労働問題936 退職後の社員に対する競業避止義務の有効性はどのように判断されますか?

 退職後についても競業避止義務を負わせたい場合、退職時に個別に合意したり、就業規則に定めておくという方法が考えられます。もっとも、合意があったとしても、その効力は必要かつ合理的な範囲でのみ有効と考えられており、具体的には、①競業禁止の期間と地域、②禁止される業務の範囲、③禁止対象者の地位・役職、④代償措置の4つの要素から総合的に判断されています

 4つの要素別に、裁判例をご紹介します。
 ①競業禁止の期間と地域については、営業部長が退職後に顧客情報をほとんど利用できないようにして得意先を奪った場合に3年の期間を有効とした裁判例があります。他方で、顧客情報などの秘密性に乏しく禁止する利益が小さい一方で禁止対象取引が広範で、代償措置もないこと等から期間2年の特約を無効とした裁判例もあります。
 ②禁止される業務の範囲については、使用者が保有している特有の技術や営業上の情報などを用いることによって実施される業務に限定され、従業員が就業中に得たごく一般的な業務に関する知識・経験・技能を用いることによって実施される業務は、競業避止の内容とならないとした裁判例があります。
 ③禁止対象者の地位・役職については、社内での地位が高い者、機密性の高い情報に接する者との間での特約は有効となりやすい傾向です。
 ④代償措置について、代償措置が不十分であっても競業避止義務の有効性は失われないとしつつ、損害賠償の算定に際して考慮することができるとした裁判例があります。

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