労働問題985 人事考課によって賃金を引き下げる場合のポイントを教えてください。
使用者が人事考課制度に基づき従業員の賃金を引き下げる場合、まず、人事考課制度が、周知されている就業規則に定められており、その内容に従って行われていなければなりません。そして、賃金引き下げの根拠となる具体的事実がなければならず、具体的事実による根拠に基づき、本人の顕在能力と業績が、本人が属する資格に期待される者と比べて著しく劣っていると判断できる必要があります。
裁判例では、次の(1) ~(4)を満たしている場合に人事考課による賃金の引き下げが許容されるとされています。
(1) 就業規則等による労働契約に、降給が規定されている
(2) 降給の仕組み自体に合理性と公正さがある
① 降給が決定される過程に合理性がある
② その過程が従業員に告知されてその言い分を聞く等の公正な手続が存する
(3) 降給の仕組みに沿って降給措置が採られている
(4) 個々の従業員の評価の過程に、特に不合理ないし不公正な事情が認められない
弁護士法人四谷麹町法律事務所
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