労働問題928 どのような行為が不当労働行為の不利益取扱いに該当しますか?

 労働組合法は、労働組合の正当な行為に対する不利益処分を禁止しています(労働組合法7条1号)。「正当な行為」か否かは、権利義務の体系を踏まえ、健全な労使関係の在り方を基本に据えた判断となりますが、違法な行為に対する不利益処分でも、それが組合弱体化の意思のもとでなされた不相当な処分と評価される場合には、支配介入となることがあります。
 不利益取扱いは、ポストや勤務地の変更、賃金の差別、休暇や休職の差別等、従業員としての処遇の全ての側面において問題となりますが、労働組合法7条1号の不利益取扱いの禁止は、不利益取扱いが労働者の組合活動一般を制御する効果を持つことを重視したものであるから、経済的な側面だけでなく、従業員一般の意識において不利益と受け取られるような処遇の変更も含まれます。
 たとえば、裁判例では、従来から集団的に賃金に差を設けている場合には、集団同士を比較し、その集団に属する労働者の能力や勤務成績に一定の同質性、均一性があるにも関わらず査定結果に差異がある場合に不当労働行為に認定するとしました(紅谷商事事件最高裁昭和61年1月24日判決)。
 また、残業時間に関しては、確かに労働基準法は原則として残業を禁止していますが、裁判例では、使用者は業務の繁閑を残業時間で調整し、労働者も残業手当を前提に生活設計している現状があることから、労働委員会や裁判所は、組合員であることを理由とする残業時間の差別を不当労働行為としています(日産自動車事件東京高裁昭和55年12月20日判決)。

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