労働問題935 下請企業から労働者を受け入れている場合、発注企業は団体交渉義務を負いますか。

 下請企業から労働者を受け入れている場合でも、下請け企業の経営実態が乏しく、実際は発注企業が下請企業の労働者を企業の勤務体制に組入れて直接の指示命令を行い、賃金や労働条件を支配しているような場合には、発注企業が「使用者」としての団体交渉義務を負うとした裁判例があります(油研工業事件最高裁昭和62年2月26日判決)。
 また、朝日放送事件(最高裁平成7年2月28日判決)では、下請企業としての実態があった場合でも、労働組合法7条の使用者は、雇用契約の当事者としての使用者だけでなく、「雇用主以外の事業主であっても、雇用主から労働者の派遣を受けて自己の業務に従事させ、その労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ、同視できる程度にかつ具体的に支配、決定することができる地位にある場合には、その限りにおいて、右事業主は同条(労働組合法7条)の『使用者』に当たる。」と判断されています。
 したがって、団体交渉事項が職場環境に関するものである場合、発注企業が使用者と同様に職場環境を決定する権限があれば、発注企業は団体交渉義務を負う可能性があるといえます。

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