支払など)の帰結に重点を置いて対応することになります。

03費用負担の裁判に対する不服申立て(労働審判法28条)

 労働審判の確定および労働審判手続の申立ての却下の場合において費用負担の裁判をしたときは、負担を命じられた者に限り、これに対して不服を申し立てることができます(労働審判法28条による即時抗告)。ただし、基本事件の裁判に対する抗告と切り離して、費用負担の裁判のみについて不服を申し立てることはできません。費用負担の裁判は、本案の裁判に付随するものであるため、本案と一体として争うことになります。

04会社側が押さえておくべき視点

 労働審判の手続費用そのものは、印紙代や郵便費用などの実費であり、金額としては大きくないのが通常です。実務上は各自負担が原則であるため、費用負担の裁判が問題となる場面は限定的です。会社側としては、費用の負担者の問題に過度に注力するよりも、解決金の水準や本案の帰結といった、経営上のインパクトが大きい論点に重点を置いて対応することが現実的です。もっとも、費用負担の裁判が行われ、その内容に不服がある場合には、負担を命じられた者として、本案と一体で不服を申し立てることを検討することになります。

05よくある質問(FAQ)

Q. 労働審判の手続費用は、原則として誰が負担するのですか。

各自が負担するのが原則です(労働審判法29条1項)。会社側で生じた費用は会社側が、労働者側で生じた費用は労働者側が、それぞれ負担するのが基本です。ここでいう費用は、印紙代や郵便費用などの実費を指します。

Q. どのような場合に費用負担の裁判が行われますか。

事件が訴訟に移行しない場合において、裁判所が必要と認めるときに、申立て又は職権で費用負担を命じる決定がされます(労働審判法25条)。これは、各自負担の原則と異なる判断をする必要がある場合を指し、該当しないときは申立ては却下されることになると考えられます。

Q. 費用負担の裁判だけに不服を申し立てることはできますか。

できません。費用負担の裁判に不服を申し立てられるのは負担を命じられた者に限られ(労働審判法28条による即時抗告)、しかも基本事件の裁判に対する抗告と切り離して、費用負担の裁判のみを争うことはできません。本案と一体として争うことになります。

経営上のポイント 労働審判の手続費用(印紙代・郵便費用などの実費)は、各自負担が原則です(労働審判法29条1項)。裁判所又は労働審判委員会は、事件を完結する裁判で職権により費用負担の裁判をすることが定められており、事件が訴訟に移行しない場合において、裁判所が必要と認めるときは、申立て又は職権で費用負担を命じる決定をします(同25条)。これは各自負担の原則と異なる判断をする必要がある場合であり、該当しなければ申立ては却下されると考えられます。費用負担の裁判には、負担を命じられた者に限り即時抗告ができますが(同28条)、基本事件の裁判と切り離して費用負担のみを争うことはできません。会社側としては、費用よりも解決金や本案の帰結に重点を置いた対応が現実的です。労働審判への対応は、会社側・使用者側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

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弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。労働審判への対応でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月13日


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