労働問題989 労基法上の労働者性が否定された裁判例②を教えてください。

 藤沢労基署長(大工負傷)事件(最高裁第一小法廷平成19年6月28日判決)は、作業場を持たずに1人で工務店の大工仕事に従事する形態で稼働していた大工A氏が、特定の会社が請け負っていたマンションの内装工事に従事していた場合において、①A氏は、自分の判断で上記工事に関する具体的な工法や作業手順を選択することができたこと、②A氏は、事前に同社の現場監督に連絡すれば、工期に遅れない限り、仕事を休んだり、所定の時刻より後に作業を開始したり所定の時刻前に作業を切り上げたりすることも自由であったこと、③A氏は、他の工務店等の仕事をすることを同社から禁じられていなかったこと、④A氏と同社との報酬の取決めは、完全な出来高払の方式が中心とされていたこと、⑤A氏は、一般的に必要な大工道具一式を自ら所有し現場に持ち込んで使用していたことなどから、A氏は、労働基準法及び労働者災害補償保険法上の労働者に当たらないと判断しました。
 本判決は、昭和60年に労働基準法研究会が報告した「労働基準法の「労働者性」の判断基準について」及び同研究会が昭和60年報告の判断基準をより具体化した判断基準の在り方を検討した平成8年の報告書を踏まえて、労働者性を否定したと言われています。
 平成8年の報告は、特に労働者性の判断について問題となることが多い建設業手間請け従業者及び芸能関係者について検討を加えたものです。
 例えば、勤務場所、勤務時間等に関する拘束について、勤務場所が建築現場に指定されていることは業務の性格上当然であり、指揮監督関係を肯定する要素とはならないこと、逆に他職種との調整や近隣に対する騒音等の配慮の必要がある場合に勤務時間の指定がなされることは指揮監督関係を肯定する要素とならない等と示されています。 

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