Q926 配転が権利の濫用になるか否かの判断要素を教えて下さい。

 配転が権利の濫用になるか否かの判断要素は、主に、
①業務上の必要性の程度
②人選の合理性
③不当な動機の有無(例えばいやがらせ目的や退職へ追い込むための配転)
④従業員が受ける不利益の内容・程度
⑤配転手続の適正
を総合考慮して判断されます。

 ④従業員が受ける不利益は、私生活上のものと、職務上のものに区別して考えられます。
 私生活上の不利益に関する事例をみると、単身赴任を含む転勤や、通勤時間の長時間化は、通常甘受すべき範囲内の不利益と判断されてきました。他方で、家族の介護や看病などを必要とする事例では、労働者の著しい不利益を認め、配転を無効としている裁判例が見られます。さらに、最近では従業員のワークライフバランスも重要視されるようになっています。労働契約法も、使用者に、仕事と家庭の調和に配慮すべきことを求めており、今後、遠隔地への転勤に関しては、介護や育児が必要な場合に限られず、その不利益性をより重視して判断されていくと考えます。
 従業員が受ける職務上の不利益については、降職や降格等の職務や職掌の変更を伴う配転において、大幅な権限の縮小、賃金の減少を伴う場合は、業務上の必要性や当該従業員の職務評価の適正が慎重に判断されます。

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