労働問題997 労働組合法上の「労働者」とは何ですか。
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労基法・労契法よりやや広い概念 労働組合法上の労働者とは「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者」(労組法3条)をいい、労働基準法及び労働契約法上の労働者の範囲をやや広げた概念です。 |
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複数の判断要素を総合考慮して判断される 基本的判断要素(事業組織への組み入れ、契約内容の一方的・定型的決定、報酬の労務対価性)、補充的判断要素、消極的判断要素を総合考慮し、契約内容にとらわれず実際の運用を重視して判断されます。 |
目次
920の記事で解説した「労組法上の使用者性」と対をなす論点として、労組法上の「労働者」の範囲があります。業務委託契約を締結しているフリーランス等から団体交渉を申し入れられた場合、この労働者性の判断が対応の分かれ目になります。
会社側専門の弁護士の立場から、労働組合法上の労働者性の判断要素を解説します。
01労働組合法の労働者性の判断要素
労働組合法上の労働者とは「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者」(労組法3条)をいい、労働基準法及び労働契約法上の労働者の範囲をやや広げた概念となっています。労働組合法の労働者性の判断要素について、労使関係法研究会は次のとおりまとめています。
02基本的判断要素
03補充的判断要素・消極的な判断要素
補充的判断要素としては、①業務の依頼に応ずべき関係(労働力の処分権を契約の相手方に委ねているかどうか。①の補強)、②広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束が挙げられます。
消極的な判断要素としては、顕著な事業性(独自の才覚や手段で利益や報酬を増大させる余地があるか)が挙げられます。事業性が顕著であるほど、労働者性は否定される方向に働きます。
04労働組合法上の労働者性の総合判断
労働組合法上の労働者性は、上記の判断要素を総合考慮して労働組合法の趣旨から判断すべきとされています。仮に、基本的判断要素①〜③の一部が充足されていなかったとしても、直ちに労働組合法上の労働者性が否定されるわけではありません。他方で、各要素を単独で見た場合にそれ自体で直ちに労働者性が肯定されるとまではいえない場合でも、補足的判断要素①及び②を含む他の要素と併せて総合判断することにより、労働者性が肯定される場合もあります。さらに、各判断要素の具体的検討にあたっては、契約内容にとらわれるのではなく、当事者の認識や実際の運用も重視して判断される傾向にあります。
05会社側が押さえておくべき視点
会社側としては、業務委託契約・フランチャイズ契約・請負契約を締結している相手方であっても、労組法上の労働者と認められれば団体交渉に応じる義務が生じることを理解しておく必要があります。契約書に「業務委託」「独立事業者」と記載されているだけでは、労組法上の労働者性を否定する決定的な根拠にはなりません。
団体交渉の申入れを受けた際には、契約の名称だけで形式的に判断するのではなく、事業組織への組み入れの程度、契約内容の決定過程、報酬の性質、指揮監督・時間的場所的拘束の実態、事業者としての独立性の程度を総合的に精査したうえで、対応方針を検討することが重要です。安易な形式的判断による団体交渉拒否は、不当労働行為のリスクを高めます。
06よくある質問(FAQ)
Q. 業務委託契約を結んでいる相手方は、労組法上の労働者になり得ますか。
なり得ます。労組法上の労働者は労基法・労契法よりやや広い概念であり、契約の名称にかかわらず、実態に基づいて総合的に判断されます。
Q. 基本的判断要素の一部が欠けていれば、労働者性は否定されますか。
直ちに否定されるわけではありません。他の要素と併せて総合判断することにより、労働者性が肯定される場合もあります。
Q. 「独自の才覚で利益を増やせる」立場にある人は労働者になりにくいですか。
なりにくいといえます。顕著な事業性は消極的判断要素であり、独自の才覚や手段で利益・報酬を増大させる余地が大きいほど労働者性は否定される方向に働きます。
監修者
弁護士法人四谷麹町法律事務所 代表弁護士 藤田 進太郎
東京大学法学部卒業。2003年弁護士登録。日本弁護士連合会会員労働法制委員会委員・事務局次長・最高裁行政局との労働審判制度に関する協議会協議員、第一東京弁護士会労働法制委員会委員・研修部会副部会長、経営法曹会議会員・第112回経団連労働法フォーラム報告担当者、労働審判員連絡協議会特別会員、日本労働法学会会員、東京麹町ロータリークラブ会員・2023-24年度幹事。
講演・著作 / 「会社経営者のための問題社員対応講座」(YouTube)
日本全国各地の会社経営者の皆様へ
弁護士法人四谷麹町法律事務所代表弁護士の藤田進太郎です。私は、労働問題のストレスから会社経営者の皆様を解放したいという強い思いを持っており、日本全国各地の会社経営者のために、問題社員、退職勧奨、労働審判、残業代トラブルなどの労働問題の予防解決に当たっています。労組法上の労働者性の判断でお困りでしたら、弁護士法人四谷麹町法律事務所にご相談ください。事務所会議室での経営労働相談のほか、ZoomやTeamsでのオンライン経営労働相談を実施しています。
最終更新日:2026年7月13日