労働問題963 1年単位の変形労働時間制を導入する際の要件を教えて下さい。

1.1年単位の変形労働時間制の要件
 1年単位の変形労働時間制を実施するためには、過半数組合または労働者代表との間で労使協定を締結する必要があります。
 労使協定では、対象労者の範囲、対象期間、特定期間、労働日及び労働日ごとの労働時間の特定、労使協定の有効期間を定める必要があります。
2.対象労働者の範囲
 労基法上では、対象労働者の制限はありませんが、その範囲は、労使協定において出来る限り明確に定める必要があります。対象となる労働者には、変形労働時間制の対象期間を通じて勤務することが予定されている者だけでなく、対象期間の途中から採用された者や、対象期間よりも短い期間しか労働しない労働者も含めることが可能です。
3.対象期間
 対象期間は、一年以内の期間に限られます。
 また、起算日を特定する必要があります。
4.特定期間
 特定期間とは、対象期間の中でも特に繁忙な期間をいいます。
 特定期間は定めなくてもよく、また、一つの対象期間中に複数の特定期間を定めることもできます。
 連続労働日数の限度は、原則6日であるところ、特定期間については連続労働日数の限度が1週間に1日の休日が確保できる日数、すなわち最大12日となります。
5.労働日及び労働日ごとの労働時間の特定
 対象期間中の労働日及び各労働日の労働時間を、事前に特定する必要があります。
 もっとも、1年単位の変形労働時間制では、対象期間が長期にわたるため予めこれらを特定することが困難であることから、対象期間を1か月以上の期間で区分する場合、最初の期間のみ労働日と各日の所定労働時間を労使協定で特定し、その他の期間については各期間における労働日数と総労働時間を定めれば足ります。
 対象期間中の労働時間は、平均して週40時間以内にする必要があります。
 対象期間が3か月を超える場合、対象期間内の所定労働日数は原則として年280日が上限となります。
 また、対象期間中の1日の労働時間は10時間、1週間の労働時間は52時間が上限とされています。
 対象期間が3か月を超える場合は、労働時間が48時間を超える週が連続するのを3週までとし、対象期間の最初から3か月ごとに区分した各期間において労働時間が48時間を超える週を3週までとする制限が加わります。
 タクシー運転手などについては、隔日勤務などの一定の要件を満たす場合、1日の労働時間の限度が16時間に緩和されています。
6.労使協定の有効期間
 労使協定の有効期限に制限はありませんが、通達では1年程度が望ましいとされています(通達平成6年1月4日基発1号、平成11年3月31日基発168号)。

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