労働問題925 就業規則に配転の規程はあるが、労働条件通知書には記載がない場合、配転命令できますか?

 勤務場所を限定するといった個別の合意がなければ、就業規則等を根拠に配転することができます。
 書面による明確な合意はないものの、労働者が、職種や勤務地について限定合意があると主張してきた場合には、裁判所は、職種の職務内容の専門性、採用の経緯、過去の配転実績、勤務形態、給与体系、業務系統、勤務実績等の事情を考慮して判断していくことになります。
 たとえば、長期雇用を前提とする従業員は、広域の転勤に同意していると推認されることが多いですが、採用時に家庭の事情から転勤に応じられないことを明確に申し出ていた場合、特定工場の従業員として採用された場合、主婦やパート等のように生活の本拠が固定されていることを前提に採用された場合について、勤務場所の限定合意が認められた裁判例があります(新日本通信事件大阪地裁平成9年3月24日判決、新日本製鉄事件福岡地裁小倉支部昭和45年10月26日判決、吉富製薬事件福岡地裁小倉支部昭和53年6月5日判決)。
 また、配転は、従業員の職務上、私生活上の利益に影響を及ぼすものですから、濫用的な配転は許されません。裁判所も、「使用者は業務上の必要に応じ、その裁量により労働者の勤務場所を決定することができるものというべきであるが、転勤、特に転居を伴う転勤は、一般に、労働者の生活関係に少なからぬ影響を与えずにはおかないから、使用者の転勤命令権は無制約に行使することができるものではなく、これを濫用することのゆるされないことはいうまでもない」という権利濫用法理の適用を明らかにしています(東亜ペイント事件最高裁二小昭和61年7月14日判決)。 

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