この記事の結論
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2週間以内に、書面で異議を申し立てる必要がある

労働審判に不服があるときは、審判書の送達または口頭告知を受けた日から2週間以内に、裁判所に対して異議を申し立てることができます(労働審判法21条1項)。異議の申立ては書面でしなければなりません(労働審判規則31条1項)。

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異議があることを明らかにすれば足り、理由を付す必要はない

異議申立ては、異議があることを明らかにするだけで足り、理由まで記載する必要はありません。ただし、実質的な主張が記載されていれば、その部分は準備書面としての性質を持つと解されます。

 労働審判の内容に不服がある場合、会社側としては、定められた方式と期限を守って異議を申し立てる必要があります。方式を誤ると、異議申立てそのものが却下されるおそれもあります。

 会社側専門の弁護士の立場から、異議申立ての具体的な方法を解説します。

01異議申立ての期限(労働審判法21条1項)

 当事者は、労働審判に不服があるときは、審判書の送達を受けた日、または労働審判期日において労働審判の口頭告知を受けた日から、2週間以内に、裁判所に対して異議を申し立てることができます(労働審判法21条1項)。この2週間は不変期間であり、延長することはできません。

02異議の申立て方法(書面性)

 労働審判に対する異議の申立ては、書面でしなければなりません(労働審判規則31条1項)。異議申立ては、労働審判が失効し訴え提起があったものとみなされるという重大な効果を伴う手続であるため、ファクシミリによる提出は認められないと解されています。口頭で異議を述べても、法律上の異議申立てとしての効力は生じません。

03期限を過ぎた場合の追完

 当事者が、その責めに帰することができない事由により、異議申立ての期限内に申立てができなかった場合には、その事由が消滅した後1週間以内に限り、異議の申立てを追完することができます。これは、非訟事件の手続に関する規定が労働審判事件に準用されること(労働審判法29条1項)を通じて認められているものです。

 もっとも、「その責めに帰することができない事由」は、天災や重篤な傷病など、当事者に落ち度のない例外的な事情に限られると解されており、単なる失念や多忙といった事情は、通常これに当たりません。異議申立ての期限は、原則として厳格に守るべきものと考える必要があります。

04異議申立てに理由は不要

 労働審判に対する異議申立ては、異議があることを明らかにするだけで足り、異議を申し立てる理由まで付す必要はありません。「労働審判の内容に異議がある」という記載だけで、法律上有効な異議申立てとなります。これは、労働審判の異議申立てが、判決に対する控訴のように、原判断の当否を争う不服申立てとしての性質を持つものではなく、訴訟手続を開始させるための手続として位置づけられているためです。

05異議申立書に主張を書いた場合の扱い

 異議申立ては理由を付す必要がありませんが、実務上、異議申立書の中に、訴訟における実質的な主張などが記載される場合があります。このような場合、記載された部分は、単なる異議申立ての一部ではなく、準備書面としての性質を有するものとして扱われると解されます。

 したがって、異議申立書を作成する際には、単に異議がある旨を記載するだけの簡潔な書面とするか、それとも訴訟移行後を見据えた実質的な主張を盛り込むかを、あらかじめ検討しておくことが望ましいといえます。訴訟移行後は、別途、訴状に代わる準備書面が求められることが多いため、異議申立書の段階でどこまで書き込むかは、全体の主張戦略の一部として位置づけて判断すべきです。

06不適法な異議申立ての却下

 裁判所は、労働審判に対する異議申立てが、異議申立期限の経過後になされた場合や、異議申立ての権利を有していない者からなされた場合には、この異議申立てを却下する決定をします(労働審判法21条2項)。この却下決定に対しては、即時抗告をすることができます(同28条)。

07よくある質問(FAQ)

Q. 異議申立てをファクシミリで提出することはできますか。

できないと解されています。異議の申立ては書面でしなければならないとされており(労働審判規則31条1項)、訴訟手続を開始させる重大な効果を伴うことから、ファクシミリによる提出は認められないと考えられています。

Q. 異議申立書には、異議を申し立てる理由も書かなければなりませんか。

書く必要はありません。労働審判に対する異議申立ては、異議があることを明らかにするだけで足り、理由を付す必要はありません。もっとも、実質的な主張を記載すれば、その部分は準備書面としての性質を持つと解されます。

Q. 期限を過ぎて異議申立てをした場合、どうなりますか。

原則として却下されます(労働審判法21条2項)。ただし、当事者の責めに帰することができない事由により期限内に異議申立てができなかった場合には、その事由が消滅した後1週間以内に限り、追完が認められることがあります。却下決定には即時抗告ができます(同28条)。

経営上のポイント 労働審判に不服があるときは、審判書の送達または口頭告知を受けた日から2週間以内に、書面で異議を申し立てなければなりません(労働審判法21条1項・労働審判規則31条1項)。ファクシミリによる提出は認められないと解されています。異議申立ては、異議があることを明らかにすれば足り、理由を付す必要はありませんが、実質的な主張を記載すれば準備書面としての性質を持ちます。期限内に異議を申し立てられなかった場合、責めに帰することができない事由があるときに限り、1週間以内の追完が認められます。期限経過後の申立てや、権利を有しない者からの申立ては却下され(同21条2項)、この決定には即時抗告ができます(同28条)。異議を申し立てるかどうかの判断とあわせて、異議申立書の書き方についても、会社側・使用者側専門の弁護士にご相談ください。具体的な事情に応じて、実務で使える方針をアドバイスします。
監修者 弁護士 藤田 進太郎

監修者

弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎

東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)

日本全国各地の会社経営者の皆様へ

弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。労働審判への対応でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。

最終更新日:2026年7月13日


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